Aug. Week 4, 2024
Gen Z Style for Adults
ジェンZ スタイル、大人ヴァージョン


アメリカではFOGO(Fear of Getting Old/歳を取ることへの恐怖)という言葉が登場しているけれど、 このところ歳を取ることよりも 人々が気にし始めたのが 老けた世代と見なされる服装やシューズ、ヘアスタイルやメークのせいで、 年齢やルックスとは無関係に年寄り扱いされること。
そのせいで今年に入ってからアメリカではソックス論争が起こっていて、若い世代が「老けて見える」という理由で決して履かなくなったのがアンクル・ソックス。 代わりにジェンZが履くのがふくらはぎ丈のクルー・ソックス。 今ではフェイスブックのCEO、マーク・ザッカーバーグもビジネス・メディアからの取材を受ける際は、 俗に”ジェンZ カール”とも呼ばれるカーリー・ヘア(写真下、左から2番目)に、ゴールド・ネックレス、オーバーサイズTシャツという ジェンZスタイル。
そうかと思えば、今やエクササイズの時にナイキやルル・レモンを着用するのも老けたイメージに映るようで、今ではバンディット・ランニング(写真下、中央)、トラックスミス、サティスファイといった 大人世代には馴染みが薄いブランドが、ジェンZにクールなイメージでアピールしていることが伝えられるのだった。






昨今ではナイトアウトの際にハイヒールを履くのも老けた世代のみなので、年寄り扱いされる要因。若い世代はスニーカー、スリッポン、バーケンストックを含むフラット・シューズ。 張り切ってハイヒールを履いたところで 老けて見られるだけとあって、昨今ではハイヒールを履く人も、買う人も激減。 目下のトレンドセッターは圧倒的にジェンZであることから、彼らのコンフォート重視のスタイルが他の世代にも影響を及ぼすようになっているのだった。
ジェンZスタイルは、ミレニアル世代よりも女性は肌の露出が少なく、ストリート・ファッションの影響が色濃く、 ジーンズは上の世代が ”マム・ジーンズ”、すなわち「母親が履くようなジーンズ」と馬鹿にしていた ハイウエストでゆとりがあるシルエットがメインストリーム。 限られたバジェットでワードローブを遣り繰りする世代なので、ファスト・ファッションを購入する傾向は未だあるものの、ミレニアル世代よりも遥かに控えめ。 それより激安のセカンドハンドをオンラインで購入したり、古着屋やフリーマーケットを利用し、他に売っていないワン&オンリー・アイテムに価値を見出すのがジェンZ。 そんなリサイクルをエコ・コンシャスの一環としても捉えていて、新品ならば「サステイナブルな Ethical/エシカル・ファッション」、すなわち環境にも人権にも配慮した生産・流通・販売がされていることが大切。
70年代、80年代的なアイテムを好むので、上の世代から見ればレトロ感覚で、多くのアイテムがオーバーサイズの着こなし。 大人が思いつかない意外性のあるレイヤーを楽しんだり、玩具のような奇抜なアクセサリーで遊び心を見せるのを好み、 逆にこだわらないのが 体型をより良く見せること。その結果、上の世代からはファッションに無頓着で、ダサく、老けたイメージに映るのがジェンZ。
しかし彼らにとっては それこそがクールで、若々しい世代である証。 ファッション・トレンドを生み出す主導権を握っているがジェンZである現在、上の世代は頭や価値観の切り替えが必要になってきているのだった。




仕事柄、老けたファッションを着用する訳には行かないファッション業界、メディア業界の女性達の間では、そんなジェンZ スタイルが既に取り入れられていて、 一般女性に対しても 時代の流れを意識しているファッション・ステートメントとして導入が奨励されているのがジェンZのファッション。 大人世代がジェンZのスタイルから学ぶべきは、まずスニーカーを含むフラット・シューズを履いた際の バランス良い着こなし。 フラット・シューズとは言っても、厚底のスニーカーやプラットフォーム・スリッポン、プラットフォーム・ブーツは年寄りアイテムではないので、上げ底をしたい場合はプラットフォームを選べばOK。 大人世代は、ジェンZ スタイルをあくまで部分的に取り入れるべきで、若さが無い状態でスタイルを丸ごとコピーしてしまうのは痛々しい失敗。
最も簡単にジェンZ スタイルを取り入れる方法は、レトロ系のド定番アイテムを普通に着こなした中で、ジェンZ テイストを感じさせること。 ソックスにローファーの足元、意外性のあるアウターのレイヤー、オーバーサイズのフレアーパンツ、ハイウエストのボトム+シンプル・トップのコーディネート等を活用して、 スタイリッシュにし過ぎない、頑張らない着こなしをするのが大切なポイントなのだった。




ジェンZは、英語で俗に”Matchy Matchy/マッチー・マッチー”と批判される 完璧なカラー もしくはテイストのコーディネートを嫌う世代。 なのでジュエリーのメタル・カラーがイエローゴールド、シルバー、ローズ・ゴールド、ガン・メタルが滅茶苦茶に混じっている方がクールとされたり、 真冬でもラフィアのバスケットを持ったり、真夏でもヴェルヴェットのアイテムを身につけたりと、シーズン性のある素材も わざとシーズンを外して取り入れるなど、大人の持つファッション概念を無視するのは当たり前。
ジェンダー・フルイド・ルック、すなわち性別の概念を払拭したファッションを好む傾向も顕著で、 女性がネクタイ、男性がオーバースカートなどはあまりに一般的。 男性も女性と同じようなジュエリーを身に着け、女性と同じスタイルの大判バッグを持つケースも増えているけれど、 上の世代はファッショナブルな男性ほどジェンZ スタイルを自分のものにして反映させているのが現在。
逆に女性は、若い頃にTV版の「セックス・アンド・ザ・シティ」を見てファッションを頑張って来た世代が 肩の力は抜いても、気は抜かないカジュアルの落としどころが掴めずに苦戦する傾向が強いようなのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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