Why Yoga is No Longer the Symbol of Wellness?

ピラテス、ハイロックス、バイオハックに追い込まれたヨガの衰退!?
普及してもかつての影響力とハイプが失われた背景は?

Published on 9/24/2026


 1990年代から半ばからアメリカで大きく盛り上がったのがヨガ・ブーム。それまで”Gym Rat/ジムラット(ジムに夢中で通う人)”だったマドンナが、 「もうワークアウトはせずに、ヨガだけをやっている」と宣言し、スティングが妻のトゥルーディー・スタイラーと共にヨガに打ち込む様子が伝えられ、 ミュージシャンからハリウッド俳優までがヨガに勤しんだのは当時大きく報じられたこと。
 ヨガウェアのブランドとして登場したルル・レモンは大躍進を遂げて上場。高値を記録しただけでなく、ファッション界に ”アスリージャー・ブーム”を起こし、 ヨガ・ウェアが週末のブランチ、犬の散歩、スーパーでの買い物など、あらゆるオケージョンのウェアとして、家でくつろぐラウンジ・ウェアとして定着。 そのトレンドが長きに渡って続いたのは記憶に新しいところ。
 その一方で、ストレス対策や体調不良、運動不足のオールマイティな解決策としてヨガがもてはやされ、 ヨガと瞑想のブームはヴェジタリアン&ヴィーガンといったダイエット・ブームにも波及。 アメリカ社会では、20年以上に渡ってヨガがブームを超えた、ライフスタイルとして定着しましたが、 それに最初の陰りが見えたのはパンデミックの際。
 個人経営のスタジオは閉鎖に追い込まれ、カリフォルニアを拠点とするヨガスタジオのチェーン”YogaWorks/ヨガワークス”も破産を申請。 やがてパンデミックが終わり、フィットネス業界が回復して、対面でのワークアウトが可能になってからも 経営難が続く様子がレポートされたのが多くのヨガ・スタジオでした。



ヨガの影響力低下を招いた要因とは


 そうなった要因は、ヨガ・スタジオは低コストで始められる分、差別化が図り難く、価格競争が厳しいことから、そもそも利益率が低いビジネスであることが 経営が苦しかった根本原因。 それでいてレントやガス光熱費を含むスタジオ経営コストは上昇。他のワークアウトとの競争激化、さらにはパンデミック中に定着した自宅でのエクササイズを好む人々の増加なども ヨガが苦境に追い込まれた要因。
 そんな中、トレンド分析をするマーケティング企業はヨガに以前のようなカルト的な影響力や勢いがなくなったことを、以下のように5点に集約しています。

1. ハイブリット・ヨガとソーシャル・メディア・エクスポージャーが増え過ぎた
ホット・ヨガ、ハンモックを遣ったエアリアル・ヨガ、ピラテス・ヨガ、太極拳ヨガ、ヨガ・ウォーキング、スピニング・ヨガ等、あらゆる別要素と組み合わせたハイブリッド・ヨガを登場し過ぎた結果、 他のブランドとコラボをし過ぎて、価値が薄れた人気ブランドのような存在になり、SNSでもヨガ関連の投稿が多過ることが、誰でもやっている、特別感のなさを印象付けてしまった。

2. ヨガを通じてスピリチャル系やヴィーガンになる人々が疎ましい
ヨガは極めれば極めるほど、精神面の追求や食事制限が厳しくなり、サンスクリット語を唱えたりと、 日常に様々なこだわりが出てきて、それが交友関係や社交の場で疎ましく捉えられることがある。

3. 若い世代を中心にが効率良くカロリーを燃やし、筋肉をつけるエクササイズが好まれるようになった
GLP-1ドラッグが登場して以来、無理せず不健康に痩せる人々が増えた一方で、健康や体力に自信がある人の間では、効率良いトレーニングで、 筋肉質で、引き締まったスリムで健康的なボディを手に入れたいという願望が高まったことで、Hyroxのようなハードなエクササイズの人気が急速に高まった。

4. 高齢層が骨や筋肉を強化するエクササイズを求め始めた
アメリカでは高齢のベビー・ブーマー世代を中心に健康年齢を伸ばすための「骨と筋肉の構築」がエクササイズの目的になり、 ヨガは柔軟性には役立つものの、高齢者が維持すべき瞬発力、筋力、骨のためには無力であるという認識が広まった。

5. バイオハッキングの影響で、ヨガの精神性価値が薄れた
ウェルネスにデジタル機器がどんどん入り込み、血糖値の上昇をリアルタイムで把握したり、Oリングやアップル・ウォッチで睡眠の質を管理したり、レッドライト・セラピーを日常生活に取り入れるなど、 健康管理がデータや実績を重視する24時間体制になったことで、ヨガの精神性の魅力が薄れてしまった。



エイジング・ソサエティが求めるエクササイズとは?


 第二期トランプ政権が誕生し、トランプ氏の家族や、側近が美容整形、ヘア・エクステンション、豊胸手術で手に入れた”マー・ア・ラゴ・ルック”を手に入れようとするMAGAウーマン達が、 美容施術に夢中になり、もはやヨガ・スタジオに出掛けるのがトレンディでもファッショナブルでもないと感じるようになったのもヨガ離れの一因。 ハリウッドでも多くのセレブリティがオゼンピックを始めとするGLP-1ドラッグであっという間に体重を落としており、 「のんびりヨガなんてやっていても痩せないし、大して健康にならない」と感じた人々がヨガを止めて、痩せるための処方箋薬に走ったことも大きかったよう。 しかし、こうした女性達はそもそもヨガが他のエクササイズより楽で、「ヨガをやっている」と言えばヘルス・コンシャスをアピール出来ると考えてやっていた人々。
 その一方でヘイリー・ビーバー、カイア・ガーバー、ケンドール・ジェナーといったミレニアル世代、Z世代が憧れるボディの持主が、ヨガはせずにピラテスに熱心であることから、 2023年〜2025年の2年間で20%増加したのがピラテスを扱うスタジオ。数的にはヨガ・クラスよりも遥かに少ないとは言え、 ピラテスはキャデラック等、専用のマシンを使うので、クラスに通う必要性があり、 ヨガよりも高い料金を取れるので利益率が高いとのこと。現在3年以上経営が持続しているヨガ・スタジオの40%近くがピラテスや筋力トレーニングのクラスを取り入れているとのこと。 すなわちヨガ・スタジオはヨガ・クラスを減らすことで生き残っているのが現状。
 そんなヨガは、今ではアメリカの小学校でも、刑務所でも行われるエクササイズ。 安全性とストレッチに重きが置かれていて、そうしたヨガは普及版であって本来のヨガとは異なるもの。 そして普及すればするほど、利益効率が悪化し、新しさやトレンド性を求める世の中の上層部は他に流れて行ってしまうのが世の常と言えるでしょう。


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