コリアン・フライドチキンをキャビアとシャンパンで味わう!?
スーパーラグジュアリー・フライドチキン・レストラン、ココダック
Published on 4/11/2024
ステーキ・ハウスのレベルが高いことで知られるNYで、近年オープンした最もサクセスフルなステーキ・レストランの1ツが Cote/コテ。
コテはコリアン・バーべニュー(韓国式焼肉)スタイルのステーキで大人気を博しており、ミシュラン・スターも獲得しているレストランで、
ここ数年NYで続く ヌーベル・コリアン・キュジーヌ・ブームの一部を担っている存在。
そのコテを経営するレストランター、サイモン・キムが、コリアン・フライドチキンのレストラン、それも素材からプレゼンテーション、店舗のインテリアにまでこだわって、
フラットアイアン地区にオープンしたのがここに御紹介するココダック。
フライドチキンというと、どうしてもKFCに代表される安価なファスト・フードのイメージで、
きちんとしたレストランで、ゆったり味わうイメージはありませんが、
それを逆手に取った意外性や素材のこだわり、そしてラグジュアリーなツイストで、
1月のオープン以来、ニューヨーカーの間で絶大な人気を誇っているレストランです。
店のネーミングはは韓国語とフランス語で鶏肉を意味する言葉をくっつけた造語。
鶏肉を店名にしているだけあって、鶏肉にこだわる同店は、
肉の仕入れをペンシルバニア州のメノナイト農場だけから行うシングル・リソース。
この農場では鶏たちの餌になっているのは、多くの農場が与えるヘーゼルナッツではなく、ファーマーズマーケットのオーガニック野菜のうち形が崩れていて出荷できなかったものや、
ル・ベルナルダン等のミシュラン・スターを獲得した一流店に卸す前に、切り落とされた野菜のパーツ。
鶏としてはかなりのVIP待遇を受けながら、人間の貧困家庭では味わえないクォリティの野菜を8週間もの間、大量に食べながらすくすく育った後に出荷された鶏肉は、
グルテン・フリーの米粉とパン粉で衣がつけられ、サステイナブルなオイルで3回揚げて仕上げるというこだわり。
食事が人間の健康や脳の発達、肌質に影響を与えるのと同様で、ハイクォリティの野菜を食べて育った鶏の肉は
味わい深くて、ジューシー。
そのフライドチキンがバケツ容器でサーブされる ”バケット・リスト”とネーミングされた38ドルのセット・メニューは、
チキンだけでなく 大根の漬物、セロリの和え物等のバンチャン(サイド・ディッシュ)が付いて来るのはコテと同様。
フライドチキンは先ず「ネイキッド(裸)」と呼ばれる衣にソースを絡めない状態で提供されて、
バーベキュー・ソース、ハニーマスタード・ソース等、4種類の自家製ディップ・ソースをかけて味わうのが前半戦。
その後に、コチュジャン、ニンニク醤油ソースをからめた韓国風で提供されるのが後半戦。
セットには チキンの後から出て来る 醤油、海苔、大葉を和えたヌードルと、デザートのレモン・ソフトクリームのミニカップが付いて来るので、
これだけで満足できるセット・メニューになっています。
オーナーのサイモン・キムはココダックを "フライドチキンのカテドラル(大聖堂)”と呼んでいて、その言葉通り 高い天井にイルミネーションの複数のアーチが
走るインテリアは、NYだけでなく、全米のメジャーなレストランやホテルを手掛けるロックウェル・グループ。
シアトリカルでアイコニックなデザインを得意とするロックウェル・グループとあって、ココダックも店内のインテリアが印象的で
イルミネーション・アーチがブース型の客席のアーチとマッチして、適度にカジュアルでモダンかつシックな仕上がり。
そんなココダックは、フライドチキン以外にもオーナーのパートナーであるシェフが101種類のメニューを提供。
オイスター等のロウ・シーフードも充実していますが、現時点で同店の目玉になっているのは、
キャビアを乗せたチキン・ナゲット。
貧富の差が益々開いて久しいNYでは、昨年末からキャビアを料理に使う高額メニューがトレンディング。
ココダックでも800ドルのキャビア缶が注文できますが、サーモン・キャビア(イクラ)を乗せたチキンナゲットは一切れで18ドル。
オシェトラ・キャビアをトッピングしたナゲットは一切れ29ドル。
マクドナルドより一回り大きいサイズのナゲットに、スプーン一杯分のキャビアをたっぷりトッピングしてくれるとは言え、
お値段やこれを味わう価値については現時点で賛否両論。
とは言っても目玉ディッシュな上に、店内のインテリアがブース席が向き合うようにデザインされていることもあって、他のテーブルがオーダーしているのを見ると、
興味本位や見栄でどうしても注文してしまう人が多いディッシュになっています。
ココダックはアメリカ国内最大と言われる400種類のシャンパン・ラインナップを揃えていて、下はグラスで1杯16ドルから、上はボトルで数千ドルのレベルまで様々。
そのため前述のキャビアのオプションとシャンパンによっては、いくらでも高額になるのがココダックのディナー。
バケット・リストと安いグラスのシャンパンだけならチップ課税前でディナー代は1人60ドル程度。でもシャンパンとキャビアで贅沢をすれば1人1500ドル、2000ドルになっても不思議ではないのが同店。
それもあって、レストラン・クリティックの間でココダックは選ぶ料理によって最も価格の開きが出るレストランとも表現される存在。
ドリンクはシャンパン以外にもカクテルも充実。
さらに同店ではフライドチキンというメイン・ディッシュの性格上、食事前に手を洗いたい来店客のにーズを考慮して、
ハンドウォッシュ・ステーション(写真上中央)を入り口付近に設置しており、そこにはエルメスの角質除去のハンドソープが備えてあるのもちょっとした話題。
いろいろな意味で、極めてユニークなニューレストランになっています。
Coqodaq 711 5th Ave, New York, NY 10022
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