Oxford Word of the Year: "Brain Rot" Harms You
ジェンZのスラングでは済まされない! 不健康、能力低下、精神不安定の根源、
2024年ワード・オブ・ジ・イヤー ”ブレイン・ロット”とは

Published on 1/9/2025


オックスフォード大学の2024年度 ”ワード・オブ・ジ・イヤー”に選ばれたのが 「Brain Rot / ブレイン・ロット」、すなわち脳の腐敗。 炭水化物不足等で頭の働きが鈍り、思考回路がスッキリしない状態を「Brain Fog / ブレイン・フォッグ」と言うけれど、 「ブレイン・ロット」はジェネレーションZ、その後に続くジェネレーション・アルファが TikTokに代表されるショート・ビデオを観続けるうちに、あっという間に2〜3時間が経過する状況を指す言葉。 巧妙にアルゴリズムがデザインされたYouTubeオートプレイや、ネットフリックス・ドラマのビンジ・ウォッチングでも引き起こされ、 コンテンツ内容に反応して感情が動くものの、基本的にはマインドレス状態。 脳が正常な働きと機能を失い、ビデオ中毒に陥ることから 次から次へ求めてしまうのが新たなコンテンツによる刺激。
若い世代だけでなく、TVの代わりにインターネットを見るようになった年上世代にも見られる症状で、 若い世代がブレイン・ロットで無気力になるのに対し、年上世代は 彼等よりもコンテンツの洪水状態に慣れていないため、 情報に洗脳され、時にカルト化するケースが少なくないと言われるのだった。



ブレイン・ロット、若い世代の典型症状


ラップトップと向き合って勉強や仕事を始めるものの、少し休憩を取ろうして TikTokやYouTubeビデオを観始め、気付いたら1時間、2時間が経過し、 エネルギーとやる気を奪われて、生産性が著しく低下するのがブレイン・ロットの症状。 人間の脳は一度集中力を失うと、再び集中するまでに約20分が必要。しかしブレイン・ロットが悪化すると、集中力を取り戻すまでの20分間に 新たなコンテンツを脳が求めてしまう一方で、 友人から送られたメッセージ等により集中力が削がれたり、仕事や勉強中にふとよぎった考えがきっかけで、以前嫌っていた友達や 元彼、元彼女のことを検索して、 あっという間に時間が経過するのもよくあるケース。その悪化のステップは以下のようなもの。

  1. 頻繁にビデオ・コンテンツをチェックしたくなる
  2. 観続けることで精神が疲れ、行動を切り替える脳のスイッチ機能が低下
  3. ビデオを観続けるうちに 時間の感覚を失う
  4. ビデオ・コンテンツだけを見て過ごす生活が楽で魅力的に思える
  5. 根気や集中力が失せているので、内容が希薄で単純なコンテンツを好むようになる
  6. 夜はブルーライトの影響で精神が高まって寝付けないので、スマートフォンを取り出してSNSコンテンツをチェックしてしまう
  7. 朝起きると、身体がだるく、寝不足のために頭がスッキリせず、制御が効かないので再びビデオ・コンテンツを中毒的にむさぼる1日を始める

仕事や勉強、作業などに集中するのが難しいだけでなく、それらに取り組む意欲を奪ってしまうのがブレイン・ロット。 これを続けると、生活のクォリティが大きく下がり、年齢とは無関係に脳が退化して行くと言われるのだった。



ブレインロットの症状と影響は…


アメリカでは 個人情報が他のどのアプリよりも盗まれるとして政府職員や米軍関係者にはTikTokno使用が禁じられているけれど、 複数の州政府がTikTokの中国の親会社、バイトダンス社を相手取って訴えているのが、青少年をブレイン・ロット状態に陥れるアルゴリズムの悪質さ。 そんな判断力が鈍った脳に、中国政府のプロパガンダ・コンテンツが送り込まれるようにデザインされているとの指摘は多く、 実際に 判断力が鈍った脳ほど洗脳され易いのは言うまでもないこと。
ちなみに「ブレイン・ロット」という言葉自体は、作家ヘンリー・デイヴィッド・ソローの1854年の著書「ウォールデン」の中で、複雑な思考を嫌う人々を指す言葉として初めて登場したとのこと。 精神心理学の見地から説明されるブレイン・ロットの影響と症状は以下の通り。

  1. 思考力の低下:集中力と情報理解力が著しく低下する
  2. 注意力、集中力の持続の短さ:長時間仕事や勉強をしたり、学んだ内容や情報の理解や記憶に苦労する
  3. 精神的疲労:SNS等から送り込まれるコンテンツの量に精神が圧倒され、時間の感覚が鈍り、怠惰になって、先延ばしや物忘れが増える
  4. ネガティブ思考:暴力的、もしくは怒りや憂鬱な感情を煽るコンテンツや陰謀説を絶えず検索し、思考が卑屈で、否定的になる
  5. 脳の衰え:思考回路が保てず、意味ある情報やその繋がりを維持できなくなる

上の4番目のネガティブ・コンテンツに引き寄せられる症状は、英語で俗に ”Doom Scrol / ドゥーム・スクロール(死のスクロール)” とも呼ばれ、意識が無い状態で ただコンテンツを見続ける ”ゾンビ・スクロール” とは区別されるもの。
今やビデオ・コンテンツは麻薬と一緒で、中毒症状に陥った精神と脳が向かう先は腐敗、崩壊という終着点になるのだった。



ブレイン・ロット、予防・改善法


人間の脳と身体は、情報と影響を与え合って共存しているため、ブレイン・ロットは 身体の健康状態にも大きな悪影響を及ぼすもの。 慢性的な精神的疲労から 運動量が大きく低下し、気分転換が出来ないことから、 神経質になったり、憂うつになったり、感覚が鈍くなり、周囲とのコミュニケーションも面倒になっていくのがお決まりのシナリオ。
逆に洗脳型の脳腐敗の場合は、「自分はこれだけの情報を持っている、人が知らない事実を知っている」と信じ込み、 自己承認欲求が高まる結果、自分と意見が異なる人を罵倒したり、自分の知る情報を友人や家族に押し付け、 受け入れられないと徐々に暴力に走ったり、反社会的な思想に染まっていく傾向が顕著。
またブレイン・ロットに陥ると、野菜やタンパク質といった健康的な食事には全く興味を示さず、 加工食品の中でも 特に健康を害する”スーパープロセス・フード”、 すなわちインスタント食品やスナック菓子を常食にするのは驚くばかり。
ブレイン・ロットと、それが招く脳の衰えへの対処法は以下の通り。

  1. スクリーンタイムの制限:SNSをを中心としたデジタルプラットフォームに費やす時間を減らす
  2. 映像を観ず、音楽を聴いたり、記事や本を読む:長時間の映像コンテンツは脳を劣化させるものの、楽曲を聴く、文字を読むのは逆に脳を活性化するアクティビティ
  3. 有意義な活動への参加: チャリティ・ボランティアを勤めたり、料理、創作活動など、認知的関与を刺激する趣味を持つ
  4. 努めて屋外で時間を過ごす:日光を浴びて、新鮮な空気を吸い込み、出来れば屋外で散歩やエクササイズをする
  5. 健康的な食生活と十分な睡眠:寝不足やジャンクフード、ファストフードはブレイン・ロットを助長する要因
  6. 生身の人間とのコンタクトを増やす:友人、家族、見知らぬ人とのインターアクティブなコミュニケーションは、ZOOMチャットでも脳が活性化
  7. マインドフルネスの実践:瞑想をする。特に意識と集中を促すテクニックは、過度のデジタル消費欲を防ぐ役割を果たす

上記を実践する前に先ず大切なのは、ブレイン・ロットの存在と、その症状を認識して 危機感を抱くこと。
現代人はTVを観なくなったことで、インターネットにニュースから娯楽、スポーツ観戦までを依存するため、 危機感と自制心を持たなければ、人生の貴重な時間が際限なくインターネット・コンテンツに蝕まれていくことになるのだった。


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Q & Adv, Yoko Akiyama, 秋山曜子, キャッチ・オブ・ザ・ウィーク, ニューヨーク, NY時事トレンド情報, Yoko Akiyama, 秋山曜子, 2004 Google Search Ranking

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