June Week 3, 2022
“Lady Wong's Southeast Asian Dessert”
カラフル&美味でニューヨーカーに大人気、
レディ・ウォンの東南アジア・デザート
今年の2月22日は、英語表記で2/22/22と 2が並ぶ火曜日であることから ”Twosday”と呼ばれ、結婚、入籍するカップルが多かったことで知られるけれど、
その日にイースト・ヴィレッジにオープンしたのがサウスイースト・アジアン・デザートの専門店、Lady Wang/レディ・ウォン。
間口が狭い店舗は、典型的な東南アジア・デザートを並べるショーケースと、
東南アジアの材料を用いてクリエイトされたウエスタン・スタイルのハイブリッド・デザートのショーケースが並ぶ
小規模な空間。でもいつも来店客で賑わっていることで知られる超人気スポットで、
営業時間は午前11時から完売まで。
すなわち決められた閉店時間になる前に全てのスウィーツが売り切れてしまう日が殆どという人気ぶりを見せているのだった。
レディ・ウォンのオーナーはセレステ・タン&モーガン・アンソニーというマレーシア出身のワイフ&ハズバンド・チーム。
2人はこれまでシンガポールのフォーシーズンス・ホテル、NYのWD-50、ジャン・ジョルジュ、スパイス・マーケットを含む 5スター・ホテル、
ミシュラン・スター・レストランで修行を積んできたペストリー・シェフ。
そんな2人は、未だパンデミック中の2021年2月にオンラインでデザート・ショップをスタート。それが大評判と大人気を博し、
その後何度か出店したポップアップ・ショップでも 来店客が行列し、あっという間の完売を繰り返したことから、
パーマネント・ブティックの出店に踏み切っているのだった。
レディ・ウォンのスタートに当たって2人は、それまでの知識、経験、リサーチを生かして 綿密なメニュー開発を行っており、
伝統的な東南アジア・デザートを現地からの直輸入の材料と、伝統的な手法でクリエイトしながらも、
洗練された味わいやポップな色合いや容器、パッケージのデザインが、西洋と東洋だけでなく、
伝統とモダンのハイブリッドを感じさせるユニークなデザート・ラインナップを見せているのだった。
レディ・ウォンの目玉アイテムになっているのは、本格的なKuih/クイで、これはマレー語でケーキのこと。
要するに東南アジアのケーキを意味するのがクイであるけれど、その主な材料になっているのはパンダン、ココナッツ、そして餅米。
パンダンは南洋の植物で東南アジア料理のフレーバーに頻繁に用いられるもの。前述のようにレディ・ウォンは ほぼ全て材料を
東南アジアの農家から直接買い入れており、パンダンについてはNY市最大の輸入店。
クイには様々な種類があるけれど、ほぼ全てに共通しているのはタピオカよりも餅っぽくて 独得の歯ごたえがある心地よいモチモチした食感。
中でも私が一口味わって恋してしまったのが、Seri Mura/セリ・ムラという写真上左のクイ。
もち米をボトムに、蒸したパンダン・カスタードをその上にレイヤーしたケーキで2日掛かりでクリエイトされるもの。
ボトムは おはぎの内側のもち米部分をもっと滑らかで歯ごたえのある食感に仕上げたもの。
上のパンダン・カスタードは軽いムースのようで、その絶妙のテクスチャーのコントラストはヤミツキになる食感。
それが薄っすらしたパンダンとココナッツの風味と程よい甘さで味わえる とても上品で見目麗しいデザート。
多くのメディアが絶賛するセリ・ムラであるけれど、その説明を読んだ時は和菓子とタピオカ菓子のミックス程度にしか思っていなかったので、
これだけ評判になるデザートは やはり一度味わって見なければ本当の力量が分からないことを実感してしまったのだった。
その他に名物になっているのが写真下左のLapisSagu / ラピス・サグで、これはパンダンとココナッツフレーバーのタピオカ餅の9層のレイヤー。
フードカラーを使わず、ラズベリー、グリーンビーン等、本当の食材から抽出したカラーで色付けした1層1層のレイヤーを15~25分かけてスティームし、
それを丁寧に積み上げて完成するとても手が掛かったデザート。テクスチャーは「歯ごたえがある ういろう」といった印象。
レディ・ウォンのデザートは2日、3日掛けてクリエイトするものも多く、
独得のフレーバーと食感を実現するために決して手を抜かないのがその製法。
それを知らないと 小さなクイが4~5.5ドルというお値段を割高と思う人もいるようだけれど、
一口味わってみると いかに丁寧に、精密に作られたデザートであるかを実感してしまうのだった。
レディ・ウォンには他にも名物デザートが数多く存在していて、クイ以外のウェスタン・スタイルのケーキも全て優秀。
こちらは1つのお値段が9~10ドルになるけれど、抹茶のタルト、ライチとラズベリーのムース、黒ゴマとパッション・フルーツのドーム、
パンダンを使ったパンナコッタやティラミスなど、どれも洗練されたルックスと味わいで、全てレストラン・レベルのクォリティの高いデザート。
今時こんなに混み合っているデザートショップは無いと言えるほど 来店客が多い理由が納得出来てしまうのだった。
レディ・ウォンの店内にはテーブルは無いものの、ストリートにはアウトドア・カフェがあるので デザートとドリンクをオーダーしてその場で味わうことも可能。
またロール・ケーキ、ホール・ケーキ、ローフ・ケーキも手掛けていて、さすがに東南アジアのデザートとあって、
レディ・ウォンのデザートはドライアイスを入れずに1時間の持ち歩きに堪えるものばかり。
なので友人宅へのお土産にも適しているのだった。
フレンチ・スタイルのペストリーよりも低カロリーで、ヘルシーであること、季節を問わず食べたくなるデザートが多いのも魅力で、
これからもイースト・ヴィレッジを訪れる際に 立ち寄るスポットになると思うのだった。
Lady Wang
332 E 9th St, New York, NY 10003
TEL:(646) 422-7189
ウェブサイト: https://ladywong.com/
執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |
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