私には妹がいます。先に結婚した妹には2人の子供が居て、専業主婦です。後から結婚した私は、夫婦共稼ぎで、忙しいすれ違い生活をするうちに、夫が浮気をしたのが原因で、
昨年離婚したばかりです。
離婚というと周囲は同情的な目で見ますが、慰謝料はしっかり貰いましたし、これからは遠慮なく仕事に専念できて、休みの日も自分ためだけに使えるようになり、
今は独り身の幸せを満喫していて、婚姻中より幸せなのは当たり前ですが、結婚のプレッシャーを受けずに済む点で、結婚前よりも遥かに幸せで、やっと人生を楽しみ始めたような気分を味わっています。
ですが家族で集まる度に、妹に「寂しくないの?」、「孤独な老後が待っているだけ」、「女性が1人で生きて行くなんて惨め」等と言われたり、親戚一同の前で
私の結婚の失敗と 子供が居る幸せな家庭を築いている自分を比較します。
そして週末が近付くと「どうせ予定なんてないでしょ」という嫌味と共に、
私を買い物や遊園地など子供を連れて出掛ける用事に誘ってきます。自分が楽をしたいのと、私に払わせるのが目的なのは見え見えです。
私はようやく自由になれて、週末は時折朝だけ仕事をして、その後1人、もしくは友達と映画やカフェ巡りをして、自分の時間を楽しんでいるので、
それを妹にしっかり伝えていますが、「いい歳をして、見栄を張ったソロ活なんて世間で言われるほどかっこいいものじゃない」等と言われるせいで、楽しさや充実感が半減してしまう思いです。
妹の子供はまだ手が離せない年齢ですし、義弟は「基本的に家事と子育ては専業主婦の仕事」というスタンスで、妹が家事と子育てに追われる毎日なので、
離婚後に自由と時間が在る私が妬ましいのだと思います。それでも最近批判がエスカレートしてきて困っています。
家事と子育てのストレスは理解できますが、私に嫌がらせを言うことで妹も不幸になってしまうような気がしています。
妹にもっとゆとりのあるおおらかな精神状態になってもらうにはどうするのが良いでしょうか。
何かアドバイスをして頂けると嬉しいです。
- M -
私と夫は小さな自営業を営んでいます。コロナ以降、正直なところ経営難で、ジワジワと売り上げが落ちてきています。
それは夫も私も気にしていて、アルバイトのスタッフを何人も解雇したので、自分達で業者から品物のピックアップをするようになったのですが、そのうちの1社のオーナーが夫が行くと普通に振舞うのに、
私が出掛けると必ず「最近注文が減っているよ」、「前ほど ちゃんと仕事してないでしょ?」とか、「前はもっと頻繁に若い女の子がピックアップに来てたのに、どうしたの」などと、
うちの業績が苦しくなっている様子を見越したような突っ込みを入れてきます。
言われた時は、笑顔で接していますが、思い出す度に腹が立って、ある日、ここに書くのも悔しいことを言われた時には、車の運転をしながら泣いてしまいました。
自分でも情けないと思いながら、怒りと悔しさが抑えられませんでした。以前も余計なことを言う人でしたが、こんなに酷くはありませんでした。
私達が品物を購入するお客側なのに、何故嫌味やいびりを言われなければならないのか腑に落ちませんし、あちらも自営業で得意先を大切にしなければならない立場だと思うと、
本当に腹が立ちます。
秋山さんはこの状況をどう思いますか。次に同じようなことを言われたら、どういう態度を取ったら良いでしょうか。
お忙しいところ申し訳ありませんが、アドバイスをよろしくお願いします。
- F -
今回は、2つの異なるご相談に纏めてアドバイスをさせて頂くことにしました。
というのもご相談者が悩んでいらっしゃるお相手、Mさんのケースでの妹さん、そしてFさんのケースでの業者さんは、同じような心理で、同じようにお2人を攻撃しているように見受けられたためです。
妹さんと業者さんは、それぞれにストレスを感じて、幸せではない状態にあります。
そういう心理状態の人間は、落ち込んでやる気や生活意欲を喪失するケースもあれば、自分より恵まれた周囲への競争心や嫉妬心、
もしくは自己顕示欲からの攻撃に出るケースがあります。
妹さんと業者さんはまさにこの後者ですが、人間は誰かを精神的に追い込もうとした場合、決定的な切り札を持たない場合には、
自分が最も恐れる事を相手も恐れると思い込み、それを武器に脅しをかけて来るのが常です。
したがって、人を攻撃している武器こそが その人の弱点でもあります。
妹さんの場合、Mさんがおっしゃる通り、 専業主婦として家事と育児の負担を1人で抱え、自分の時間や自由が無い生活に不満やストレスを感じていらっしゃるとお見受けしますので、
離婚をして、自由を謳歌するMさんを妬ましく思う気持ちは当然あると思います。
それでも妹さんが「自分の方が姉よりも幸せ」と感じて、日々の不満を我慢する原動力になっているのは、「自分には家庭がある」、「自分の老後は孤独にならない」、
「結婚し、子育てをする専業主婦、女性にとって最も幸せなステータス」と信じる意識のように思われます。
その場合、妹さんが最も恐れているのは 孤独、それも将来的に頼れる人が居ない状況であり、自分が信じて疑わない女性の幸福の概念が覆されてしまうことです。
だとすれば妹さんは、 単にMさんが自由な時間を楽しむ姿を様子を妬んでいるだけではなく、
「女性が子供も作らず、離婚をして、自由に生きて幸せになれる」こと自体を否定したいように見受けられます。
これは私がMさんの文章から受けた勝手な印象ですが、Mさんと妹さんは比較的年齢が近く、Mさんの方がマイペース、妹さんの方が姉に追いつこうとする頑張り屋タイプだったように見受けられます。
その場合、幼い頃から妹さんがMさんに対して何等かの競争心を抱いていたと思われますし、先に結婚し、子供を2人設けてことで、
これまで妹さんは姉をリードして人生の優位に立った気持ちを味わっていたのかもしれません。
そしてMさんが離婚されることになり、「更に優位が高まった」と思っていたところ、
離婚が成立した途端に Mさんが自由と幸せを謳歌するようになったことで、焦り、嫉妬、苛立ちを感じるようになったのが現在のように見受けられます。
一方のMさんは、恐らく妹さんを含むご家族の皆さんを安心させるために「離婚をしても私は大丈夫、むしろ離婚をしてからの方が私は幸せ」という態度で振舞っていらしたはずですし、
周囲もそんなMさんを見て、決して強がりではなく、本当にお幸せな様子を悟られたものと思います。
ですが、それは妹さんの焦りや嫉妬の火に油を注ぐものであったはずです。メールに書いて下さった「私はようやく自由になれて、週末は時折朝だけ仕事をして、その後1人、もしくは友達と映画やカフェ巡りをして、自分の時間を楽しんでいるので、それを妹にしっかり伝えています」という行為もむしろ逆効果です。
Mさんがこのまま シングルに戻った自由を謳歌しながら 妹さんと関わり続ければ、妹さんの家事&子育てストレスが益々高まって、夫婦仲に悪影響を及ぼしても不思議ではないように思います。
その手っ取り早い対策として私がお薦めするのは、これからは妹さんにはMさんの充実したシングル・ライフの詳細を伏せて、
「バツがついたから、せめてキャリアでしっかりしないと」などと言って 仕事に追われるMさんをアピールすることで、
妹さんが考えたいように Mさんの生活を勝手に想像させてあげることです。
人間という生き物は、因果応報の概念を意識的、潜在的に持っているので、ネガティブな感情を抱いた人物と疎遠になったり、
以前ほど情報が入って来なくなった場合、その人物に何等かの罰が当たっていると思い込むところがあり、たとえそれが想像の域を出なくても 精神的な満足が得られるケースが殆どです。
妹さんは家族とは言え、成人して別世帯で暮らす間柄なのですから、一定の距離を保って、
お互いにお互いのことを、自分が良いように解釈して生きる方が良好な関係が保てるのです。
「妹にもっとゆとりのあるおおらかな精神状態になってもらうにはどうするのが良いでしょうか」というご質問の答えにはなっていませんが、
残念ながら現段階では Mさんご自身が妹さんの焦りや嫉妬の要因ですので、そのMさんが妹さんにゆとりのあるおおらかな精神状態をもたらすことは極めて難しいと言えます。
相手を変えらなれいと分かっている時は、自分の関わり方を変えるしかありません。
せっかく自由の身になったMさんには、もっと取り組むべき事や、やってみたい事が沢山あるはずです。
それらにどんどんチャレンジして、妹さんに何を言われても揺らがない幸福感を手に入れるよう頑張って下さい。
一方、Fさんのご相談では、業者さんの言い分からして、その人物が恐れているのは、自分が経営するビジネスの不振のように見受けられます。
私は自営業を20年以上営んでいるので断言できますが、自分のビジネスが上手く行っている時の経営者ほど 心が広くなれる人間は存在しません。
経営者が他人のビジネス、それも自社製品を買い取ってくれている業者のビジネスに嫌がらせを言う場合、しかもご主人には何も言わず、
あえて弱者と見なされるFさんを選んで言ってくるのであれば、業者さんのビジネスが上手く行っているとは考えられません。
頭を冷やして考えれば、業者さんが商品を卸しているのは、多かれ少なかれFさんと同じようなビジネスをしている人々ですので、
Fさんだけが取り立てて業績不振でない限りは、業者さんのビジネスとて潤ってはいないはずです。
業績不振はお互い様のはずですが、難しい局面で 他人の方が苦しく、貧しく、弱く、恵まれないことを認識することによって、自分の気持ちを保とうとする人が
少なくないことはFさんも熟知していらっしゃることと思います。
恐らくFさんは、ご自身のビジネスへの不安感から、業者さんの言葉がストレートに刺さってしまったものとお察ししますが、
実際には業者さんの方が借金やローンを抱えていたり、成長過程の子供達の教育費等で、Fさんよりも遥かに追い込まれていても不思議ではありません。
ビジネスというものはお金と物の動きだけではなく、人間の心情が深く絡むものです。仕入れ先との力関係も「お金を払う方が立場が上」という構図が常にまかり通る訳ではありませんし、
私情を交えないビジネスには温情もありませんので、それが良いという訳でもありません。
ビジネスの関りも、親戚・家族の関りと同じくらい厄介な部分がありますし、特に規模が小さい自営業の場合、他業者との関りがセンシティブなケースが多いも事実です。
反面、経営者が自由裁量で、自分の考え通りにビジネスが出来るというのは自営業の大きな魅力ですし、方向転換やビジネスのリグルーピングがし易いのも、時代が移り変わっていく中で大きな利点でもあります。
その利点を生かすには、無駄で不必要な我慢をせずにアクションを起こす必要があります。我慢というのは大企業勤めの方が、安定と引き換えにするものであって、
自営業者が我慢を始めたら、火に掛けた鍋の水の中のカエルが、ジワジワ上がっていく温度の中で死ぬまで動かないのと同じように、どんどん悪い状況を受け入れるだけの立場になってしまいます。
今のFさんは、「業者のいびりくらい、時々言い返して、我慢すれば…」と考えていらっしゃるかと思いますが、それが身を亡ぼす我慢の始まりかもしれないのです。
自営業を営む限りは、「我慢するより、努力とチャレンジ」という方針を決めて、気に入らないことがあったら、それにとことん取り組むくらいの姿勢で丁度良いのです。
また私にとっては、嫌味やいびりを言われながら仕入れたネガティブ因子を持つ商品をCUBE New Yorkのお客様にお送りすることなど言語道断です。
運転中に涙が出るほど悔しい思いをされたのでしたら、そんな業者と関わらない道を模索するべきなのです。
そうやって自分のビジネスを心地好く運営しようとする姿勢が、新しい可能性や活路に繋がっていくのです。
自営業だからこそ出来るこだわりや、自営業だからこそ出来る融通、変わり身の早さなどを生かして行かなければ、私はこの先、自営業には生き残りの道は無いとさえ考えています。
のらりくらりやっていれば、何とかなる時代ではないのです。
業者さんからのFさんへの嫌味がエスカレートして、それを私にご相談下さるということは、「嫌味のかわし方を習得しろ」ということではなく、
ここで「経営者としてアクションを起こせ!」とFさんを守って下さる目に見えないパワーが動いていることだと解釈して頂きたいと思います。
同じ自営業者として、Fさんとご主人の今後の頑張りを心から応援しています。
Yoko Akiyama
執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |
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