Nov Week 5, 2024
Sugar Rush on the Upper East Side
シュガーラッシュ・オン・ザ・アッパー・イーストサイド


8月の半ば頃、エクササイズを終えて帰宅する途中で思わず凍り付いてしまったのが、私が年に1~2回解禁日を設けて食べる イタリアのクリーム入りドーナツ、”ボンボローニ” で知られるアンジェリーナが新店舗を自宅から2ブロックのところに建設中であることに気付いた瞬間。
私は以前にもこのコーナーに書いたことがあるけれど、30代から揚げ物を食べない主義を貫いており、 年に1~2回の解禁日を設けて味わう ”ギルティ・プレジャー”が オニオン・リングとドーナツ。 中でもアンジェリーナのフワフワで、中のクリームが甘すぎないボンボローニは私の好物で、 これまではアンジェリーナのショップが遠くにしかないことをラッキーだと思って過ごしてきたのだった。 しかしそのアンジェリーナが毎日のように通る場所にオープンすることを知った私は、 嬉しい気持は全く無く、逆に危機感を覚えてしまい、「自制心を保つトレーニングをしなければ」と真剣に考えてしまったのだった。




私が危機感を高める理由はアンジェリーナのオープンだけではなく、ふと気づくと知らない間に自宅から数ブロックのところに、これまでこのコーナーで紹介してきた デザートを含む複数のスウィーツ・ショップが続々とオープンしていたため。 幸い(?)その中には見た目ほど美味しくないものも含まれているけれど、ショーケースに並ぶ見目麗しいケーキが 店外からウィンドウ越しに眺められるショップは、味がイマイチでも集客力は抜群。逆にデザート自体は美味しくても ショーウィンドウのアトラクションが弱いショップの集客が弱いのはデザート店の宿命。
その意味ではクリエイティブで分厚いクッキーを提供するシティ・チップスや、ブルックリンのジュリアン・ベーカリー、 メレンゲを生クリームで覆ったデザートで知られるオー・メルベイユ・ドゥ・フレッドの新店舗は損をしている印象。
でも写真下左、96丁目とマディソン・アヴェニューのコーナーにこの夏オープンしたデイリー・プロビジョンに関しては、ブルーのエクステリアと赤いライトの店構えを見ただけで、 多くのニューヨーカーの頭に浮かぶのが同店の名物のクルーラー。ここのクルーラーは日本のミスター・ドーナツのフレンチクルーラーのようにコンピューター制御のフライヤーで揚げた 洗練された軽いクルーラーではなくて、自家製で垢抜けない、脂がしっかり染み込んだクルーラー。 でもそこが良いという人がリピートしているのだった。






アッパー・イーストサイドに新たにオープンしたデザート・ショップで思わぬダークホースになっているのがブルックリンから進出したケーキショップのMIA(写真上)。 私はこのショップの存在は近隣にオープンするまで全く知らなったけれど、オープン直後から私の住むビル内で頻繁に見かけるようになったのが、同店のロゴが入ったケーキの箱や紙袋を持って歩く住人の姿。 同店も自宅から数ブロックで、私もどんなケーキがあるのやらと思って ウィンドウ・ショーケースで足を止めたけれど、ふと気づくと横で食い入るような視線でケーキを眺めていたのがかなり太目の女性。 どれを買おうかと迷っているのかな?と思ったところで目が合ったので、「ここのケーキ、もうトライしてみた?」と尋ねると、 女性はちょっと寂しそうな顔をしながら「私、医者から甘い物を食べるのを止められているの。だから見てるだけ。本当に美味しそうなんだけれど…」と言っていて、私もその日は店内に入らずに帰宅。 「甘くて美味しい物に簡単にアクセスが出来るようになったからといって、調子に乗って食べていたら明日は我が身」と痛感して、 美味しいデザートは 時々自分へのご褒美にしながら、それを長い人生の間ずっと食べられるようにしなければ…という気持になったのだった。
とは言っても、後日しっかり同店でケーキを購入。アメリカ人にとってはノスタルジー系のデザートだけれど、スポンジが軽く、 クリームも甘過ぎず、「サプライズに美味しい」というのが正直な感想なのだった。




問題のアンジェリーナは、オープン直後にセントラル・パークのランニングを終えた後に立ち寄り、ボンボローニを味わったけれど、「これで2日分のワークアウトで燃やしたカロリーが相殺された」のは何とも言えない敗北感。 幸いミッドタウンの店舗に比べて商品のバラエティが少なく、「あれもこれも食べたい」的なショップでは無いことに本当に感謝したのだった。
同じネーミングのアンジェリーナで、アメリカでは”アンジェリーナ・パリス”で展開しているモンブランで知られるアンジェリーナも アッパー・イーストサイド店をオープンしたけれど、ブライアント・パークの傍にあるアメリカ進出第一号店は、開店直後の大行列は何処へやらで、 今やカフェ・セクションはガラガラ。コーヒーを飲みながら長話をしたい時に出掛けるお店になってしまったのだった。 それに連れてモンブランの味も低下。今ではさほど食指が動かないデザートになってしまったのは残念な限り。
今、私が楽しみにしながらも、ちょっと心配しているのが、日本の生ドーナツで知られる「アイムドーナツ」がタイムズスクエア近くに NY店をオープンすること。「アイムドーナツ」は日本に一時帰国をした際に食べて見たかったものの1つだけど、行列している時間が無いのでギブアップ。 それだけにNYにオープンすること、しかもそのロケーションが歩いて数ブロックの近隣でないことを心から喜んでいるのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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