Feb. Week 3, 2024
Breaking Up After 3 Months / 30 Years...
婚姻生活3ヵ月/30年の別れの落とし所とは?


パンデミック中にCube New Yorkこのサイトを見つけて以来、バックナンバーを読みふけったほどのこのコーナーが大好きです。 「まさか自分もご相談のメールをするとは…」と思いながらメールをしています。
私は1年半程前に、婚約がダメになったのがきっかけで、知り合いをスポンサーにしてVISAを取得し、アメリカで暮らし始めました。 そしてこちらで日系二世の男性と出逢って、交際から半年もしないうちに結婚してしまいました。 今から思うと、何故あんなに急いで結婚したのか自分でも不思議なのですが、別れた婚約者との結婚モードが高まっていたので、 「とにかく結婚しないと!」という変な焦りやこだわりがあったように思います。 それと周囲が外国人だらけだと、日系のアメリカ人男性は どこか気持ちが許せるところがあって、 別れた婚約者とも性格が正反対だったことから、「この人なら大丈夫」と勝手に思い込んでしまいました。
でも、実際には結婚生活初日から、「こんなはずじゃなかった」の連続で、交際時代がイルージョンだったというか、 お互いに夢から現実に引き戻された感じで、3ヵ月も経たないうちに「離婚した方がお互いのため」ということになりました。

アメリカ人の友達のリアクションは、驚きながらも「短かったね。でも合わないのなら、我慢してもしょうがないよね」と励ますものでしたが、 日本の両親や友達からは、「3ヵ月で離婚するなんて、いくら何でも早すぎない?」、「せっかく皆に祝福してもらったのだから、責任を感じて もう少し頑張ってから決めたら?」 という声が多くて、「今は日本でもバツイチはハンディキャップにならない」と聞いていた割には、離婚慎重論が多いのに驚きました。でも日本で入籍していないので、正式にはバツがつかないような気がしているのですが…。
私と彼の間では弁護士など雇わずに安上がりに離婚しよういう話になっていますが、彼には既に1回離婚歴があるので、「2度目の結婚生活が3ヵ月も続かなかったとなると、 自分が欠陥人間に見えるから、次の結婚に影響するかも」と気にしています。 私も確かにそうかなとは思うのと、住んでいる家は結構広いので、スムーズに離婚するための短い期間なら、お互いの体裁を保つための家庭内別居を我慢するのは構いません。 問題はそれを何時まで続けるべきかです。

そこで秋山さんにご相談したいのは、この場合、離婚はお互いに体裁が良い時期まで待ってからするべきなのか、 そして一般的に何時が体裁よい離婚のタイミングというのはどの程度なのかということです。 お互いに「今すぐ別れたい」というより、「タイミングを見計らって、自分にとって都合良く別れたい」というのが本音なのですが、 だからといってズルズルとこの状態が続くのも困るという感じす。
秋山さんはこの状況をどう判断されますか。何かアドバイスをして頂けると助かります。よろしくお願いします。

- E -

CUBE New Yorkの長年の読者です。長女が生まれた時にパシュミナを購入したのを覚えているので、20年以上のお付き合いです。
私も50代半ばという年齢になり、2人の娘も成人し、趣味が高じた仕事をする毎日です。夫は60歳を過ぎ、定年後の延長で仕事はしていますが、 第一線を退いたので、帰宅時間が早まり、家に居る時間が以前よりずっと増えました。 そのせいか夫が年齢より老けて見えて、だらしなく思える機会が増えました。 以前から食べたいだけ食べて、飲みたいだけ飲む人で、外食も多く、会社の健康診断に何度引っかかっても、生活を改めず、高いジムのメンバーになっても3日坊主でした。
ある日、夫と外で待ち合わせをしましたが、その時に久しぶりに夫の後ろ姿を遠目で見て、日頃感じるよりも ずっと老化が進んでいる姿に愕然としてしまい、 「自分の父の方が後ろ姿は若いのでは?」とさえ思いました。 そのショックのせいか、突然、夫の加齢臭が気になるようになりました。
夫から「加齢臭がする」のは、以前から娘達が言っていたことでしたが、私は長年の結婚生活で鼻が馬鹿になっていたのか、 口臭が強い時以外はさほど感じませんでした。 でも夫の老化の進行具合を目の当たりにしてからは、まともな嗅覚が戻ってきたというか、 惰性で許していたことに耐えられなくなったのだと思います。

今は夫の匂いが嫌でたまらず、口臭、加齢臭、トイレの匂いについてまで 私が文句を言っては、消臭剤を使うので、夫婦仲も悪くなって、離婚を真剣に考えるようになってしまいました。 娘が夫にデオドラントを渡してくれたようですが、意地を張っているのか使っていません。つまり自分を改善する意志が無くて、 私が何を言っても 「今さらそんな事を言う私が悪い」という感じです。
多分、私達が今まで夫婦として30年やって来れたのは、夫が仕事や付き合いで忙しく、出張も多く、単身赴任の時期もあって、殆ど一緒に時間を過ごさなかったからだと思います。 匂いが気になってからは、夫の寝起きの姿が汚く見えたり、すごく早食いで駆け込むように食事をするところ、洗面台に自分の髪の毛を落としてもそのままだったり、洗面器にこびりついた歯磨き粉など、 これまでは嫌でも、とりあえずは我慢してきたことに突然拒絶反応が出て来てしまいました。
今ではまるで反抗期のティーンエイジャーみたいに、夫の着る物と一緒では洗濯機を回せなくなり、食事も一緒だと食欲が無く、 ストレスで5キロ以上痩せてしまいました。

親しい友人に相談したら 「加齢臭で夫が嫌になるというのは私だけではない」と慰めてくれますが、「離婚をする前に改善の余地がありそう」と言われます。 私にカウンセリングを勧める人も居ましたが、これまで一番響いたのは、夫のだらしなさや不摂生、身勝手さは夫婦生活を円満にやっていくためにも「こんなに年齢なる前に改めてもらうべきことだった」 と言われた時でした。 ですから夫の嫌なところを 何となく我慢して、改善を求めなかった私にも否があるのだとは思います。
秋山さんはこんな理由での離婚はおかしいと思われますか。 今から夫との仲を改善する方法があるでしょうか。相手が今から変わってくれないことが分かっている状態で、改善に取り組む価値があるのでしょうか。 何かアドバイスを頂けると嬉しいです。
これからもお身体に気を付けて頑張って下さい。

- S -


離婚以外の婚姻解消方法


今回は3ヵ月、約30年という異なる婚姻期間の離婚のご相談を頂きましたので、一緒にお答えさせて頂きたいと思います。
Eさんのケースは、Sさんよりも遥かにシンプルです。確かにSさんは、驚くほどのスピード結婚&離婚ですが、世の中には何かに取り憑かれたように結婚を急いでは後悔するするカップルは決して珍しくありません。 Eさんがご相談メールに、現在 婚姻関係にある男性について一度も「夫」とは書かず、「彼」という言葉で終始していらした点からも、Eさんが「結婚した」という意識が希薄である様子が見て取れる次第です。 彼の方も、既に次の結婚の可能性を考えているからこそ、2度目の離婚に至るまでの婚姻生活の短さを気にしていらっしゃるかと思いますが、 3回結婚する人にとっては、往々にして2度目の婚姻期間が最も短いものなので、無理に家庭内別居を続ける必要はありません。 1度目の失敗があるからこそ、2度目の失敗に早く見切りがつけられる訳で、3度目さえ慎重にすれば、2度目は早期離婚でも良いのです。
私がEさんのケースでお薦めするのは”Divorce/離婚”よりも ”Annulment/アヌルメント(婚姻無効)”で関係を解消することです。 すなわち、「法的にこの結婚が無効、不成立であった」として別れることで、マリッジ・ライセンスがその日のうちに取得出来るラスヴェガスで、酔っ払ったノリで結婚したカップルが しらふになった途端に婚姻解消に使うのがこの手段です。ブリットニー・スピアーズも最初の結婚の前に、再開した幼馴染みの男性とヴェガスで72時間の婚姻関係を結びましたが、それもアヌルメントで解消されています。 アニュルメントには特に婚姻期間の制限はないようで、ニッキー・ヒルトンも現在のロスチャイルド家の御曹司と結婚する何年も前に1度結婚し、婚姻生活が1年以上続きましたが、やはりアヌルメントで 解消しています。
弁護士を挟む必要はあるかもしれませんが、Eさんと彼の場合は お互いに訳が分からないままの勢いによる結婚という点で、”酔っ払ったノリのヴェガス婚”に近いので、 法的に認められるべきものでは無かったということで、取り消しによって婚姻関係を解消するのが一番だと私は考えます。 アヌルメントも記録は残りますが、婚姻自体が成立していないので、離婚歴としてはカウントされません。また次に結婚する相手が、アヌルメントの相手を元妻、元夫と見なすこともありません。 日本では殆ど知られない制度ですが、それだけにバツ無しのステータス維持のためにも活用すべきだと思う次第です。

加齢臭よりも フォーカスすべきは…

Sさんのケースはもう少し複雑ですが、頂いたメールを拝読した直後に 私が久々に思い出したのが15年以上前の似たような経験でした。 私の場合、日頃はスーツ姿ばかりを見ていた当時のボーイフレンドが、分厚いニットセーターを着て座る姿を後ろから見た時に、 その「となりのトトロ」みたいなシルエットにギョッとして、気持が氷点下まで冷めしまいました。 相手とは その直後に口論になり、その日で別れましたが、それが彼との14回目にして最後の別れでした。 彼はそれまでの3年間、私の運を下げ続け、何度別れても戻って来る疫病神でしたが、”トトロの後ろ姿” が決定打になってスッパリ別れることが出来たのは 今も忘れられない衝撃です。
ですから私は、突然ご主人の後ろ姿を遠目で観て、老化が進んだ姿に愕然として、それ以来 加齢臭が許せなくなったと仰るSさんのお気持ちは少なからず理解出来る次第です。 またご主人の不摂生や だらしない部分についてSさんは「何となく我慢して、改善を求めなかった私にも否があるのだとは思います」とご自分を責めるように書いていらしたのですが、 定年になるまでご主人とは生活空間を共有する時間が短かったのですから、そんな相手にいちいち不満や文句を言うより、我慢をするのは当然です。 Sさんご自身も、そうした事より家事や育児、やがてお仕事になった趣味等で、ずっと忙しい生活をされてきたものとお察しします。

ですが今は状況がこれまでとは違うのです。まずはご主人が家で過ごす時間が増えたことで、ご主人に対する不満が 我慢の域を超えて来たと思いますし、老化がそれに拍車を掛けているのは明らかです。 人間は老けて見える人、老けて見えるメーク、老けて見える服など、老いを嫌い、時に見下す生き物です。 ご主人の肉体的な老化を目にする機会が増えたSさんにとって、加齢臭は更にご主人の老化をネガティブに実感させる要因になっていますので、 今まで以上にご主人の不摂生やだらしなさに不満が募っているはずです。 さらに言えば、ご主人だけでなく Sさんも年齢を重ねていらっしゃるので、若い頃よりも嫌いな事や不満に対して 温厚に接するエナジーや許容範囲が目減りしているはずです。

それとは別にこのコーナーに何度も書いている通り、人間には自分を幸福に導く本能というものが存在します。ですが運気の流れのせいで それがきちんと働かない時期があります。 私は前述のボーイフレンドと、私の運気の最低レベル、相手は最強運気を迎えたタイミングで出会いました。そのため占い師の母からは、「厄介な相手に引っかかった」と言われ、 「運が開けるまで、この相手に苦しめられる」と脅されましたが、本当にその通りでした。 だからこそ、私は疫病神と遂に別れた時に、開運期の到来を実感したのを覚えています。
私は簡単に結婚を勧めない代わりに、簡単に長く続いた関係を壊すことも勧めない立場ではありますが、新たな運勢に向かう段階で、 古い物を切り捨てることになるのは、多くの人々の人生で起こることです。 Sさんは年齢にして50代半ばくらいかとお察しします。人間が天命を全うするには108年を要すると言われ、人生の第1クォーターは27歳前後、第2クォーターが54歳前後と、25~27年周期で、何等かの新しい局面を迎えるのが人生です。 私自身、渡米は26歳の時で それが私の人生で最初の大きなターニング・ポイントでした。
そう考えるとSさんは人生の第2クォーターを終えて、第3クォーターを迎えようとしている時期です。 この時に突然、ご主人との離婚に駆り立てられるというのは、その後の人生の展開のために ご主人との関係を見直す必要があることを本能的に察知したと解釈することも出来るのです。

ところで加齢臭というのは、年齢を重ねて免疫システムが弱ってきたことにより、それまで善玉バクテリアによって抑えられてきた悪玉バクテリアが、そのパワーバランスを崩して強さを発揮する結果と言われます。加齢臭が肌全体から漂うのは、肌の免疫システムが 肌表面を覆うバクテリアのバランスであるためで、それが崩れた場合、肌全体が加齢臭を放つことになります。 でも世の中には加齢臭が無い高齢者も沢山いる訳で、それはずばり健康的な高齢者です。
60代前半にして加齢臭が強いということは、ご主人は見た目に老化が進んでいるだけでなく、身体の内側で何等かの病が進行している可能性は否定できません。 世の中には病院に行かない状態を健康だと思い込む人は少なくありませんが、病気は医者に掛かるような症状が出るずっと以前から体内で進行しているものなのです。 特に年齢の割に老化が早い人は、ほぼ確実に何等かの健康障害が始まっています。 ある程度の年齢に達したら不摂生を控えるべきなのは 老化が早まるからというより、確実に病気になり、その進行が早まるからです。
ですから私はご主人には一度しっかりと検診を受けるようお薦めする立場です。その結果、何等かのリスクが見つかり、にも関わらず ご主人が生活習慣を改めるお気持が無い場合は、 お嬢様2人を立派に育て上げて、これから人生の第3クォーターを迎えようというSさんの時間と自由が、近い将来ご主人の看病や介護で奪われるリスクがあるということです。 60歳を過ぎても不摂生を続けて、健康に対する危機感が持てないご主人の姿勢は、そのまま「30年間連れ添った妻が、今更自分を見捨てるはずがない」という危機感の無さに 通じるようにも感じますが、年齢を重ねても夫婦を続けて行くには、 お互いがお互いの迷惑にならないように しっかり体調を管理するのは、相手に対する思いやりと愛情表現であり、婚姻関係を続ける上での必要条件でもあります。

残念ながら女性には男性を変える力はありませんが、男性は自分の限界と危機感を感じた場合は変わるケースは珍しくありません。 特に年齢による限界や健康への危機感、孤独に対する恐怖は、男性を変えるきっかけになりますので、もしそれで変わって下さるようであれば、ご主人はこれからのSさんの良きパートナー、サポーターになって下さるかもしれません。 逆にそれでも変わって下さらない場合には、もう何をもってしてもご主人を変えることは出来ないと諦めが付くかと思います。
Sさんは思慮深く、情に流されずに自分に良かれと思う選択が出来る方なので、 これから遣りたいこと、達成したい夢や目標など、ご自身の幸せと悔いのない時間の過ごし方を最優先に、 もうすぐ始まる人生の第3クォーターのゲームプランを考え、それを気負わず、明るい展望を持って 淡々と実行して頂きたいと思います。 是非頑張って下さい。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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