July Week 4, 2023
“Stealth Wealth 2.0 Bag”
ステルス・ウェルス 2.0 バッグ
アメリカでは昨年から ”Stealth Wealth/ステルス・ウェルス” がトレンディングになってきたけれど、これは
単語の意味通り、リッチな人々が富をひけらかさず、あえて隠して主張すること。
とは言っても富裕層が安物を着るなどして 庶民に混ざる訳ではなく、グッチやシャネルのようなロゴでブランドをアピールするような製品を身につけず、
どのブランドのものかは分からなくても、”分かるに人には分かる”クォリティの良さや、お金が掛かったディテール等で静かに豊かさをアピールすること。
長きに渡ってインスタグラムでフェイク・リッチのインフルエンサーがプライベート・ジェットや
ブランド品に囲まれたライフスタイルを見せびらかしてきた様子とは正反対のポジションにあるのがステルス・ウェルスで、
状況に応じて ”クワイエット・ラグジュアリー”とも表現されているのだった。
ステルス・ウェルスのトレンドで売上を伸ばしたブランドと言えば、ロエベやロロ・ピアーナ、ボッテガ・ヴェネタ。
エルメスは品質が良く、ロゴをアピールしていないものの、ジェフ・べゾスと春に婚約したローレン・サンチェス(写真上左)やメラニア・トランプ(写真上左から2番目)等、
バーキン&ケリーの愛用者のイメージが災いしてアウト。
スタイルとしてはベージュ、キャメル、オフホワイトのワントーン・コーディネートがステルス・ウェルスの定番ファッション。
今年3月にスキー事故をめぐる民事裁判のために コロラド州の裁判所に毎日出廷していたグイネス・パルトローが見せた法廷ファッションは、
ブランド不明の高額アイテムをさり気なくコーディネートした「ステルス・ウェルス・スタイルのお手本」と言われたもの。
でも昨年からはステルス・ウェルスと共に ”バービー・コア”のオール・ピンク・トレンドも大きく取り沙汰されてきた訳で、
昼間はステルス・ウェルスで上品かつ大人しいファッション、夜はバービー・コアのピンク・ファッションという ハイブリッドを実践するファッショニスタも少なくなかったのだった。
さてNYは富を隠しても、ひけらかしても、やはり世界一ミリオネアが多い街とあって、ファッションで目を惹く人が必ずと言って良いほど持ち歩いているのが
トレンドの旬と言える It バッグ。
この夏、旅行者でもニューヨーカーでも ファッショニスタの間で人気なのは、写真上左でロージー・ハンティントン・ホワイトレーが持っているボッテガ・ヴェネタのアンディアモ・トート。
季節柄、きっちりしたコーディネートよりも、デニムやサンドレス等のカジュアル・スタイルにコーディネートしているケースが殆ど。
それと共に目立つのが、過去のシーズンに購入したと思しきボッテガの人気バッグやディオールのブック・トートで、これらは
定番として今シーズンも新たな素材や柄でリピートされているけれど、使い込んだバッグを持っている女性が多いということは
それだけ愛用出来て、使い勝手が良いバッグとも見なされるのだった。
でも秋物が店頭に並び始める7月になると、一気に高まるのが新しいバッグの購買欲。
人気のスタイルは早く手を打たないと買いそびれる、色やサイズで妥協を強いられるのは毎年のこと。
この秋からはシューズとバッグの世界では、ステルス・ウェルスが2.0、すなわち進化した段階を迎えると言われていて、
引き続きブランドを主張しなくても、ヴィヴィッドなカラーや、ユニークなフォルムで 庶民とは一線を画すテイストを打ち出すのがメインストリーム。
服は従来通りベージュやオフホワイトのワントーン・コーディネートでも、自己主張のアクセントになる
上質レザーのバッグやシューズがステイタス・シンボルになるようなのだった。
そんな2023年秋のItバッグとして、既にブティックで完売が伝えられるのが ロエベのパセオ・バッグ 。
パセオは様々なスタイルが出ているけれど、トレンドの目玉になっているのは餃子のようなシェイプの写真上のスタイル。
特にトップハンドルが付いたタイプが大人気とのこと。
横に長く、間口が広いバッグは 中身の出し入れが簡単で、実寸は横最大幅が35cm、高さが21cm、幅11.5cmと数字を見ると大き目に感じられる
サイズであるけれど、レザー素材が柔らかいこともあり、実際の見た目はそれより小さい印象。
デザイン的にはトップハンドルの方に惹かれるけれど、ゴールド・チェーンのストラップがついている方がやはり華やかな印象。
そこで私が考えているのはトップハンドルのデザインをチョイスして、レザー・ストラップの代わりに
別のロエベのバッグについている 同じデザインのチェーン・ストラップを装着すること。
チェーン・ストラップの方がレザー・ストラップよりも短いと思うけれど、
ゴールド・チェーンを装着した方が見た目が自分好みのバッグになるので、愛用出来るような気がするのだった。
執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |
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