このコーナーを何年も愛読しております。迷った挙句、私も割り切れない思いをご相談したいと思い、メールすることにしました。
私は社会人になった直後から、ある男性と約20年交際を続けました。
結婚しないまま交際をしてきたのは、いずれは結婚すると思って安心していたこともありますが、お互いに仕事に忙しい時期があったり、
趣味に没頭した時期、家族がゴタゴタしていた時期があって、双方が同時に結婚したいという状況にならなかったことが一番大きいと思っています。
何度も結婚について話したこともありますが、相手も私も1人暮らしで、御互いに料理や家事に問題はなく、1人暮らしが気楽で良いと思っていたこともあります。
それに相手も私も自営業を営んでいて、普通の人よりは高収入で忙しく、お互いに「もう子供は無理だね」と話していたのでタイムリミットがある訳でもありません。
「結婚はするけれど、今する理由は無い・・・」という状態が続いてきました。
私達は共通の友人の間では夫婦同然の扱いで、旅行なども複数の友達夫婦と一緒に出掛けていて、友人の結婚式にもカップルとして夫婦のように出席していました。
お互い「独身のうちに遊んでおこう」というような気持ちは無く、私は彼一筋でしたし、彼も私一筋であったことは今も疑ったことはありません。私達の関係は良い意味でも、悪い意味でも安定しきっていました。
ですが40歳が近付いてきたところで、だんだんと「そろそろ結婚しておいた方が良いのでは?」という焦りが出てきました。
自分の容姿や健康面での衰えを感じていたことも否めませんでしたが、それについては相手も御互い様だと思っていました。
それと親が体調を崩して、「自分達が生きている間に結婚して欲しい」と言って来たことも大きかったです。
そのため彼と結婚についてかなり真剣に話してみましたが、私達の間では過去にも何度も結婚について集中的に話す時期があったので、彼はまたそんなサイクルが巡ってきたとしか思っていないようでした。
でもその時の私は、それまでに無いほど結婚を焦っていたので、複数の友人に「どうしたら彼が結婚に踏み切るか?」と相談するようになっていました。
そのうちの何人かが提案してきたのが 「一度別れて距離を置いてみたら、お互いの大切さが分かるのでは?」ということでした。
提案した友人の知り合いも 長く交際をしていて、一度別れてみたら 3ヵ月後には復縁して婚約したそうで、
私はそれを聞いて「確かに私達の間も メリハリが無いまま、ダラダラ続けて来たのがいけなかった」と反省しました。
それで、「彼と次に結婚について話し合った時に 煮え切らない態度なら、一度は別れよう」と決心したことから、
別れを切り出すことになってしまいました。その時は一時的な別れのつもりでいたのですが、言い渡した時は 女性の年齢について真剣に考えてくれない彼に何故か無償に腹が立って、
これまでに無くキツイ事を言ったと記憶しています。
彼は、私がいきなり 別れたがったことに驚いていましたが、だからといって引き留めようとはしませんでした。
共通の友人からは、後から 彼がショックを受けて落ち込んでいたことを聞かされましたが、だからといって彼から復縁を迫って来ることも無く、
それから半年くらいが経過した時に、彼が10歳以上年下の女性との交際を始めたという話を聞きました。
しかもその女性を彼に紹介したのは共通の友達グループのメンバーで、女性はバツイチの美人と聞いて、正直なところ 私は彼に女性を紹介した共通の友達に裏切られたような気持ちになりました。
過去約20年も 私と彼を「夫婦同然」と扱っておきながら、別れた途端に次の女性を彼に紹介するというのは、まるで私が簡単に取り換えが効く存在だと言われているような気がして、
侮辱されたように思いましたし、彼とは本当に別れる気が無かっただけに 無神経だとも思えました。
そして次に聞いた彼の噂は、バツイチ女性と一緒に住み始めたというもので、彼が借りていた物件がリース切れになったのをきっかけに
新しいマンションを購入し、そこに女性が転がり込んだとのことでした。
当初は「どうせすぐに別れるだろう」と思っていた私は、この段階で20年以上私と付き合っても、「一緒に住もう」などと言わなかった彼が 同棲を始めたことが とにかくショックで、嫌な予感がしたのですが、
それから数カ月後に、彼自身からのメールでバツイチ女性との結婚を知らされました。
予期してはいたとは言え、その知らせは雷が落ちたような衝撃で、 「私との20年間は一体何だったのか?」という絶望感は一生忘れないと思います。
その時は「おめでとう」の一言をタイプするのさえ辛かったので、彼にはメールの返事をしないままになってしまいました。
私にとって更にショックだったのは、共通の友達グループが 彼の結婚を祝福するパーティーをするのは仕方がないとしても、その後もグループでの旅行や週末の飲み会やバーベキューなどを
私の代わりに彼の奥さんが加わった形で続けていることです。私がそれまで自分の友達だと思っていた人達が 実は皆彼の友達で、私は彼の付属品に過ぎなかったことに傷つきました。
そのグループで私に同情的な友人でさえ、彼の妻が 「グループにあっという間に溶け込んだ」と話していて、女性は気さくで、よく気が付いて、いろいろなことを率先して快活にやってくれるそうです。
他のメンバーより年齢も若いとあって、彼女が加わってからグループの雰囲気が若干若返った様子も教えてくれました。
最初は私も新しい相手を見つけて、早く胸を張って彼や以前のグループの友人達に会えるようになりたいと思いましたが、男性のアラフォーと女性のアラフォーでは
全く状況が違うことを今さらのように感じることが多く、今では友人の助言を聞いて彼と別れてしまったことを心から後悔しています。
無責任な助言で私を駆り立てた友達の1人は、この顛末を聞いて「あー、そう来ちゃったかー」と高見の見物的なことを言い出して、
そんな人の言う通りした私も本当に馬鹿でした。
別れた直後に彼が傷ついていたという友人の証言から考えても、私さえ別れを切り出さなければ
彼との関係は未だ続いていたように思います。その方が今よりもずっと幸せで、友達に囲まれて楽しい週末や夏休みを過ごしていたと思うと、
後悔と悔しさが交互に襲ってきて、気持ちの整理がつかないまま、どんどん時間だけが経過してしまいました。そして年を取って行くだけの自分を感じて嫌気が差しています。
秋山さんだったら、彼を結婚に踏み切らせようとしていた時の私にどんなアドバイスをしていたでしょうか。
そして今の気持ちをどんな風に吹っ切るのが良いとお考えでしょうか。
こんな未練がましいご相談をすること自体が後ろ向きだと思いますが、何か助言を頂けたら嬉しいです。
よろしくお願い致しします。
- Y -
「長く交際していたカップルが別れた途端に、その片側が別の人とスピード結婚する」というケースは、ある程度年齢を重ねた人であれば
実例を知っている、もしくは聞いたことがある程度に珍しい話ではありません。
私の知り合いの1人も、アメリカ人のボーイフレンドが結婚に踏み切らないので 日本に帰国したところ、突然相手からのラブコールが押し寄せて、
数カ月後にはアメリカに戻って結婚しました。ですが それは3年程度の交際で、友人が20代後半の頃のストーリーです。
結婚願望が強かった友人は 煮え切らない彼に本当に見切りをつけて、日本で新しい出会いを見つけた方が早く結婚出来ると考えての帰国でした。
別れた彼からのラブコールなど全く期待していなかったので、Yさんのようにリバース・エフェクトを期待した別れではありませんでした。
私が察するところ、Yさんに無責任な助言をされたお友達がおっしゃっていたのも、 結果的に 別れた反動で結婚に至っただけで、計画的な別れではなかったのかもしれませんし、
交際期間もYさんより遥かに短く、Yさんより若い年齢でのことのように思います。
通常、交際相手に別れを切り出すということは 「相手が嫌になった」、「このまま付き合っていても仕方がない」、もしくは「別に好きな人が出来た」という意志表示です。
少し距離を置いて、御互いの存在を冷静に考えたいカップルが 関係を一時休止するのは珍しいことではありませんが、そんな場合でも相手を引き留める気持ちがある限りは
別れを言い渡して 相手を傷つけたり、別の相手との可能性を模索する機会を与えるのは避けるのが普通です。
別れを言い渡した限りは、相手がショックを受けながらも新しい相手とデートをしても文句は言えません。また共通の友達が相手に新しい女性を紹介したところで、
Yさんに対する侮辱ではありませんし、ましてや無神経な行為でもありません。
さらに言えば、アラフォーの女性が婚活市場では極めて不利であることは、年齢重視の日本社会に暮らしていれば誰もが熟知していることです。
彼と別れた後のYさんの状況は、ご本人も後悔されていらっしゃる通り、自らの策に溺れたとしか言いようがない状況です。
私が非常に不思議に思うのは、本来だったら約20年もお付き合いして、彼の事を誰よりも分かっていると思しきYさんが、何故彼のことをろくに知らない友達に
彼を結婚に踏み切らせる指南を仰いだのかということです。
Yさんが 「お互い ”独身のうちに遊んでおこう” というような気持ちは無く、私は彼一筋でしたし、彼も私一筋であったことは今も疑ったことはありません」と書いていらしたのは私は真実だと思いましたし、
それだけに彼との交際によってYさんが婚期を逃してきたことは、彼が一番理解していたはずです。
加えて独身生活が長くなれば、周囲から嫌というほど結婚について尋ねられたり、プッシュされるのは男性とて同じです。
ですから彼の中では「Yさんといずれは結婚する」ということで気持ちが固まっていたと思いますし、そのことはYさんとの別れでショックを受けていた様子からも言えると思います。
Yさんご自身も、これまで結婚が先送りになってきたのは彼1人の都合ではなく、何度も「お互いに…」とそれぞれに先送りする事情があったことを、決してYさんだけの思い込みではない様子で書いていらっしゃいました。
そこまでお互いに「いずれは結婚する」ことで固まっていた状況で、何故Yさんが 彼のことを良く知らない人々のアドバイスを真に受けて、しかも別れを装うという 言わば彼を陥れるような策略で
結婚に踏み切らせようとされたのかは、「魔が差した」と言えるような状況です。
Yさんは「彼が結婚に踏み切らない場合は、一度別れてお灸をすえる」程度に考えていたのかもしれませんし、「20年付き合って夫婦同然の彼なら、別れを言い渡しても自分から離れることは無い」という過信がおありだったのかもしれません。
ですが長年の交際相手と別れるということは、相手を自分との関係から 新しい世界に解き放つことを意味します。
その結果、新しい相手との交際がスタートした場合、その相手は会話内容から 食べ物や音楽の好み、一緒に行うアクティビティ等、何から何までが新鮮で、
人生をやり直しているような気分を味わうことになりますし、相手が自分より若ければ尚の事、新鮮味が高まります。
そうなると前の交際相手と過ごした時間が長ければ長い程、新しい相手との関係が運命のように感じられるのは自然な人間心理です。
ですから約20年Yさんと交際しても一緒に暮らしたり、結婚に踏み切らなかった彼が、新しい相手とはあっさり結婚に至ったのは、新しいお相手の方がYさんより魅力的で優っていたという訳ではありません。
人間は長く続いた状況から解き放たれると、それまでとは異なる行動に踏み切るようになるのです。
私であれば 彼を結婚に踏み切らせるために、当時のYさんにどんなアドバイスをしたかについてですが、
お2人の交際期間が極めて長いだけに、今後の関係のロードマップ、すなわちお互いの未来設計を彼と一緒にするようにお薦めしたと思います。
Yさんは 彼との結婚について「お互いに ”もう子供は無理だね” と話していたのでタイムリミットがある訳でもありません」とご相談文に書いていらっしゃいましたが、
誰にとっても年齢はタイムリミットです。20代や30代半ばなら「特に急がなくても」ということも、 アラフォーになれば
「今すぐとは言わなくても、そろそろ考えなければ」という気持ちになっているのです。
ですから「来年の何月の段階で付き合っていたら婚約する」、「婚約から1年経過したら入籍する」等と、時間的な猶予を与えたタイムテーブルを合意の上で決めることにより、
交際から婚約、婚約から結婚へのステップアップが 気持ちやその他の準備を整えながら、自然に流れるように進んだように思います。
また一緒に住み始めるタイミングも 「結婚したから一緒に住む」のではなく、「お互いの気持ちと生活状況の準備が整ってから…」とか、「お互いに必要を感じてから」と先延ばしにした方が、
結婚まで辿り着く可能性が更に高まったと思います。
まるでベルトコンベアーに乗ったオートメーションのようなプロセスですが、長く交際したカップルは現状維持で安定する一方で、突然の変化に弱いのです。
私は「付き合いを続けるうちに、何となく結婚した」というシナリオの方が、別れを言い渡すショック療法よりも遥かに有効だったと考えます。
ですが 以前のこのコーナーに書いた通り、結婚に至るカップルというのは運命に導かれているのです。どんなに長く交際したところで、結婚に至らなければ
最初から結婚する運命では無かったと解釈するべきです。Yさんと彼にとっては、結婚しない相手と20年間の交際を続けたことが運命であって、
その交際が終わった後には お互いにそれぞれの人生が用意されているものなのです。
そんな人生の次のチャプターを迎えるにあたって、Yさんが後悔や割り切れない気持ちを整理する方法ですが、
私はどんなに時間が経過していたとしても、結婚を知らせてくれた彼のメールに返事を書いて、
彼の結婚を祝福することをお薦めします。彼には「自分の気持ちを整理してから…と思ううちに、時間が経ってしまった」ことを詫びながら、
彼の妻の良い評判を聞いていることや、自分の近況を伝えながら、彼の幸せを祝福するべきです。
そうすることによって 相手が返事をしてきても、してこなくても、Yさんの気持ちが大きく変わるはずです。
言葉には人間の心理を変えるパワーがあります。気が乗らなくてもポジティブなメールを書いているうちに、
彼の結婚に対するネガティブな気持ち、自分から言い渡した別れに対する後悔の気持ちがどんどん払拭されて、本当に祝福する気持ちが沸いて来ることは、
Yさんのご相談メールに表れるお人柄から 私が保証致します。
そして一度人を祝福するメンタリティを持てば、人間は自分の幸せを感じることが出来るのです。
逆に妬んだり、後悔をしたり、悔しがっているうちは決して幸せには成れませんし、そんなメンタリティでは幸福はおろか、幸せを運んでくれるような友人さえ寄り付きません。
余計な意地やプライド、嫉妬心、後悔はエイジングをスピードアップするだけでなく、内側からの腐敗を招きますので、人を惹きつけるような魅力が宿ることもありません。
一度気持ちを切り替えたら、Yさんがすべきことは婚活ではないように私は考えます。
自営業で収入もある自立した大人の女性が、現れるかどうかも定かではない相手を探して 幸せを先送りにするなんて馬鹿げています。
そもそも人間は幸せな単体であるからこそ、幸せな仲間や恋愛相手を惹きつけて、幸せの相乗効果の中で楽しく生きられるのです。
Yさんは20年交際した彼を失ったのではなく、運命によって彼から解き放たれたのだと考えを改めて、これからは自分のペースで幸せになる道を切り開くべきです。
人生には無駄な経験などありませんので、これからYさんが自分の本当の幸せを手に入れた時には、彼との20年の交際が決して無駄や犠牲ではなく、
自分の未来の幸せのための下準備期間だったと振り返ることが出来るはずです。
自分を幸せにするのも、不幸にするのも、自分自身であって、決して長年の交際相手を含む他人ではないことを ここでしっかり心に刻み付けて頑張って下さい。
このコーナーでくすぶる感情をご相談下さってから、開運される方は多いので、是非 心を浄化してこれからの幸せに備えて下さい。
Yoko Akiyama
執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |
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