June 30 〜 July 6 2024

Biden Crisis, Pokemon Treasure, Baby Name, Etc.
バイデン・クライシス、ポケモン・カードが優良投資に、新生児名付けトレンド, Etc.


今週のアメリカは木曜が建国記念日とあって、先週末からヴァケーションに出掛ける人々が多く、 多くのオフィスが水曜午後から週末までクローズする完全な夏休みモード。
しかし月曜には連邦最高裁が、「大統領は法の上に立つ存在ではない」としながらも「大統領は在任中の公務に対する訴追が免除される」という極めてトランプ氏寄りの判決を下したことから、民主党とリベラル・メディアは猛反発。 というのも、この最高裁判断によって トランプ氏が現在の刑事訴追を逃れる可能性が出て来たのに加えて、トランプ氏が再選された場合、一期目以上のやりたい放題が危惧されるため。 そもそも歴代大統領の二期目は再選を考慮する必要が無くなるので、反対派を押し切っての政策や強行が増えるけれど、既にトランプ陣営は トランプ氏に忠誠を誓う超保守路線で政権を固める準備を整えており、二期目のトランプ政権が実現した場合、移民、女性、LGBTQ+を含むマイノリティ人種、低所得者にとって厳しい4年間になるのは必至。
しかも次期大統領の任期中に見込まれるのが、最高裁の高齢判事2人のリタイア。その2人はいずれも保守派なので、トランプ氏が再選されて後釜を指名しても、現在の保守派判事6人、リベラル派判事3人のパワーバランスは 変わることは無いものの、行政、ビジネス、法律、モラル解釈を含むアメリカ合衆国における広範囲の最終決定権を持つ連邦最高裁判事9人のうちの過半数の5人が トランプ氏の指名で就任した トランプ派になるということ。そのため二期目のトランプ政権はデモラシーではなくオートクラシー、権力集中型のインペリアル政権になることが確実視されているのだった。



バイデン・クライシス


6月27日のプレジデンシャル・ディベートでの惨憺たるパフォーマンスで、すっかりクライシス・モードに入ったのが民主党リベラル派。
NYタイムズ紙は翌日、バイデン氏に大統領選離脱を促す爆弾社説を掲載し、民主党の大口ドナーも代理候補擁立のプレッシャーを真剣に掛け始めたと言われるけれど、 当のバイデン氏は再選意欲満々の姿勢を崩さず、翌日からディベートよりも遥かに力強い演説で選挙キャンペーンを再開。 ディベートに姿さえ見せなかったメラニア・トランプ夫人とは正反対に、ジル・バイデン夫人が献身的にサポートする姿が見られたのだった。
バイデン氏は1972年、29歳の時に史上最年少でデラウェア州上院議員に当選以来、一度も選挙に負けたことが無く、 常に60%の票を獲得し続けた経歴があることから、政界関係者が語るのは「バイデン氏が自身の選挙での強みを過信しているのでは?」という憶測。
しかしディベート後の世論調査では、バイデン氏を「好む、好まない」、「指示する、しない」以前に、「これから4年の任期を務めるのは難しい」いう意見が圧倒的。 年齢による能力低下についてはトランプ氏についても50%が同様の意見を持っていることが明らかになっているのだった。
急遽代替候補擁立を迫られた民主党側は、通常ならば副大統領を推すはずであるけれど、カマラ・ハリス副大統領候補はバイデン氏よりも不人気。 2028年の民主党大統領候補として有力視されていたカリフォルニアのガヴィン・ニューソン州知事を推す動きがあるものの、彼は全米で知名度は高いとは言え、 パンデミック中の政策を誤り、ロックダウン中にナパ・ヴァレーの3つ星レストランでディナー・パーティーをしていたことで州民から猛批判を受け、 ホームレス問題になす術が無く、テスラをテキサス州に移転させてしまう失策など、政治手腕を問われると突っ込み所があまりに多い存在。 同じく未来の大統領候補として名前が挙がっているミシガンのグレッチェン・ウィットマー州知事にしても、地元での支持率は高くても総選挙でトランプ氏にはまだまだ及ばない存在。
そんな中、唯一トランプ氏を負かす可能性が世論調査で認められているのが、ミシェル・オバマ元大統領夫人。 民主党内にはオバマ夫人擁立のムードは以前からあったものの、今年3月の段階でオバマ夫人本人がその可能性を否定。 しかしバイデン氏があまりに頼りないことから、状況が変わったという声は多く、オバマ氏がファースト・ハズバンドとしてホワイトハウス入りすることが有権者にアピールするという見方は濃厚。 とは言っても夫人は黒人で女性というダブル・マイノリティ。トランプ氏も政治経験無しで大統領に当選しているとは言え、女性に対しては同じ寛容さが望めないのが現在のアメリカ。
知名度とスピーチの上手さは大きな強みで、オバマ夫人、ニューソン知事、ウィットマー知事、カマラ・ハリス副大統領の4人を比較して行われた世論調査では、 オバマ夫人が28%を獲得してトップ。最下位はハリス副大統領の7%。しかし45%が「4人の以外の誰か」と回答しており、 民主党党大会が8月に迫る中、駒が無い状態での候補者擁立は困難を極めているのだった。



ポケモン・カードが財産、投資対象になる…


ベーブルースのベースボール・カード、マイケル・ジョーダンのルーキー・シーズンのNBAカードなど、コレクティブル価値のあるトレーディング・カードに億円単位の価格が付くのは周知の事実。 特に人気の高いNBAプレーヤーのサイン入りルーキー・カードは、運良く手に入れば、あっという間に億万長者になれる投資対象。 貨幣価値が不安定なご時世も手伝って、トレーディング・カードやビンテージ・カーを始めとするコレクティブル・アイテムが資産保有手段になりつつあるけれど、 コレクティブルの世界で大切なのはその価値とオーセンティシティが信頼できる機関によって保証されていること。
トレーディング・カードの鑑定で世界的に知られるPSA(プロフェッショナル・スポーツ・オーセンティケーター)によれば、2023年度に鑑定したトレーディング・カードの43%を占めていたのがポケモン・カード。 2018年の17%から大きくアップしていることが伝えられるのだった。 PSAによるカード鑑定は、1枚当たり最低15ドルが掛かり、25万ドル以上の市場価値が認められているカードになると鑑定料は8000ドル。 決して冷やかしでは鑑定依頼など出来ないお値段。
その代金を支払って鑑定を依頼する件数が急増しているということは、ポケモン・カードが財産、投資対象としての地位を確立しているだけでなく、今後価値が大きく伸びる可能性が高いということ。
実際にポケモン・カードは、2021年にSNSインフルエンサーローガン・ポールが、PSAによる鑑定でグレード10にランク付けられた ピカチューのカード購入に527万5000ドルを支払い、 「個人売買で販売された世界最高額のポケモン・カード」としてギネスブックに掲載されており、その価値の上昇が見守られている存在。
2023年には、パンデミック中の政府からの助成金を不当に受け取っていた個人経営者が、そのお金でランボルギーニやポケモン・カードを購入していたことが明らかになり、 罰金を含めた全額返済を求められた経営者が 購入品を売却した際、唯一価値が上がっていたのがポケモン・カードなのだった。
1990年代後半にデビューしたポケモン・カードが、新しい投資対象ながらも 今後有望と見なされる最大の理由は、 目下アメリカでどの世代よりも財産を急速に増やしているミレニアル世代にコレクターが多いこと。彼らにとってポケモンは馴染みが深く、ノスタルジーも手伝って、 子供時代の延長でコレクターになってしまうトレーディング・カードの筆頭。NBAカードは既に入手が困難で、ベースボール・カードは新しいカードの価値が伸びるほどスポーツに人気が無いとあって、 今後ポケモン・カード1枚で人生が変わるストーリーは十分にあり得るのだった。



アメリカの新生児ネーミング、最新のトレンド



昨年、チャットGPTが普及してからというものAIが急速に一般人の間に普及したのは周知の通りであるけれど、 新生児の名付けにも見られるのがちょっとしたAIブーム。 新生児ネーミング専門のウェブサイト、Nameberry/ネームベリーによれば、2023年から増えた出したのが、最後の2文字がAIになる新生児の名前。
男児に人気の "Kai/カイ" を筆頭に、"Jakai/ジャカイ"、"Zakai/ザカイ"といったネーミングが数的にはまだ少ないものの、 大きな伸び率を見せているとのこと。 この傾向は親達がAIブームを意識している場合もあるけれど、アフリカ系、ヨーロッパ系には最後がAIになる名前は発音がし易いようで、 オーソドックスなアメリカン・ネームよりも個性的であることも人気上昇の理由と分析されているのだった。
かつてのアメリカはセレブリティの名前、もしくはセレブリティが自分の子供につけた名前が 新生児のネーミングのトレンドになるケースが多かったけれど、 現在は世情やカルチャーを反映したネーミングが好まれるようで、 目下のトレンドの1つは、再び宇宙開発が盛んになってきたご時世を反映して、星座などの宇宙関連のネーミング。 男児で人気なのはアポロ、オリオン、アトラス、女児の名前としてはアリエス、カシオペア、ルナ、ノヴァ等。
また現在新生児の親になっているミレニアル世代は気象変動を危惧する環境コンシャスなジェネレーション。そのためネイチャー関連のネーミングも急増中で、 女児はオーシャン、スカイ、リリー、オーロラ、男児はデューン、マリックなど、またジェンダー・ニュートラルなネーミングとしてはセージ、リバーが親達に好まれているとのこと。 花やハーブ、鳥や自然現象がそのままネーミングになるケースが多いようなのだった。
それでも人気ネーミング・トップ5にはさほど変動はなく、2023年度の女児ネームのトップ5は、1位が"Olivia/オリヴィア"、2位が"Emma/エマ"、3位が"Amelia/アメリア"、4位が"Sophia/ソフィア"、5位が"Charlotte/シャーロット"で、トップ3は前年から変動なし。 着眼すべきはトップ20のうち、15の名前が最後がAであること。6位の"Ava/エヴァ"、2023年には7位に下落したものの映画「トワイライト」シリーズが流行った頃には連続でNo.1を記録した"Isabella/イザベラ"、 8位の"Mia/ミア"、9位の"Luna/ルナ"と、トップ10内でも 8つが最後がAの名前で占められているのだった。
一方、男児の1位は"Noah/ノア"、"Liam/リアム"、"Oliver/オリヴァー"、"Elijah/イライジャ"、"Mateo/マテオ"がトップ5で、前年2022年に比べるとトップ2つが入れ替わっているだけで、こちらもトップ3は同じラインナップ。 マイケル・ジョーダン、マイケル・ダグラス、マイケル・ジャクソンが全盛期だった時代に不動のNo.1 であった"Michael/マイケル"は、2023年には23位。
アメリカも一時は 日本語で言うキラキラ・ネームのように、一捻りしたスペルの変わった名前がトレンディングであったものの、 その反動が押し寄せてトラディショナルな名前の人気が再燃したのが近年。 それもあって現在トレンディングな宇宙関連、自然関連のネーミングをする場合もリリー、オーロラ、ルナ、ノヴァ、アポロのように、以前から馴染みがある一般的な名前から 選ぶ傾向が顕著になっているのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
Shopping
home
jewelry beauty ヘルス Fショップ 購入代行


★ 書籍出版のお知らせ ★



当社に頂戴した商品のレビュー、コーナーへのご感想、Q&ADVへのご相談を含む 全てのEメールは、 匿名にて当社のコンテンツ(コラムや 当社が関わる雑誌記事等の出版物)として使用される場合がございます。 掲載をご希望でない場合は、メールにその旨ご記入をお願いいたします。 Q&ADVのご相談については掲載を前提に頂いたものと自動的に判断されます。 掲載されない形でのご相談はプライベート・セッションへのお申込みをお勧めいたします。 一度掲載されたコンテンツは、当社の編集作業を経た当社がコピーライトを所有するコンテンツと見なされますので、 その使用に関するクレームへの対応はご遠慮させて頂きます。
Copyright © Yoko Akiyama & Cube New York Inc. 2024.

PAGE TOP