アメリカのアパレル小売店からフィッティング・ルームが消える!?
困惑する来店客と店側のこれだけの理由
Published on 7/9/2026
アメリカのみならず、全世界の小売業で起こっているのが様々な店舗における変化。
スーパーや雑貨チェーンでのレジ無人化、一流ブランド・ブティックの高額商品閲覧の予約制等、これらはパンデミックを境に広まってきましたが、
今後アメリカのアパレル店がどんどん導入すると言われるのがフィッティング・ルームの廃止。
パンデミック中には感染を防ぐために、フィッティングでの試着が禁止され、
アパレル類はオンラインでの注文となり、客側は届いたものを自宅でトライし、気にらなければ返品し、ストア側は返品されたアパレルを除菌するのがプロトコールになっていましたが、
これを再び導入する店舗が増えてきているのが現在。
その背景にあるのは、オンラインショッピングの拡大という消費者側の購買パターンの変化だけでなく、
小売店が抱える様々な問題があると指摘され、それは社会問題にも直結すると言われています。
アメリカで最近「フィッティング・ルーム閉鎖」を発表して話題になったのが、ワンサイズ展開のティーン向けブランド、ブランディ・メルビル。
1980年代に誕生したこのブランドは、近年では痩せた体系用のワンサイズのみの提供。それによって生産コストや在庫リスクを抑え、
代わりに価格を落とすことで、人気を博してきたブランド。
2024年には「同ブランドがティーンの拒食症、痩せ型体系信仰を悪化させている」というドキュメンタリーも製作され、
実際にアメリカのジェネレーションZの間では、「ブランディ・メイヴィルが着られる体型」はある種のステータスシンボルであり、
学校でのカースト制度上位に入るための関門。
そのブランディ・メイヴィルのニューヨーク、ボストン、テキサス州オースティンを含む各地店舗が、フィッティング・ルームを閉鎖するニュースが流れたことで、
Z世代ユーザーが多いTikTok上で大きな波紋が広がり、「服が自分に合うかをどうやって判断すればいいの?」といった困惑の声で溢れている状況。
ブランドのファンは 「試着無しの購入になったら、店側は大量の返品を受けるはず」と、
同ブランドのフィット感の難しさを指摘していますが、ボストンとオースティンのブティックに寄せられた通達によれば、
フィッティング・ルーム閉鎖の理由は破壊行為が原因とのこと。
今年初めに投稿された複数のヴァイラル動画では、買い物客が試着室のカーテンをガムで壁に貼り付け、カーテンがきちんと閉まらない様子が捉えられ、
その投稿のせいで、ガムを貼り付ける行為がヴァイラルになる悪循環を招いていたよう。
それを受けて店側は従業員が壁からガムを剥がす作業をする動画をアップしたり、試着室が解体される動画を投稿して対抗。
しかし試着室閉鎖の理由は、そんな悪戯まがいの破壊行為だけではないのだった。
試着室閉鎖のムーブメントは、アメリカとカナダで3,400軒以上の小売店&アウトレットを展開する、寄付による中古品販売店 Goodwill/グッドウィル(写真上)や、量販店でも拡大しつつある状況。
理由は、試着エリアの管理に必要な労働力が賄えないため。さらには万引きや商品破損のダメージを最小限に抑えるためで、
試着エリア閉鎖は、店の運営とコスト、セキュリティ、消費者の変化による複合的影響を受けたストア側、特に安価で商品を提供する小売店やチェーンにとっては苦肉の策。
まず万引きについては年々急増傾向で、フィッティング・ルームは監視カメラが設置出来ないとあって、買い物客が商品を隠したり、セキュリティ・タグを外せる空間になるのは言うまでもないこと。
更にアメリカではフィッティング・ルームに持ち込める枚数を制限するストアが多く、それを逆手に取って、入れ代わり立ち代わり新しい商品を持ってきては試着し、
それを戻すことで試着室に長時間陣取り、室内でスナック菓子を食べたり、ソーダ水を飲むといった飲食で部屋や商品を汚す来店客が少なくない状況。
さらにはSNSにアップするために試着をする来店客も多く、試着品を着用したまま店内を歩き回って写真撮影をするのは決して珍しくないこと。
そんな来店客の行動に目を光らせながら、試着後に放置された衣類と防犯タグをチェックし、問題がなければそれを売り場に戻し、試着室を清掃したり、試着中の来店客の要望に応えるには
それなりの労働力が必要で、ストア運営で最もコストが嵩む人件費の更なるアップを招くもの。
そのため多くの企業は、従来の実店舗での試着体験から、オンライン・ショッピング&自宅での試着と郵送による返品、AIを用いたデジタル試着に移行する傾向が顕著で、
今後は試着室だけでなく、小売店舗辞退の閉店によってストア・レントの節約に動く傾向にあるという。
見方を変えれば、そこまでしなければ小売店が生き残れない時代に突入しつつあり、インフレが進んで、給与が上がらない今、
アパレルは食費やレント、生活費を払った後の 減って行く可処分所得で購入するもの。
これまで当たり前だった販売手法が、どんどん変化しても不思議ではないのだった。


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