Oct 20 〜 Oct 26 2024

Lottery, McDonald, Abercromby, WNBA...
マクドナルド陰謀説と選挙法、再びセックス トラフィッキング逮捕劇, WMBAメガ・サクセス, Etc.


今週のアメリカはNYを含む複数の州で夏に逆戻りしたような暑さを記録。気象観測史上2番目に高温だった9月に続いて、 10月も記録的な高温になる気配であるけれど、今週も報じられたのが、ニュー・メキシコ州で 1901年以来の記録破りの雨量のストームが大洪水をもたらしたニュース。 一部エリアは年間雨量の2倍の雨が数時間に降ったことで、町中が河川と化す大被害。
アメリカは2000年の段階で連邦災害と見なされる大洪水は僅か2件。ところが2024年は現時点までで 既に66件の大洪水が記録されており、 今や常識破りの豪雨によって 海沿い、河川沿いでなくても起こるようになったのが大洪水。
その一方で中米キューバでは、4日間に渡り国全体が大停電に見舞われたけれど、 ソビエト時代に建設された 老朽化が激しい石油火力発電所に頼るキューバは、その頻繁な故障の度に部分停電が起こっていたインフラ後進国。 今回の国全土の停電は、その前の停電から復旧した直後に現地を襲ったハリケーン・オスカーの被害によるもので、新たな電力システムを建設するには政治が腐敗し、 経済力も無いというのがキューバの厳しい現状なのだった。



マスク選挙法チャレンジとマクドナルド陰謀説


今週トランプ陣営にとって最大のパブリシティになっていたのが、トランプ氏がペンシルヴァニア州のマクドナルド店舗でフライヤーのデモンストレーションをして、ドライブスルーを通じてフライドポテトを来店客に手渡す様子。 その際「学生時代にマクドナルドでアルバイトをしていた」と語るカマラ・ハリス氏の経歴を「ウソ」と決めつけるコメントをしていたけれど、直後からフード・レビューのウェブサイト、 Yelpに殺到したのがマクドナルドをバッシングする投稿。まずトランプ氏が手袋をせずにフライドポテトをパッケージに詰め、それを販売するというずさんな衛生管理のマクドナルドに批判が集中。 加えて「マクドナルドはトランプ支持を打ち出したのか? だとしたら一生マクドナルドでは食べない」と社の政治姿勢を批判する声、 「性的虐待で有罪判決を受けたトランプ氏を女性客と接客をさせた」といった批判等が大量に書き込まれ、Yelpは書き込みを停止する事態に追い込まれたのだった。
やがてマクドナルドの店舗がトランプ氏が訪れた際に、営業をストップすることを事前に告知し、トランプ氏がドライブスルーから商品を手渡した際に 驚いて、トランプ支持コメントを語った 来店客はヤラセのトランプ支持者であったこと、トランプ氏に対するフライヤーのトレーニング等もプレス用の写真&ビデオ撮影のポーズでしかなかなく、 事実上マクドナルドが無料でトランプ氏のための選挙キャンペーンの舞台とパブリシティを提供していたことが明らかになったことで、 今度はマクドナルド本社にも批判が殺到。マクドナルドは「ハリス氏にも同様のオファーをした」と弁明したものの、大きなイメージダウンを招いていたのだった。
その騒動と同じくして報じられたのがコロラド州を中心にマクドナルドのクォーター・パウンダーに使われていた玉ねぎがE-coli(O-157)に汚染され、49人の食中毒患者と1人の死者が出たニュース。 これを受けてソーシャル・メディア上で保守右派が拡散し始めたのが、この食中毒騒ぎが トランプ氏にパブリシティを提供したマクドナルドに対する民主党、リベラル派の報復だという陰謀説。 中には「クォーター・パウンダーを食べて、騒ぎが民主党の陰謀に過ぎないことを立証しよう」という呼び掛けまで見られたけれど、実際には食中毒は2週間前から起こっており、その原因がクォーター・パウンダーに使われる オニオン・スライスであったことが判明したのがトランプ氏がマクドナルドを訪問した週末のこと。今週木曜までには同じカリフォルニアの業者からのオニオンを使用しているバーガーキングやKFC、タコベルといったファストフード・チェーンも食材を破棄しており、 マクドナルドに対しては体調を崩した人々からの訴訟が相次いでいるのだった。
でも今週の選挙関連報道で最大の物議を醸したのは、トランプ氏を強力にバックアップするイーロン・マスクが、選挙の行方を決めると言われる ペンシルヴァニア州で、「言論の自由と武装を支持する請願書に署名した人々の中から、毎日抽選で1名に100万ドルの賞金を与える」という宝くじスタイルのプロモーションを打ち出したこと。 マスクは他のスウィング・ステート計7州でも同様の宝くじを行う意向で、これが果たして選挙法に触れるか否かが物議と注目を集めていたのだった。
連邦法では、投票登録や投票に対して金銭を支払うこと、受け取ることは犯罪。 マスクが行っていることは、明らかに投票登録と票の買い取りを狙うものであるけれど、それを「有権者登録を済ませ、請願書への署名した人々を対象とた宝くじ」 としてプロモートすることで、法の専門家の間でも「選挙法ギリギリでセーフ」という意見と「明らかにアウト」という意見があるのが現時点。 水曜には司法省がマスクに対して警告の書簡を送付しているけれど、その文面も「This may be illegal」という違法とは断言できないもので、 合法、違法の判断が下るのは新大統領が就任して数ヵ月が経過している時期。 マスクがそこまでしてトランプ氏を大統領にしたいのは、第二期トランプ政権でマスクが政府予算の行方を左右するポジションに就き、企業に対する大々的な規制緩和を実現するためで、 これについては既に「利益相反に当たる」という指摘が聞かれる状況。マスクの宝くじがたとえ違法でも、トランプ氏が当選した場合は選挙結果が覆ることは無く、 トランプ陣営にとってはその違法を理由に「トランプ氏とのエゴ対決は時間の問題」と言われるマスクを政権ポストから切ることもできる訳で、早い話がWin Win状態なのだった。



アバクロンビー&フィッチのセックス・トラフィッキング


今週火曜日に大々的に報じられたのが、アバクロンビー&フィッチの元CEO、マイク・ジェフリーズ(80歳)が、国際的な性的人身売買組織を運営した容疑で、 16件の連邦起訴を受けて逮捕されたニュース。
彼と共にジェフリーズの長年のパートナー、マシュー・スミス(61歳)、そして男性モデルのリクルート役を担っていたジム・ジェイコブソンも共犯者として逮捕されたけれど、 ジェフリーズは1992年から2014年までアバクロンビーのCEOを勤め、売春組織を運営していたと見られるのは2008年12月から2015年3月まで。 訴状によれば、ジェフリーズはセックス・イベントを主催する小さな会社を設立。 ジム・ジェイコブソンがアメリカ国内、及び海外からルックスの良い男性をモデル候補として集め、 セックス・パーティーに参加させ、「性行為に応じればキャスティングの可能性が高まる」と勧誘。 そのパーティーでは処方箋レベルの強力な勃起薬や筋肉弛緩剤等の強制投与、高圧浣腸等が本人の意志に反して行われており、 被害者の大半はモデル・デビューが実現しないまま、口止めを兼ねた報酬を受け取ってはパーティーに駆り出される男娼扱いだったよう。
また逮捕された3人は「性的虐待被害を訴える」という被害者に対しては、監視と脅迫による組織的な口封じを行っており、 現在逮捕、拘留中のショーン・ディディ・コムズが音楽業界で行っていたセックス・トラフィッキングを ファッション業界で男性専門に行っていたのが今回のアバクロンビーのケース。
アバクロンビー&フィッチ自体は、1892年に設立された狩猟用品とアウトドア用品のショップで、それをビクトリアズ・シークレット、エキスプレスといったアパレル・チェーンを傘下に収めるリミテッド社が買収したのが1988年のこと。 ちなみにリミテッド社のCEO、レスリー・ウェクスナーは、2019年にNYの刑務所で自殺を図ったセックス・トラフィッカー、ジェフリー・エプスティーンと最も関りが深かったビジネスマンで、彼のNYの数十億円の邸宅を二束三文でエプスティーンに与えたことでも知られる存在。 アバクロンビーとヴィクトリアズ・シークレットは、1998年にリミテッド社からスピンオフされて独立企業になり、ヴィクトリアズ・シークレットは後に「エンジェル」と呼ばれるスーパーモデルをカタログとCMに起用。 ランウェイ・ショーも毎年、男性セレブリティや実業家が多数訪れる大盛況ぶりで、モデル志願の若い少女達をヴィクトリアズ・シークレットのモデルにリクルートすると誘っては、VIPにあてがっていたのがジェフリー・エプスティーン。
一方のアバクロンビー&フィッチは、本来のブランド・イメージとは100%異なる ゲイ男性へのセックス・アピールを狙ったモノクロ写真のカタログ、広告でブランド・イメージを一新。売り上げと株価を爆発的にアップさせたマイク・ジェフリーズの ビジネス手腕と功績は、アパレル業界で今も語り継がれるサクセス例なのだった。
もし訴状が事実であれば、ジェフリーズがセックス・トラフィッキングに手を染めたのは ジェフリー・エプスティーンがフロリダ州で最初に起訴された時期。 当初セックス・トラフィッカーとして訴追されたエプスティーンを、「売春婦の元締め」にすることで司法取引に応じ、性行為を強要された少女達を売春婦扱いにすることで エプスティーンの罪を大きく軽減したのが、 当時のフロリダ州司法長官で、後に何故かトランプ政権の労働長官に抜擢されたアレクサンダー・アコスタ。
エプスティーンは、少女達と関係したVIPをビデオ撮影し、それをブラックメール(脅迫)のネタにしてVIPから多大な恩恵を受けていたけれど、 マイケル・ジェフリーズが脅していたのはもっぱら被害者で、目的は口止め。その点からも彼が運営していたセックス・トラフィッキングの規模は エプスティーンよりも遥かに小さいことが窺い知れるけれど、もし有罪判決を受けた場合は、ショーン・ディディ・コムズ同様、ジェフリーズに終身刑が言い渡される可能性があるのだった。



WMBAが記録破り続出のメガ・サクセス


今週末からMLBのワールド・シリーズがスタートし、NYヤンキーズ VS.LAドジャースという夢のカードが43年ぶりに実現しているけれど、 ヤンキーズがワールド・シリーズに駒を進めたその日に、NYにチャンピオンシップをもたらしたのがWNBAニューヨーク・リバティ。 この日以降、暫し”NY Liverty”をグーグル検索すると、検索画面にオーバーラップして御祝いの花火のビジュアルが見られたのはグーグルの粋な計らい。
NYリバティにとっては初、ニューヨークにとっては2011年にジャイアンツがスーパーボウルで勝利して以来の 13年ぶりのチャンピオンシップとあって、当日のリバティの本拠地、ブルックリンのバークレー・センターは、ファンがフランク・シナトラの「ニューヨーク・ニューヨーク」を大合唱しながらのセレブレーションで大いに盛り上がり、 木曜にはパレードも行われたのだった。
NYリバティだけでなく、2024年シーズンはWNBAにとって28年前のリーグ設立以降、記録破りを連発した最もサクセスフルなシーズン。 TVのユニーク視聴者は5400万人を超え、シーズン・ゲームの平均視聴者数は常に100万人を突破。ちなみにメジャーリーグ・ベースボールのシーズン・ゲームの平均的な視聴者数は37万5000人。 WNBAはシーズン戦が40試合、僅か12チームの小さなリーグとは言え、確実に視聴率が稼げる存在に成長しているのだった。以下はWNBAが成し遂げた今年の快挙。

WNBAは2026年シーズンからカナダのトロントに新しいチームが誕生することから、カナダでの視聴率も前年比で148%アップで、 女子サッカーリーグを追い抜くだけでなく、男子プロリーグにも迫る快進撃を見せたのが今シーズン。 プレーヤー達にはファッション、ビューティー業界からも広告出演オファーが寄せられるようになり、スタープレーヤーが全員スタイリストを雇っていることでも 注目されたのが今シーズン。
女性ならではのドロドロしたライバル関係も一部で報じられていたけれど、現段階ではどんなパブリシティもリーグの話題性を煽るプラス要因になっていたのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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