Aug Week 4, 2022
“Barbiecore”
バービーコア


この夏から秋にかけて継続するファッション・トレンドと言えば ”バービーコア”。
バービーコアには複数の解釈があって、「バービー・ドールのようにドレスアップすること」と解釈するメディアもあるけれど、基本的にはピンクずくめのファッションを指す言葉。 それも淡いパステル・ピンクではなくバブルガム・ピンク、ショッキング・ピンク、フューシャといった濃厚なピンク。 このカラー・トーンを完璧に具現化したのは2022年3月に行われたヴァレンティノの秋冬コレクション。 ステージ・セットから、クロージング、シューズ、バッグ、グローブ等全てがピンク一色であったけれど、 このランウェイ・ショー以降、セレブリティがこぞって着用するようになったのがヴァレンティノのバービーコア・ファッションなのだった。






2022年秋冬シーズンのヴァレンティノでは、写真下の広告でF1レーサー、ルイス・ハミルトンとゼンダイアが共にピンクのワンカラー・コーディネートで登場している通り、 バービーコアはメンズ&ウーマンズ共通のコンセプト。 男性が着用しても意外に女々しく見えないのがこのピンクであるけれど、男性のコーディネートの方が思い付きでピンクを着ているのではなく、 ファッション・ステートメントであることを強調するために ピンク1色に統一する必要性が高いと言われるのだった。
バービーコアがトレンディングになっている要因の1つは、2023年にライブアクション(実写)のバービー映画が公開されるためで、 監督はグレタ・ガーウィッグ、バービーにマーゴ・ロビー、ボーイフレンドのケン役にライアン・ゴスリングが扮するのがこの映画。 そして主演の2人が着用するのは バービーの製造元であるマテル社が実際に発売したバービーとケンのアウトフィット。
かつてはバービー・ドールというと「女性のルックスの不健康かつ非現実的な理想像」というレッテルが張られる一方で、「女性=ピンク」といったステレオタイプの象徴として 多くの女性運動家から目の敵にされてきたキャラクター。 しかしマテル社が2016年になって、女性の意識が向上した21世紀に生き残るための #TheDollEvolvesというキャンペーンでメイクオーバーをした結果、 10頭身でブロンド&コケ―ジャンだったバービーに 今では9種類の体型、35色のスキントーン、94のヘアスタイルのヴァラエティが加わっただけでなく、 偽足や補聴器を付けたバービーも登場。 女性に一定の価値観を押し付けるイメージを見事に覆したことから、現在のバービーコアがもてはやされている背景には、 「以前のようなステレオタイプに捉われずにピンクの美学を楽しむ」という新しいピンク支持派の自己主張があるとも言われるのだった。






インフレでアパレルの買い控えをする女性が多い中、バービーコアの影響でアメリカでは6~7月にかけてピンク色のアパレルの売上が35%もアップ。 このまま来年のバービー映画の封切りまでピンク・ブームが続くと見られているけれど、 かく言う私も パステル・ピンクは大の苦手であるものの、今シーズンのヴァレンティノのようなフューシャ系のピンクには心惹かれてしまうため、 少し前から熱心に探していたのがバービーコア・ピンクのドレス。
でもインターネット上の写真では理想通りのピンクに見えても、実際に届いてみるとイメージと違って返品するケースが2回続いてしまった私が 悟ったのは、気に入ったデザインで 気に入ったピンクのドレスに巡り合える可能性が極めて低いこと。 そこで三枚目のドレスも好みのピンクでなかった場合は自力で染めることを決心。実は私は中学校の家庭科の時間に染色を学んでからというもの、Tシャツやスウェット等を染めるのが得意で、 NYに来てからもシミが付いたドレスを自分で染めてリセールで売ってしまうことも何度かあったほど。
結局3枚目のドレスも 私の理想のピンクとは言えない 濃いベイビー・ピンク(写真上右 上段)が届いたことから、 ドレスの素材に合わせて「スーパー・ピンク」というネーミングの染料を購入。 鍋で煮詰めながら40分掛けてドレスを染めたのが先週末のこと。 仕上がりは ほぼ私の理想のピンク(写真上右 下段)で、「もしバービーコアに飽きたら、次はレッドかパープルに染めよう」とも 考えているのだった。




ところでバービーコアのトレンドにはピンクのカラーだけでなく、プラットフォーム・ヒールでバービーに近いプロポーションに演出することも 含まれているとも言われるけれど、実際に今年の春先からすっかりコア・トレンドにカムバックしているのがプラットフォーム・ヒール。 でも今回トレンディングなプラットフォームは、ヒール自体は高くても 足の甲のアングルは5~7cmヒールと同等で、しかもブロック・ヒール。なので数年前のルブタンとは比べ物にならない履き心地の良さ。
プラットフォーム・ヒールと同様に この秋トレンディングなのは、ヒールにソックスという 以前ならばタブーと見なされていたコーディネート。 ソックスはアンクル、ニーハイ、サイハイとありとあらゆる丈がこの秋トレンディングで、ブーツ感覚に演出するのがメインストリーム。 またプラットフォーム・ヒールに同色のマットなタイツを合わせて 脚を超長く見せるのもトレンドで、 この秋冬はレギンスよりタイツがチョイスになるのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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