御社サイトを長く愛読しております。つい最近非常にショックなことがありメールをしています。
私は約20年間、夫と幸せな結婚生活を続けてきました。夫は私より12歳年上のバツイチで、私が結婚した時に小学生だった連れ子が居ました。
私達の間には子供を設けなかったこともあり、私は夫の連れ子を我が子のように育て、子供との関係も良好で、時々実の親子でないことを忘れるほどでした。
夫婦仲も極めて良く、私は夫にとって自慢の妻で、
友人や親族の前では常に私をベタ誉めで、「理想の妻との理想の結婚生活」という台詞を何度も聞きました。
また私も友達には自信を持って「ウチの旦那は私無しでは生きられない」と宣言していたほどです。
誕生日や結婚記念日も、毎年のように盛大にお祝いしてくれて、人も羨む夫婦関係を続けて来ました。
ところが連れ子が家庭を持って順調な人生を歩み始めたことを祝った直後に、夫から離婚の申し出がありました。
あまりに突然で浮気を疑いましたが、今も私が最愛の女性だそうで、それにはウソは無いようです。
離婚を望む理由は、夫が長年温めて来た人生計画に従ったもので、結婚して子供を作って、自分の第二世代が独り歩きできるまでは
夫として、父親としての人生を全力で送り、妻と子供が自分が居なくても大丈夫な状況が整ったら、そこからは自分のための
自分勝手な人生を楽しむというのが 夫の夢だったのだそうです。
私はそんなことは初めて聞かされたので驚きましたが、夫の中でもそれはあくまで夢で、本当に実行出来るかは定かでなかったようです。
ですので「私を子育てに利用した訳ではない」と 心から説明してくれましたし、離婚の条件も信じられないくらい私寄りで、十分すぎる財産分与をして貰えます。
離婚について唯一話した両親でさえ、最初は驚いて反対していましたが、財産分与や条件を知って態度が軟化したほどです。
夫は私の気持ちの整理がつくまでは 結婚生活を続けると言ってくれていますが、友達には夫婦仲が良いことを自慢し過ぎてしまったので
とても相談する気にはなれず、コーナーでご相談したいと思いました。
最初は 時間を稼いで、その間に夫に離婚を思い止まって欲しいという思いだったのですが、夫は決めたことは遣り抜くタイプなので、
頭を冷やした今では 「私には夫は引き留められない」という 諦めの気持ちが強くなっています。
でも離婚をすれば、夫が望んだ離婚だけに「夫婦仲が良いと言いながら、夫に捨てられた妻」になってしまう自分の立場を恐れています。
プライドが許さないという方が正しいかもしれません。
自分の体裁ばかり考える浅ましい性格と思われてしまうかもしれませんが、今までが幸せで、それをオープンにして生きて来ただけに、
いざ離婚となった場合に、私が「独りよがりの幸せを周囲に自慢していた愚か者」と扱われるのが今から悔しくてなりません。
こんな形で離婚をするのなら、夫には皆の前で私にベタ惚れの様子など見せないで欲しかったとさえ思います。
夫は離婚後は、まずは世界一周とまでは行かなくても、長期海外旅行に出掛けたいそうで、私との結婚生活を続けたままでは、どうしても精神的に守りに入ってしまうのと、
定期的な連絡や気遣い等、妻に対して果たす義務の意識を今更払拭することが出来ないのだそうです。
これからは「そういう しがらみに捉われない人生を自分本位に生きてみたい」そうで、それを語る夫は活き活きしていて、夢を語る少年のようです。
ですが私にとっては未知の世界に突き落とされるようなことで、この先1人で 誰を頼って、毎日何をしたら良いのか、全く見当もつきません。
いずれは離婚に応じるのは時間の問題ですが、それまでに自分の気持ちをどう持って行くべきなのか、
周囲に変な噂が流れないようにして、困った時にサポートが得られるようにするにはどうしたら良いのかなど、秋山さんのお考えをアドバイスして頂けたら嬉しいです。
どんなことでも構いませんので、是非お願いします。
- C -
私がお察しするところ、Cさんのご主人は非常におおらかなポジティブさをお持ちの方で、結婚生活やCさんに関してだけでなく、
ありとあらゆることを肯定的に捉えて賞賛するタイプのようにお見受けします。
もし会社経営などをされている場合には、部下の良いところを誉めながら やる気や能力を引き出すタイプの経営者だと思いますし、
相手の言い分に耳を傾けながらも、最終的には自分が妥協しないところに落とし込む能力に長けている方だと思います。
長年連れ添ったCさんも「夫は決めたことは遣り抜くタイプ」とご相談文に書いて下さいましたが、
私はこのタイプの男性は何度かお目に掛かりましたが、女性は未だ出逢ったことがありません。
このメンタリティの持ち主はロマンティストが多く、人生の様々な部分に夢や理想を持ちこみますが、同時に現実的で、情や責任感も強いので、
人生のロマンを追求するために、まずは誰にも迷惑を掛けないための身辺整理から取り組むのは非常にありがちなことだと思います。
6月1週目のこのコラムにも書いた通り、日本への一時帰国中に再会した私の中学時代のクラスメートも、「お互いに残りの人生で結婚していたら出来ないことをするため」ということで夫婦が合意して円満離婚をしていたので、
Cさんご夫妻の状況も少なからず理解できるように感じています。
Cさんのご主人の国籍や、どちらにお住まいであるかは定かでありませんが、お子さんの年齢やCさんとの年齢差から、ご主人は お仕事でリタイアメントを迎える年齢でいらっしゃるかとお察し致します。
仕事で一定の成果を上げて、お子さんが自立し、Cさんには生涯困らないだけの資産を残した段階で、それまで頑張ってきた自分へのご褒美として 俗に言う”YOLO(You Only Live Once)”、すなわち人生で叶えたい夢や、経験したい事、達成したいチャレンジ等に取り組む人生を計画されていたものと思います。それは
全てが達成された段階で、ご主人が健康と精神力を持ち合わせていた場合に、初めて踏み切れる次なる人生のステージなので、
ご主人がおっしゃる通り、長年思い描いていたとは言え ある意味で封印されていた夢や欲望だったように思います。
それだけに 何かのきっかけで突然 「今がその時!」と悟ったり、思い立ったりしても全く不思議ではありません。人生の転機とはそういう形で訪れる物なのです。
Cさんにとっては寝耳に水のニュースであったとしても、ご主人が身勝手とか、思いやりがないという訳ではありません。
Cさんも悟っていらっしゃる通り、今となっては誰にもご主人を止めることは出来ないのですから、
ご主人の御気持ちを理解して、出来る限り気持ち良く送り出すことによって、ご主人にとっての「生涯の最愛の女性」で居続けることをお薦めする次第です。
そのためにはCさんが、ご主人がスタートされる夢の達成や冒険に置いて行かれるの立場になるのではなく、
Cさんご自身も 新しい人生へのチャレンジや冒険をスタートするという解釈に切り換えて下さい。
そして離れた場所の 異なる状況で、それぞれ別々の人生を歩みながらも、お互いに最愛の友人同士として生涯支え合う関係を ご主人と確認し合うべきです。
たとえどちらかが別の人と恋愛や結婚をすることがあっても、その相手を紹介して祝福すること、
どんなに連絡を取る合間が空いたとしても、お互いに良き相談相手、最大のサポーターであり続けることなどを明確する、
言わば ”別れの誓い” を交わしてみてください。
そうすることによりCさんは婚姻期間とは一切変わらない ロイヤルな愛情とサポートを一生ご主人から注いで頂けるはずです。
Cさんが最も危惧されていらっしゃる 「離婚された妻」と噂をされたり、好奇の視線で見られることについてですが、
これは離婚するカップルであれば、多かれ少なかれ誰もが抱く危惧ですので、「自分の体裁ばかり考える浅ましい性格」などとは思いません。
事実、多くの既婚カップルが自分の結婚についてポジティブな優越感を抱くのは、「他人の離婚話を聞いた時」というデータがあるほどですので、
離婚というのは噂話としては格好のトピックなのです。
結婚は多くの人々に祝福され、よほどの略奪婚でもない限りはゴシップ性に乏しいものですが、離婚となれば
性格の不一致から浮気、モラハラ、パワハラ、DV等、離婚に至る様々な原因が人々の興味をそそり、
しかも表立って発表されることが殆ど無いことから、夫婦のどちらかの言い分が一方的に拡散されることもありますし、
その噂話を楽しむ人々の見解や批判などが加わって、どうしてもゴシップ性が高く、時に事実を逸脱したニュースになってしまいます。
Cさんのケースで私がお薦めするのは、あえて離婚という言葉を使わずに 「婚姻関係2.0」のような形で、
「法律による夫婦の枠組みに縛られず、お互いに自由な個人として生きる 新しい人生のスタート」を、結婚時と同じようにパーティーを開いて発表する、
もしくは写真と書面のアナウンスメントを送付することです。
特に結婚時に祝福して下さったご家族や友人達には、「お互いに嫌いになって別れるのではなく、深い絆で結ばれた自由人としての関係になる」ことを堂々と宣言し、
噂や詮索の要素を排除するべきです。
それに加えて、ご主人がお友達に対して 自身のの冒険旅行中の Cさんへのサポートを呼び掛けて下されば、Cさんは引き続きご主人の人脈を活用し、
交友関係も問題なく継続出来るはずです。
Cさんも今は混乱していらっしゃるかもしれませんが、こうして1つ1つ不安材料を払拭して行かれれば、
シングルとしての再出発が予想より遥かに心地好いものになるように思います。
人生のどんな局面であっても、自分のために自由に使える時間は お金に変えられない財産であり、
様々な可能性が模索できる武器でもあります。
世の中には人生の中で運命を自分で切り開く人も居れば、運命によって切り開かれた人生を生きる人も居ます。
きっかけはどうあれ、導かれた運命を真摯に悟って、楽しみながら最善を尽せる人間が人生の中で満足感や達成感を得ながら、幸福に辿り着けるのです。
そう考えれば、新たな人生のステージに挑むのはご主人だけではないのですから、周到な準備をして、古い価値感に捉われずに、新しい視点で世の中を見回して、
沢山の人に出逢い、様々な刺激を受けながら、これまで出来なかったこと、忘れかけていた本当にやりたかったこと、諦めていたことにチャレンジしてみてください。
ご主人がもたらして下さった人生の転換期に心から感謝する日が来るよう、お祈りしています。
Yoko Akiyama
執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |
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