July 25 〜 July 31, 2022
1ドル=200円になる日!?、E.マスクとK.ジェナーの短か過ぎる共通点、Etc.
WHO(世界保健機関)が7月23日付でグローバル・ヘルス・エマージェンシーと宣言したのがモンキーポックス(サル痘)。現時点で そのエピセンターになっているのが
アメリカで、木曜の段階で記録された感染者は4639人。その90%以上がゲイ、バイセクシャルの男性であることから、
現在「リスク・グループ」として予防接種を受けられるのは彼らのみ。最も感染者が多い街はNYで25%以上に当たる約1200件の感染を記録。
次いでNYと並ぶLGBTQメッカ、サンフランシスコで約700人の感染者が出した段階で 緊急事態宣言を発令して警戒体制に入ったところ。
国別ではアメリカに次いで感染者が多いのはスペインで3738人、次いでドイツの2540人、フランスの1829人、ブラジルの985人というのがトップ5。
今週には初の子供の感染例がカリフォルニアとワシントンDCで1件ずつ、加えて妊婦の感染が1件報告されており、
幸い胎児には感染していなかったものの、子供達と妊婦の感染源は特定できないまま。
そのため厚生省のザビエル・ベセラ長官が警告したのが ゲイ男性以外の人々への感染リスク。
性交渉をしなくてもキス、ハグ、感染者の発疹に触れる、もしくは発疹から出た血液や体液が付着した衣類に触れるといったことも
感染原因になることがメディアを通じて呼び掛けられていたのが今週。
現時点での死者はナイジェリアで1名が記録されたのみで、基本的には水疱瘡と同じなので 感染後は入院などしなくても
2〜4週間の自宅隔離で完治するのがモンキーポックス。
しかし発疹が出た皮膚の激痛を訴える感染者が多く、不快感や猛烈な疲労感等、症状はかなり辛いとのこと。
また今週には「モンキーポックス」というネーミングが人種差別的だという批判が浮上し、ネーミングを変更すべきというムーブメントが起こっていることもレポートされていたのだった。
日本円が1ドル=200円になる日!?
今週水曜にはFEDこと 連邦準備制度理事会のパウエル議長が、大方の予想通り 米国金利を先月に続いて0.75%引き上げる発表を行ったけれど、
その翌日の木曜には米国2022年第2四半期のGDPが発表され、年率換算でマイナス0.9%となり、これで2四半期連続のマイナス成長。
すなわち定義上ではリセッションに突入したはずの米国経済。
しかしバイデン大統領、ジャネット・イエレン財務長官は
上半期に900万の仕事が生み出された等、GDP以外の数値の堅調ぶりを指摘して リセッション入りを共に否定したことから、
ウィキピディアの「リセッション」のページで相次いだのが この新たな解釈を皮肉たっぷりに定義として書き換える動き。
その結果24時間以内に47回もページが書き換えられる異常事態が発生したことから、ウィキピディアはこれを「破壊行為」、「悪意のある編集」と見なして、
8月まで未登録のユーザーによる同ページの書き換えを禁止する措置に出ているのだった。
さて、2022年に入ってFEDが金利を上げ始めてからというもの、FXに投資をしている人々がこぞってショートしていたのがユーロ/ドル(EUR/USD)相場。
1月1週目に1.2222ドルだったユーロは 今週末の終値で1.0225ドルに下落しているけれど、
FEDがインフレを是正するための積極的かつスピーディーな利上げを宣言した一方で、EUは各国の足並みが揃わなければ利上げには踏み切れない体制とあって、
「素人でも儲けられる」とまで言われたのがこの相場。
一方急激に円安に動いたドル円相場は 7月14日には138.98ドルまで円安が進んだものの、今週末は133.24円。USドル・インデックス(DXY)チャートも
同じく7月14日をピークに下降線を辿っているので、暫し円高傾向に向かうことが見込まれるのが現在。
とは言ってもこれは一時的なもので、再び長期展望で更なるドル高が続くのはFX相場を見ている誰もが予測すること。
その要因になっているのは右上のドル円の月足チャートで 英語で言う「リバース・ヘッド&ショルダー」、日本語で言う「逆三尊」を形成しているためで、
チャートのネックラインから測ったドルの高値は174〜176ドルといったところ。
しかしながら そこがドルの天井とは限らない訳で、FX投資を真剣にやっている人々やYouTuberの中には1ドル=200円到達を予測する意見が決して少なくないのが実情。
もちろんこれは月足チャートの予測なので 直ぐに起こることではなく、174〜176ドル到達が2023年末〜2024年、200円到達は2025〜2026年という予測は少なくないのだった。
通貨の値は国の経済状態や国力の指針でもあるだけに、通貨価値の予測は未来の国の状態の予測とも言えるもの。
実際に円ドルの月足チャートでは1979年〜1985年に掛けて、今とは逆の「ヘッド&ショルダー」、日本語で言う「三尊」を形成し、円高/ドル安と共にバブル期を迎えたのは
歴史が示す通り。大きく通貨が動くと予想される時は、それに合わせて時代も社会も大きく変わってきた歴史があるだけに、
たとえ「まさか」と思ったとしても、2〜3年以内に自国通貨の価値が現在より約35%目減りする可能性を視野に入れて財産管理をする必要があると思うのだった。
アメリカ人が 大金が当たった時に遣りたい事、Top5
リセッション突入の宣言は無くても、インフレの影響で多くの人々が家計を切りめているアメリカでは、
- スターバックスのコーヒーを含む外食を控える
- 公共交通機関を使って車の運転を控え、自家用車の数を減らす
- フェイシャルやヘアカット、ヘアカラー、ハイライトの回数を減らす
- 前夜の残り物をランチにする
- サブスクリプションで毎月送られて来る品物やストリーミング・サービスをキャンセルする
- ヴァケーションは親戚の家に滞在する
といった節約法がメディアで取り沙汰されている状況。
そんな中、今週のアメリカでは火曜日のメガミリオンの宝くじで当選者が出なかったことから、金曜の賞金額が史上3番目となる12億ドルに膨れ上がり、
それ以降はすっかり宝くじフィーバー。
多くのメディアが課税後の賞金額を一括払いと分割払いのオプションに分けてレポートし、例え当たっても一夜にしてビリオネアになれる訳ではないことを説明していたけれど、
事実、一括払いを選んだ時点で賞金額は6億4820万ドルに激減。
それにフェデラル・タックスが24%、もしアメリカ国民でない場合の税率は30% (賞金は旅行者は受け取ることが出来ないものの、居住者であれば受け取り可能)。
そしてNY州に住んでいる場合は更に10.9%の税金、さらにNY市内に住んでいれば 3.876%の市税が加わるのだった。
さらに言えばNY州は当選者がIDを公開しなければならないので、賞金から家族や親戚に借金の肩代わりをさせられるケースが多く、
母校や教会等にも寄付をせがまれるのは避けられない状況。
とは言ってもチャリティや母校への寄付は税金対策になるのもまた事実。
いずれにしても 税金で散々むしり取られた後の手取りは約3億1400万ドルで、これではビリオネアには程遠い金額。
そもそもジャックポットが当たる確率自体が3億257万5350分の1で、落雷に2回見舞われるよりも遥かに低い確率なのだった。
今週のメディアでは、「もし12億ドルのジャックポットが当たったら…何にお金を使うか?」というアンケートが行われ、
実生活で家計を切り詰める人々がそれぞれ夢を語っていたけれど、
トップ5に上がっていたのが順不動で 1.自分や家族の借金返済、 2.旅行、 3.投資、 4.チャリティへの寄付、 5.友人を招いた大パーティー。
特にアンケート対象のほぼ60%が「一度は大きなパーティーをしたい」と回答していたのには少々驚いてしまったのだった。
ちなみに学費ローンや住宅ローンを含む借金返済や旅行、パーティーは年齢を問わず多かった回答なのに対して、投資、チャリティへの寄付は意外にも若い世代に多かった回答。
若い世代の方が「豊かになったら弱者を助けたい」という気持ちが強い一方で、先が長いせいか「投資で増やさなければ大金もあっという間に消えてしまう」という意識や、
パンデミック中からの投資ブームを受けて「賢く投資をすればもっとお金が増やせる」という意識が強い様子を窺わせていたのだった。
ちなみに好況時の2018年にメガミリオンの賞金額が史上最高の15億ドルに達した際には、「こんな大金がいきなり手に入ったら人生も人間も変わってしまいそうで怖い」と
回答する人々が少なく無かったけれど、今週はそういった慎重論が影を潜めていたのも興味深い点。
結局金曜のメガ・ミリオンはシカゴから当選者が1人出たことから、来週火曜の賞金額が再び2000万ドルに戻ることになっているのだった。
E.マスクとK.ジェナーの短か過ぎるプライベート・ジェット・フライト
7月3週目にカダーシアン・ファミリーの一員で、最速でビリオネアになったカイリー・ジェナーが インスタグラムで大顰蹙を買ったのが、
パートナーで彼女の2人の子供の父親であるラッパー、トラヴィス・スコットと それぞれが所有するプライベート・ジェットの間でキスをするスナップに
「私の(ジェット)で行く?それとも自分ので行く?」というキャプションをつけたポスト。
気象変動が原因の猛暑や自然災害の被害に庶民が見舞われる中、セレブリティのプライベート・ジェット使用が
批判を浴びて久しいけれど、更に人々が眉を吊り上げたのが、
カイリーが僅か12分のフライトのためにプライベート・ジェットを使用したという事実。
彼女は車で39分の距離を移動するために、まず目的地とは正反対の空港まで30分ドライブし、12分のフライトで目的地に到着しており、
ジェットに乗り込む時間を含めると、明らかに10分以上余分に時間が掛かった計算。フライトのコストは燃料費1200ドルを含めて約7200ドル。
この意地でもプライベート・ジェットを使って インスタグラムの写真撮影をしたがるカイリーの様子は「二酸化炭素の排出量を顧みない身勝手なセレブリティ」、
「環境破壊の女王!」といった批判が寄せられたけれど、やがてメディアが報じ始めたのが
同様のショート・フライトの常習犯がカイリーだけではないという事実。
その前日には カイリーのハーフ・シスターのキム・カダーシアンが全く同じルートのフライトを 車で逆移動した後に行っていた他、
ラッパーのドレーク、ジェイZ&ビヨンセ、マーク・ウォルバーグも9〜17分程度のフライトが珍しくない存在。
では何故プイベート・ジェット会社が一般公開していない クライアントのフライト・レコードが明らかになったかと言えば、
プライベート・ジェット・トラッカーとして知られる ジャック・スウィーニー(19歳)がツイッターの30のアカウントでその情報を公開しているため。
彼を一躍有名にしたのはイーロン・マスクのプライベート・ジェット・トラッキングのアカウント @ElonJetで、毎回フライト情報が逐一アップされることから、
イーロン・マスク自身が「頼むから止めてくれ!」と悲鳴を上げて、5000ドルのキャッシュ、テスラを1台の提供を申し出たものの、それをあっさり断ったのは有名なエピソード。
そんなジャックの元には 航空管制官を含む様々なジョブ・オファーが寄せられたものの、既にフリーランスとしてかなりの金額を稼いでいる彼は
それらを全て断り続けているのだった。
その彼のデータによればカイリーの比ではないほど頻繁にプライベート・ジェットでショート・フライトをしているのがイーロン・マスクで、
短い時は僅か5分程度のフライト。電気自動車会社のCEOとは思えない二酸化炭素排出量であるけれど、
実際に環境コンシャスを謳って、時に偉そうにレクチャーするセレブリティが プライベート・ジェットをショート・フライトに使うのは全く珍しくないこと。
それと同様に多いのが 名前がさほど知られていないビリオネア達の頻繁なプライベートのショート・フライトで、
2021年10月の時点で プライベート・ジェットのフライト数は全世界で1日約1万2000件。特に増加が顕著なのは2019年以降。
メガリッチの間では、それ以前から「コマーシャル・フライトは庶民のもの」という概念が強かったけれど、
今では車で移動できる距離でもコストや時間、環境問題を顧みずに プライベートで飛ぶことがステータス・シンボルになってしまっているのだった。
執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |
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