July. Week 4, 2022
Investing in Young Good Looking Talent?
年下イケメンのビジネスへの姉の出資...、どう考えても


秋山 曜子様、
いつも愛読しています。私の姉のことで相談させて下さい。

姉は40代前半の独身で、30代に婚約破棄になってから特にお付き合いする人も無かった代わりに、仕事では認められて 高額の収入を得て、独身貴族の生活をしてきました。 少し前には投資もして稼いだらしく、高額マンションを買って住んでいます。 その姉のお金の遣い方が変わってきたことを母から聞いたのは約1年前のことでした。

どうやら ある男性のビジネスに投資をしたようで、最初にその話を聞いた時は 男性に警戒する姉にも遂に好きな人が出来て、 その人にほだされて投資をしてしまったのかと思いました。 姉に尋ねてみると、「確かに投資はしたけれど 確実なビジネスだし、相手は学歴も良くて頭が良い きちんとした人。何ならそのビジネスを見に行く?」と言われ、 姉と一緒に出掛けました。姉に紹介されたその男性はちょっと中性的なイケメン・タイプ。 ファッショナブルで 人当たりが良く、礼儀正しくて 私への気の遣い方なども 普通の男性とはちょっと違う印象でした。 でも決してホストみたいな感じではなく、頭が良さそうで 話上手。ビジネスもやり手そうな印象を持ちました。
姉とも男女の関係ではなく、年上のお姉さんが有望な弟分をサポートしているという印象だったので、 安心した私は 母に「変な男性に引っかかった訳ではない」と報告したほどでした。

その後 姉と話しているうちに、イケメンのビジネスに纏まった金額を複数回投資していることを知りました。 姉は私がイケメンに好感を持ったのを見て、反対しないのだろうと思ったのか、 だんだんと私に出資について話すようになり、イケメンの成功を期待しているようでした。
聞けば投資をしているのは姉だけではなく、他の有閑マダム達が更に多額を出資したらしく、 マダム達とは イケメンのビジネスを応援するグループのようになっていて、 そのグループでレストランに出掛けたり、旅行をするのも楽しいと話していました。 どうやら姉のお金遣いが派手になったのは、グループで高額レストランに行ったり、他のマダム達に見劣りしないようにブランド物の服やバッグを買い揃えたからだということも 分かりました。

ある時 姉の体調が悪くなり、診察のはずで出掛けた病院にそのまま入院することになりました。 私が着替え等を取りに姉のマンションに行きましたが、その時に姉の引き出しにあった通帳の中身を、好奇心に負けて見てしまいました。 すると百万単位のお金が何度かイケメンのビジネスと思しき口座に振り込まれていて、予想したより金額が多かったのに驚きましたが、 毎月のクレジット・カードの引き落としが かなりの額になっているのにも驚いてしまいました。
入院中は姉の神経を逆なでたくなかったのと、通帳を勝手に見た罪悪感で何も言いませんでしたが、 お見舞いに行った時に 姉の方から出資について話し始めました。 イケメンのビジネスには姉を含め5~6人の女性が出資しているらしいのですが、少し前に一番大きな金額を出していた女性の夫が 浮気を疑ったらしく、イケメンについて興信所を雇って調べたところ、 学歴や留学歴を偽っていること、ビジネスは自分で言うほど順調ではないと思われること、 今後のビジネス計画も実現性に乏しいという調査結果で、「妻と浮気はしていなくても 何か胡散臭い」ということで 出資をさせられたご主人は 全額の返済を求めて来たそうでした。
私はてっきり姉も「それで目が覚めた」という話をしているのかと思って聞いていたのですが、 「イケメンはきちんと形のあるビジネスをしているのだから詐欺ではない」、「学歴は留学歴のウソは自営業なら信頼を得るために 多かれ少なかれ誰でもやっていること」、 「ビジネスは 今は出費が多くても、今後はそれが減らせるので利益が上がる」、「新しいビジネスは未だ計画段階なので、何の実態も無くて当たり前」と、 調査結果への反論を熱っぽく語り始め、「浮気が掴めなかった分、イケメンに不利な情報を無理に掻き集めただけ」と言い切っていました。
そして興信所を雇った夫の妻は、 夫の行動を恥じて イケメンや姉を含むインベスターに謝罪してきたそうで、「夫の出資額の半分なら自分で出せる」と 自費の出資を申し出て、 夫に返金した分は 他のインベスター達が分担で負担したらしく、姉もその負担のために最近纏まったお金を振り込んだと説明していました。

私は通帳のゼロが沢山並んだ振込額を頭に描きながらその話を聞いているうちに 姉のことが真剣に心配になってきてしまいました。 一応姉のマンションは持ち家ですが、ローンが未だ残っているはずです。 姉の年齢を思うと この先どんどん結婚の可能性が減って行くと思いますが、 あんなイケメンに馴染んでしまった後では、普通の男性に惹かれて結婚することなどあり得ません。
ご主人のお金で出資したマダム達とは違って、姉にとってはイケメンへの出資が貴重な老後の蓄えだと思うと、 私は穏やかでいられません。
ですが姉はまるで洗脳されているかのように、イケメンへの出資を通じて 親しい交友関係のグループが出来たこと、 イケメンのビジネスの成長がそのグループにとっては投資を兼ねた夢になっているそうで、リスクとは考えていません。 ふと考えると姉は、集中力とか仕事能力には長けているのですが、地道な積み立てや自分の財産の把握は苦手です。2年くらい前に大儲けした投資も 友達に言われるままに買ったクリプトカレンシーが上がっただけす。自分で勉強して投資をした訳ではないのに 「投資がこんなに割が良いものだとは思わなかった」と甘く考えているような言動もあって、「投資でまた稼げる」と軽く考えて贅沢や出資をしているのかもしれません。
私はその逆で、スプレッドシートで家計を管理するタイプなので、お金に関して姉と私は水と油です。 ですから私のお金に関する忠告が姉の耳に入らないのは分かっていますが、このまま 姉がズルズルと老後の蓄えを減らして行く様子を放置することはできません。

イケメンは30代半ばか後半くらいです。出資をしているマダム達とは 特に誰かと親しいということは無く、均等に距離を置いた親しさで、姉も他の女性達もイケメンと2人で会うことは無いそうです。 また姉たちと会食に出掛ける時は、イケメンは自分の分をきちんと支払って マダム達をATM代わりに使うようなことは無く、 そういうところも イケメンが信頼される理由になっているようです。 もっと女たらしみたいな人だったら、男性に用心深い姉は引っかかることは無かったと思うのですが。

秋山さんならば、こんな状況でどうされるでしょうか。どうしたら姉にもっと冷静で、将来を考えたお金の遣い方に目覚めさせることが出来るでしょうか。 何かアイデアやアドバイスがありましたら、是非よろしくお願いします。 長文失礼いたしました。
今後のCUBE New Yorkさんのご発展、ご繁栄をお祈りしています。

- E -


経済自立型セックスレス一夫多妻制!?


Eさんがメールに書いて下さった 若きイケメン・ビジネスマンと お姉さまを始めとする女性インべスターの関係は、言ってみれば経済自立型セックスレス一夫多妻制です。 すなわち、経済的に男性に依存していない女性達が、婚姻関係こそは無くても まるで一夫多妻制のように1人の男性を中心にしたコミュニティを築き、 その秩序が男性の存在によって保たれている状態です。
もしそれに恋愛感情や肉体関係が絡むのであれば、既婚の女性にとっては浮気だ、不倫だという刑事責任は無くてもモラル上の問題や責任を問われる事態になりますが、 ”若きイケメン・ビジネスマンのお取り巻きギルド” は、アントレプレナーとインベスターという社会的に認められたポジションで、 しかもセックスレスという後ろめたさゼロの関係です。 私個人の見解では、この男性が ゲイで 女性にはそもそも興味が無く、だからこそ 複数の女性と分け隔てのない交友関係が持てるのではないかと考えますが、 実際にNYのハイソサエティでも 1990年代後半から日本で言うリーマン・ショックが起こる2008年前後を中心に、 同様の男性の存在が ”Walker/ウォーカー”と呼ばれて重宝されていたことがあります。
ウォーカーとは通常、ファッション・デザイナーやインテリア・デコレーター、ヘアスタイリスト等、女性の関心が注がれるビジネスに従事するルックスが良いゲイ男性で、 そのビジネスをひいきにする富豪の夫人たちを パーティー等のソサエティ・イベントで 夫に代わってエスコートして一緒に歩くことからついたネーミングです。 ゲイなので既婚女性と親しくても問題はありませんし、パーティー等では自分を売り込むためにチャーミングに振舞ってくれるので、嫌がる夫を無理に連れて行くよりもウケが良く、しかも自慢にもなる存在です。 ファッショナブルで、ルックスとマナーが良く、複数の言語が話せれば更に理想的で、夫人達が ウォーカーのビジネスをひいきにするだけでなく、夫のお金で出資するケースも少なくありませんでした。

そもそも女性はある程度年齢を重ねると セックス・ドライブが衰えますので、逆に性欲が絡まず 一緒に居ても何の疑いも持たれないような男性の方が良好な関係が築けるものです。 その男性が若く、ルックスが良く、ファッショナブルで、話術にも長けていれば申し分無しで、そんな男性と定期的に食事をする間柄になっただけで 生活に満足感、優越感、エキサイトメントが もたらされるのです。 お姉さまと一緒に出資をしている有閑マダム達にしても、夫との裕福な生活、安定した老後をイケメン・ビジネスマンのために捨てるつもりなどサラサラ無い訳で、 彼との楽しい時間や、彼を友人に紹介する優越感等を 後ろめたさゼロのインベスターという立場で満喫しているはずです。
イケメンがインベスター・マダム達との会食に自費で参加するのも、 ホストのような「お金との等価交換サービス」との差別化を図っているためだと思います。 基本的には彼の”自費”もインベスターの出資から賄われている訳ですが、 「自分達が行っているのは出資であって、経済的な依存をさせている訳ではない」という認識やある種のプライドをマダム達の心理に植え付ける意図があるようにも見受けられます。

この問題で難しいのは、お姉さまがイケメン・ビジネスマンの魅力もさることながら、彼のお取り巻きの交友関係にもドップリ浸かってしまっていることです。 恐らくお姉さまは、高額給与のシングル仲間がいらっしゃらず、いらした場合でも堅実なお金の遣い方をしていらして、既婚のお友達はご主人の手前やお子さんの将来を思って贅沢を控えるので、 これまでは高額レストランに行きたくても、一流ホテルに宿泊するような旅行に行きたくても、一緒に出掛けられる交友関係が無かったものとお見受けします。 でもイケメン・ビジネスマンへの出資を通じて 遥かに裕福なマダム達と知り合えたことで 贅沢な楽しみが味わえるようになり、 マダム達のレベルに合わせて自分のファッションもグレードアップさせたことで、経済面で堅実なEさんが驚くような出費をしてきたものと思います。
そしてその出費はお姉さまが稼いだご自身のお金であり、お姉さまは立派な大人ですので、 Eさんを含むご家族には口出しや強制の権限が無いものでもあります。

人の気持ちを変えるよりも、人が信じる事実を変える方が簡単です

Eさんはお姉さまのことを「まるで洗脳されているかのように」と書いていらっしゃいましたが、一度そういう精神状態になった場合、 何等かのきっかけ、もしくはある程度の時間が経過して自分で悟る以外は、周囲からの説得などで気持ちを変えることはありません。
30代前半で婚約を破棄していたお姉さまにとって、若きイケメン・ビジネスマンの存在は新鮮かつ理想的で、そのお取り巻きギルドの一員になることは それまでの自分の世界を広げてくれるものだったの思います。いわばカルト宗教に関わったような状態ですので、 家族が無理に出資をやめさせようとすれば 絶縁状態になっても不思議ではありません。
凝り固まった人の気持ちを変えるよりも、遥かに簡単なのが「本人が信じる事実を変えること」です。 ですからEさんには お姉さまの気持ちではなく、お姉さまが信じる事実や状況を変えて、それを突きつけるアプローチをして頂きたいと思います。

その下準備としては 内心はどうあれ、まずはEさんが お姉さまの出資や インベスター・マダムとの贅沢に決して反対しない立場を明確にすることです。 その上で、万一ビジネスが上手く行かなかった場合に備えて 老後の蓄えをどれだけを確保するべきか、 更なる出資を望まれた場合、あとどの程度お金が出せるか等を予め把握して リスクを防ぐために、 ご家族に口外しないことを条件に お姉さまの個人資産が一目で分かる資料を Eさんが作成したいと申し出て下さい。
世の中には稼ぎは良くても、収支のバランス感覚がゼロの人は決して珍しくありません。そういう人に限って 儲かっている時は頻繁に残高をチェックしても、一度出費が嵩むと それと向き合いたくない恐怖心や、 面倒を先送りにする気持ち、未だ蓄えがあるはずといった安易な思い込みから、自分の経済状態をしっかり把握していないケースは多いのです。 時代はこれからリセッションに向かいますし、お姉さまは歳を取ることはあっても、若返ることは無い訳ですから、 働ける年数はどんどん減っています。この先、経済的に困窮することがあればインベスター・マダム達にも、イケメン・ビジネスマンにも相手にされなくなることを強調して、 早い段階で お姉さまの個人資産をしっかり把握する必要があることを説得して、日頃からスプレッドシートを使って家計管理をしていらっしゃるEさんが その作業を引き受けて下さい。

それが可能になった場合には、銀行残高推移や総資産推移のチャート・グラフを あえて縦軸が長めのプロポーションで作成して 資産の減り具合をビジュアルで強調し、 出費のカテゴリー別パイ・チャート(円グラフ)は、インベスター・マダム達との交友費やブランド物購入が嵩んでいることを自覚して頂くために、 本来だったら分けるべき飲食代&物品購入を「ラグジュアリー出費」という1カテゴリーに纏めて作成してみてください。 こうした操作こそが前述の「事実を変える」ということです。

もしその資料を提示して お姉さまが危機感を覚えて下さった場合には、これまでの出資金の70%程度の払い戻し請求をするようにお姉さまを説得してください。 この場合、払い戻しはあえて100%にせず、インベスターとしてのステータスが保てるようにすることが大切です。 払い戻しの理由は「資産が激減したから」などとは言わず、もしEさんにお子さんがいらっしゃるようであれば 「このままでは子供が出来ないと思うので、老後の面倒と引き換えに姪(もしくは甥)の大学の学費を出すことにした」 というような説明をして、出来ればEさんも一緒にイケメン・ビジネスマンのところにお詫びと返済要求を兼ねて出向いて下さい。
お姉さまさえ くじけなければ、既に前述のご主人のために 払い戻しをした前例がありますので、先方はお姉さまの払い戻し請求を拒否することは出来ない筈です。 払い戻しによってビジネス資金が足りなくなれば、イケメンは必ず新しいインベスターを自力で連れて来ますので余計な心配は要りません。 それくらいの才覚が無かったら 現在の体制は築けていない筈です。
もし払い戻しを受け取ることが出来れば、それ以降は お姉さまは後ろめたさで 今までのようにマダム達と一緒に贅沢を楽しむことが出来なくなるはずです。 今まで通りの出費をしようとすれば、マダム達が「そんな風に無い袖を振っているから、出資金の払い戻しをせがむ羽目になる」と冷たくなるはずです。

イケメン・ビジネスマンがどんなビジネスをしているかは分かりませんが、昨今は景気の先行きを不安に思う人々が多いので、 他のマダムのご主人が出資金の払い戻しを要求する可能性も否定できません。 先行き不安がある時は、誰もが投資から一時手を引いて 資金を確保する傾向にあるのは 昨今の様々な相場動向が示す通りです。 出資の際にどのような書面が取り交わされたかは存じませんが、たとえペナルティを払ったとしても 手元にある程度の出資金を取り戻す方が、お姉さまが今後経済的にも精神的にも安定することは確実です。
お姉さまが出資金払い戻しの請求を渋った場合には、 たとえマダム達がどんなにイケメン・ビジネスマンを気に入っていても、マダムのご主人達がこぞって出資金を取り戻しに来たら イケメンのビジネスがキャッシュ不足で危機的状況に陥ること、 そうなったらお姉さまの手元には一銭たりとも戻らないことを説明してみてください。 お姉さまが今も普通にお仕事をされているのであれば、どんなに洗脳されていても ごく基本的な損得勘定は出来るはずです。 家族として心配するから説得するのではなく、お姉さまが受け入れざるを得ない 事実やデータだけを 感情を交えずに突きつけて下さい。
前述のご主人が興信所を雇った調査結果は、決め手に欠くファジーな内容でしたので 突きつけられた側の洗脳が解かれることはありませんでしたが、 同じ興信所の調べでも 決定的な証拠やデータであれば、たとえ盲目的に伴侶を信じていた人でも その考えを改めて 伴侶の浮気や裏切り等を認めざるを得ないのです。
このケースでの決定的な事実とデータは、お姉さまの個人資産の著しい目減りですので、是非それにフォーカスした決定打をお姉さまに提示してみてください。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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