Massive Barbie Boom & Massive Corporate Profit$ ?
昨年からトレンディングのバービーコア、ライブアクション映画で最高潮のバービー・ブーム、
100社以上が飛びついたライセンス合戦の勝者は?

Published on 07/14/2023



7月21日に公開されるのがこの夏最大のバズをクリエイトしている映画「バービー」。
同作品は商業的にも、カルチャー的にも、社会面からも話題を集めていて、 それというのもバービー・ドールと言えば、1959年3月9日に発売以来、女性達にあり得ない美意識、特に体系の理想像を押し付けて来た存在。 そしてブロンド白人女性が美のスタンダードという意識や、社会における女性のキャラクターや役割のステレオタイプを植え付ける役割を果してきたのは周知の事実。
1990年代を迎えて それに対するバックラッシュが起こってからは、有色人種や様々な職業&体型のバービーが登場してはいるとは言え、 バービー・ドールが女性像の歴史で果たしてきた役割を嫌うフェミニストは非常に多いのが実情。
そして時代はMeTooムーブメントで 女性をセックス・オブジェに扱って来た男性を制倍したかと思ったら、 今度は最高裁が人工中絶の合憲を覆したことから、再び女性の社会的ポジションや自由が危機を迎えている局面。 そんな中で、ハリウッドのフェミニストを代表する女性監督、グレタ・ガーウィッグが、同じくフェミニストを自称する マーゴ・ロビーを主演にライブ・アクション映画「バービー」を製作するのは少々意外に思えるコンセプト。
当初この企画は、ルックス的にバービーとは全く結び付かないコメディアンのエイミー・シューマーを主演に製作される予定であったけれど、エイミーとグレタのフェミニスト見解が異なったために エイミーが主演を辞退。その穴を埋めたのがルックス的に人間版バービーとも言えるマーゴ・ロビー。
ケン役はヘアをプラチナ・ブロンドに染めたライアン・ゴスリングが演じ、当初はミス・キャストと批判する声が聞かれたものの、 トレーラーが公開されてからは、逆に彼が適役という声に逆転しています。



バービーコア・ファッション


世の中は昨年からバービーコアがメガ・ブーム。ヴァレンティノの2022年コレクションが火付け役になって、セレブから一般女性までがオール・ピンクのファッションを身に着けて、 フェミニンさやスウィートさをアピールする従来のピンク・ファッションとは一線を画す、自己主張のピンクというものが登場。 昨年の時点でバービーコアのトレンドは、映画「バービー」の公開まで続くと見込まれていたけれど、 むしろ2023年に入ってからの方が増えたのが"Barbiecore"のグーグル検索数。
それと共にグーグル検索が爆発的に増えたのが"Barbie live-action"、"Barbie Margot Robbie"、そして映画主題歌を歌うデュア・リパに関する "Dua Lipa Barbie" の検索で、その数はいずれも春先から数百%の伸び。人々の映画への関心の高さを感じさせています。 既に多くのファッション・ウェブサイトは写真上のような映画に登場するマーゴ・ロビー着用のバービー・ファッションに注目していて、 ピンクのカウガール・ルック、ピンクのギンガムチェックのドレス、ピンクのベレー帽、ラメのディスコ・ジャンプスーツ等、 トレーラーに登場するアウトフィットを中心に特集が組まれている状況。
そして映画への注目度が高まるに連れて、”バービーコア”の意味合いは、徐々にオールピンクのファッションから、 バービードールや映画バービーに登場するファッションへと変化。 この夏は1959年にデビューしたバービーが着用していたブラック&ホワイトのストラップレスのスイムウェアが トレンディングですが、このように色がピンクでなくても、いかにもバービーっぽい、レトロなマリブビーチ・ファッションも”バービーコア”と見なされるようになっています。



100社以上がタイアップした、超商業的ムービー




果たして映画「バービー」が社会的、カルチャー的に新たなフェミニスト旋風を巻き起こすかは定かではないものの、 確実視されているのが映画「バービー」の商業的サクセス。 そもそも1990年代にはアリシア・シルヴァーストーン主演の「クルーレス」、その後リース・ウィザースプーン主演の「リーガリー・ブロンド(邦題キューティ・ブロンド)」等、 ブロンド美女がファッション三昧を繰り広げる映画は、ファッション&ビューティー業界に大いに歓迎されるコンセプト。
映画「バービー」では製作元のワーナーブラザース、そしてバービードールを発売するマテル社の双方が ライセンスやタイアップをこれまでに無く精力的に働きかけた結果、前代未聞の100社以上がライセンス・プロダクトやプロジェクトを展開。 そのラインナップは、マリブでバービードール・ハウスのレンタルを行ったエアB&B、ポラロイド、ブルーミング・デールズ、ギャップ、 ローラーブレード、アイスクリームのコールド・ストーン、フローズン・ヨーグルトのピンク・ベリーといったフードはもちろん、シューズだけで4社、 コスメティックは6社と、えげつないほど膨大なラインナップ。
映画のサウンド・トラックも ピンク色のLPで発売されて話題になっているけれど、 それと共にマリブとマンハッタンのサウス・ストリート・シーポートには、フードもインテリアもピンクで、グッズ販売も行うバービー・カフェのポップアップが登場。 考えられる限りの全てのジャンルでライセンス&タイアップが行われたとさえ言われています。
でもライセンス料を支払わずにバービー・ブームの恩恵を受けたといわれるのが、ヘアダイとペイント(ペンキ)。 ブロンドのヘアダイは春先から売り上げが300%以上アップ。またバービー・ピンクのペイントは軒並み完売店が続出する人気を博し、 「映画の影響でペンキが売れるなんて…」とインテリア業界の関係者を驚かせていたとのこと。






マーゴ・ロビーのプレミア・ファッション



前述のように映画の最大のアトラクションであり、大きな醍醐味になっているのがマーゴ・ロビーが映画で披露するバービー・ファッション。
そしてファンの期待を煽るかのように、世界各都市のプレミアやその移動中にもマーゴ・ロビーが披露しているのがリアルライフ・バービー・ファッション。 バービー・ファッションはレトロ要素が強いとあって、そのワードローブに登場していたのが1990年代のスーパーモデル・ファッションのリピート。 写真左のピンクのドレスは、90年台のヴァレンティノのファッション・ショーで、当時の人気モデル、カレン・マルダーが着用していたもの。 中央の2枚、右側の2枚は、どちらもヴェルサーチで、クリスティ・トゥーリントン、クラウディア・シファーが着用していたアウトフィットをほぼそのまま再現したもの。
写真下、上段左は、バービー生誕50周年を記念して発売された、50年前のバービー・アウトフィットのセットですが、 スイムウェアはドレスとしてプレミア・イベントで、ブラック・ドレスはLAプレミアでそれぞれ着用。どちらもシューズ、ネックレス、サングラスといったアクセサリーまで、忠実に再現している様子が見て取れます。
写真下、下段は水曜に行われたロンドン・プレミアでのスナップで、ここではマーゴ・ロビーは1961年に発売されたバービーのイブニング・ドレスのレプリカと、 真っ赤な超ミニのコルセット・ドレスを着用。モダンとレトロのコントラストを見せていました。




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