Jan Week 3, 2025
Is Wakin Bag a Game Changer?
ラグジュアリーの概念を変える!? ウォルマートで
即時完売&話題沸騰の Walkin Bag/ワーキン・バッグ



最近発売されて あっという間に完売したのが 世界最大のジェネラル・マーチャンダイズ・ストア、Walmart / ウォルマートが発売したエルメス・バーキンのDupeバージョン。
SNS上では ”Walmart Birkin / ウォルマート・バーキン”、”WalBirkin / ウォルバーキン”、”WalKin / ウォーキン” 等、様々なネーミングが飛び交っているけれど、 バーキンと言えば2025年から値上げをしており、中古品でも2万ドル以上。クロコダイル素材になると 40~50万ドルというお値段で、投資対象になって久しい状況。 実際、カイリー・ジェナーを始めとするバッグ・コレクター達は、自宅に温度、湿度が管理されているヴォルト(金庫)を設けて、そこで高額バッグを財産として保管するのは当たり前。
エルメスのバーキンとケリーは、セレブリティかビリオネアでない限りは アパレルやホームグッズなど、エルメス・ブティックの不良在庫を買い取っている常連客にしか購入資格が与えられないことは有名で、 昨年、ロサンジェルスの顧客3人が散財したにも関わらず、バッグを買う順番が回ってこないことに反発。エルメスを相手取って集団訴訟を起こしたことがちょっとしたニュースになっていたのだった。
それに対してウォルマート・バーキンのお値段は課税前で78ドルと、普通のバッグより安いお値段。 ちなみに昨今は、この類の商品はコピー、フェイク、レプリカ、ノックオフ、カウンターフェイトといった言葉は使わず、 Duplicate/デュプリケート(複写、複製)のショートバージョンの ”Dupe/デュープ”と呼ぶのがアップデート版。 そしてウォルマート・バーキンがヴァイラルになっていることからも分かるように、今やDupeは ”ソーシャリー・アクセプタブル” すなわち 持っていても責められない存在になりつつあるのだった。




ウォルマート・バーキンは、あっという間に完売したけれど、グーグル検索すると出て来るのがウォルマートのオンライン・ショップのバーキン・セクション。 これは本物のバーキンの中古品で、型崩れしたバーキンが課税前で3万ドルを超えるお値段(写真上右)。 ウォルマート・バーキンはその400分の1のお値段で、昨今 Dupeが ”ソーシャリー・アクセプタブル” になってきた要因も、 最大の理由はオリジナルが高くなり過ぎたこと。 加えて、昨年にはディオールのメガヒット・バッグで店頭価格が3000ドルを超えるブック・トートの生産コストが僅か65ドルという内部情報がソーシャル・メディア上で明らかになり、 「一体何に対してラグジュアリー・ブランド価格を払っているのか?」という問題が提起されたことも影響しているのは紛れもない事実。
時を同じくして2024年下半期には LVMHやグッチを傘下に収めるケリング・グループ等、一流ファッション企業がこぞって売り上げを大きく落とす事態が発生。 その理由として 中国経済が予想された回復を見せず、これまで売り上げを支えて来た中国人富裕層からの売り上げが得られなくなったことが指摘されていたけれど、 中国人だけでなく、世界のトップ10%以外がで ブランド離れを起こし始めたのが2024年。 その危機感から2025年には、複数のブランドが価格を落としたプロダクトでアッパー・ミドルクラス以上の取り戻し戦略にでるところであったけれど、 その矢先にヴァイラルになったのがウォルマート・バーキンなのだった。




このことが何を意味するかと言えば、一般消費者は一流ブランドの価格には手が届かなくても、 一流ブランドが発信するデザインや、一目でスタイルが認識できる存在感を好み、無個性なノンブランドのプロダクトでは満足しないということ。 また時代が変化し、ファッション・トレンドを担う世代がミレニアルやジェンZに移行すると、 日本のバブル世代やアメリカのブーマー世代のように、価格をステータス・シンボルとして捉える意識が希薄になり、 「デザインとクォリティ、使用の用途に見合う金額」こそが購入の判断基準になるべきという考え。
かつて年上世代は フェイクのブランド品を持つ人に対して、「見栄を張っているだけ」、「自分に自信が無いのをブランドでごまかそうとしている」という目を向けていたけれど、 今の若い世代は 品質やクォリティに見合わないブランド品に大金を払う人々を 「見栄を張っているだけ」、「自分に自信が無いのをブランドでごまかそうとしている」とジャッジする傾向にあるのだった。
ソーシャル・メディア上では、本物のバーキンが買えるインフルエンサー達も、玩具感覚でウォルマート・バーキンを購入していたけれど、 本物が買える富裕層がDupeの出回りで腹を立てているかと言えば、必ずしもそうではないよう。 貧富の差が開き、治安が悪化しているヨーロッパでは、「バーキンを持っていると狙われる、襲われる」という事件が起こっているだけに、 「ウォルマート・バーキンが出回ってくれると、本物を持つ側の安全性が保てる」というパラドックス的意見も聞かれているのだった。




今や本物のバーキンを持つ世界のトップ1%は、リミテッド・エディションやクロコ素材等、あえてDupeで出回らないスタイルや素材でオーセンティシティをアピールする傾向が顕著。 しかし、既に中国のトップクォリティのDupe工場ではクロコダイル素材のバーキンを4000~5000ドルで生産(写真上中央)しており、Dupeも著しく進化しているのだった。
ところでウォルマート・バーキンは、バッグ自体はバーキンを忠実にコピーしているけれど、それにオリジナルには無い取り外し可能なショルダー・ストラップがついているのも人気の要因。 もしこのコーナーの12月2週目を読んで下さった方がいらしたら、 その時のコラムで私が 「生涯このバッグしか持てなくても、さほど困らない」と書いたのが、ストラップ付のバーキンDupe。奇しくもウォルマート・バーキンと同じスタイル。
蛇の道は蛇なので 中国の業者に尋ねたところ、ウォルマートではない会社の受注を受けてショルダー・ストラップ付のバーキンを必死で生産している工場が幾つかあるようで、 そのクォリティはあまり良く無いとのこと。ウォルマート・バーキンのクォリティについては把握していなかったけれど、米国小売価格を伝えたところ、生産コストは4分の1以下なので、 写真や遠目ではそれっぽく見えても、「傍で見れば一目瞭然で、手触りからして違うはず」とのことなのだった。
そのストラップ付バーキンは、12月のコラムで触れて以来 お問合せを頂いていたので、ウォルマート版よりベター・クォリティの25cmサイズのお取り扱いを期間限定で行うことにしました。 私が購入したのは5年以上前で、既に生産をストップしていたスタイルでしたが、ウォルマート・バーキンの大ヒットもあり、期間限定で生産再開となりました。 未だ期間については不明なので、ご注文をいただいた時点で生産が終了した場合は、キャンセルさせていただかなければなりません。 予めご了承をお願い致します。
詳細はここをクリックしてご覧ください。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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