June 2 〜 June 8 2024

Guilty, Retire@62, Soft & Energy Drink, Etc.
水原氏有罪答弁, リタイアメント, ソフト&エナジー・ドリンクが危ない, Etc.


先週NYで行われていた裁判で、34の訴追容疑全てで有罪になったトランプ前大統領であるけれど、今週エマーソン大学が行ったアンケート調査によれば、 「有罪判決が投票には影響しない」と回答した有権者は40%。「トランプ氏にに投票する可能性が減った」と回答したのは33%。「更にトランプ氏に投票する気になった」と回答したのは27%になっていたのだった。 今週からはワシントンでバイデン大統領の息子、ハンター・バイデンがドラッグ中毒時代に銃を不法入手した裁判がスタートしているけれど、これは本人の裁判ではないこともあり、「判決が投票に影響することはない」と回答した有権者は64%。「バイデン氏に投票する可能性が減った」と回答したのは24%、「増えた」と回答したのは12%という結果になっているのだった。 共和党側は トランプ氏の有罪判決を受けて、民主党が司法制度を選挙の武器にしていると攻撃していた一方で、メディアはトランプ氏が大統領に返り咲いた場合、 司法省や自分を裁いた検察官、裁判官に対して徹底的な復讐に出ることを予測。トランプ氏に対して起こされている最高機密書類不正持ち出し事件、ジョージア州における選挙妨害等、残り3件の刑事訴訟は 大統領選挙後になっており、トランプ氏が当選した場合の それらの裁判の行方についても様々な憶測が飛び交っていたのが今週のこと。 NYで受けた有罪判決に対するトランプ氏の刑が確定するのは7月11日のことで、いかなる場合もトランプ陣営が控訴するのは織り込み済。 その4日後の7月15日からは共和党党大会がスタートし、ここで正式にトランプ氏の共和党大統領候補が決定することになっており、 トランプ氏は裁判結果を逆手に取って共和党支持者を煽ることが見込まれるのだった。



水原氏、有罪答弁


6月4日、火曜日にカリフォルニア州の連邦裁判所で行われた罪状認否で有罪を認めたのが、LAドジャースの大谷選手の元通訳で、 大谷選手の資産に不正にアクセスして、違法ブックメーカーを通じたスポーツ・ギャンブルを行っていた水原一平氏。 判決内容が確定するのは10月25日で、最高で33年の禁固刑に直面することになっているのだった。
水原氏の事件は2024年のMLB2大ギャンブル・スキャンダルの1つで、同じ6月4日には もう1つのギャンブル・スキャンダルで、サンディエゴ・パドレスの内野手、トゥクピタ・マルカーノが リーグから永久追放処分を言い渡されているのだった。 ちなみにマルカーノは、ヴェネズエラ出身の24歳。2022年10月、及び2023年7月から11月にかけて、合法ブックメーカーを通じて合計387回、金額にして15万ドルを超える野球賭博を行っていたとのこと。 彼はギャンブルによってリーグから生涯追放された初の現役選手となっているのだった。
水原氏は違法ブックメーカーを通じたギャンブルで、野球には賭けず、インターナショナル・サッカー、NBA、NFL、カレッジ・フットボールに賭けていたのは既に報じられた通り。 しかし驚くべきはその掛け金総額。水原氏の勝ち賭け金の総額は約1億4200万ドルで、全てを自分の銀行口座に入金していたとのこと。 それに対して負け賭け金総額は約1億8300万ドルで、純損失は約4100万ドル。 要するにチマチマ負けているうちに掛け金負債が膨らんだ訳ではないようなのだった。
水原氏は2018年に大谷選手の銀行口座開設をサポートし、そこからギャンブル資金を盗み始めたのは2021年のこと。 水原氏は口座に関連するセキュリティ・プロトコール、Eメール、電話番号を変更し、電信送金確認の際に 大谷選手本人ではなく、自分に連絡が来るように設定。 約24回に渡って大谷選手に成りすました送金を行っているのだった。 更に明らかになったのは水原氏が2022年の納税申告書を偽造し、収入を400万ドル以上過少申告していた事実。
捜査当局は、罪状認否に際して行われたプレス・カンファレンスで 「大谷選手には一切のギャンブル関与が無かった」と結論付け、メジャーリーグも正式に捜査終了を発表。 連邦当局とMLB双方の捜査が終わったことを受けて、ドジャース側も「これでようやくワールド・シリーズ・タイトルに向けてチームが一丸となって前に進める」とコメントしているけれど、 丁度メジャーリーグのプレイオフが盛り上がる時点で確定するのが水原氏の刑罰。 2024年はMLBのみならず、アスリートによるギャンブル・スキャンダルが次々と報じられているとあって、水原氏のスキャンダルは今後も2024年のスポーツ界を揺るがせたスキャンダルとして度々 取り沙汰されるのは確実。 しかしメジャーリーグ史上最高の年俸契約と通訳のギャンブル・スキャンダルという、2つのスポーツ・メディアを超えた全米ネット・ニュース報道のお陰で、 アメリカでは野球に全く興味も、関心もない人々の間で大谷選手の知名度が一気に高まったのは紛れもない事実なのだった。



リタイア @ 62


アメリカでは伝統的なリタイアメント・エイジは65歳。多くの州で、娯楽施設や公共交通機関がシニア料金になるのも65歳。 しかし実際には多くのアメリカ人がリタイアしていると同時に、現役の就労者がリタイアを予定しているのも62歳であることが様々な調査で明らかになっているのだった。
日本同様、高齢化社会に突入したアメリカでは、年金制度が枯渇気味と言われる中、アメリカ史上最もパワフルなベビーブーマー世代が 高齢者のライフスタイルを若返らせているとあって、60歳を過ぎても働く体力や気力がある人々が殆ど。 しかもテクノロジーの進化により、業務上の身体的負担は以前よりも遥かに軽減され、過去数年のインフレを受けて、 既にリタイアした世代が仕事にカムバックする傾向にあったのがここ1〜2年のこと。
そのため、一般的なリタイアメント・エイジより3年早く仕事を切り上げたいと考える人々が多いことは専門家にとっては意外と言えるデータ。 実際に「62歳を超えてからも働き続ける意思がある」と回答している就労者は全体の半分以下の46%。 従業員給付研究所の最新の退職調査でも、最新の退職年齢の平均値も62歳。 65歳以降まで働いていた退職者は3分の1にも満たないとのことで、一般で認識されているほど65歳がリタイアメント・エイジではない実態が明らかになっているのだった。
「62歳以降は働きたくない」という意見は過去10年間増加傾向にあったものの、それが急増したのは2020年のパンデミックがきっかけ。 この時はコロナ・ウィルスの影響で何百万人もの高齢就労者が健康上の理由で退職を余儀なくされ、それが労働力不足を招いた結果、 アメリカの安定した雇用の一因となってきたのは周知の事実。そしてこの時に、自分の命が限られていることを実感した人々が極めて多かったことがレポートされているのだった
ニューヨーク連銀では、62歳リタイアメントの背景にある心理は 「仕事と幸福を天秤にかけて、人生の価値を再考するようになったカルチャー・シフトが原因」という見解を示しており、 特にベビー・ブーマー世代は1990年代に安価で購入した不動産や株式が暴騰した結果、彼らの上のサイレント・ジェネレーション(1928〜1946年生まれ)よりも経済的に余裕があるのも、 仕事より人生の幸福を優先させる要因になっているという分析をしているのだった。
では62歳でリタイアして何をするかと言えば、まず筆頭に上がるのが旅行、もしくは今までと違う土地で暮らすこと。 「身体の自由が効くうちに、自分の知らない世界に触れたい」という欲求が非常に強いようで、 それ以外だと「趣味に時間を掛けたい」、「家族と過ごす時間を増やしたい」、「bucket list/バケット・リスト(生涯で果たしたい夢や目標のリスト)を叶えて行きたい」という声が殆ど。
ちなみにバケット・リストは2007年に公開されたジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン主演の同名のハリウッド映画がきっかけで頻繁に使われるようになった表現。 しかしながら、多くの人々に影響を与えたのはそんなエンターテイメントとしてのフィクションではなく、 ソーシャル・メディアを通じて ごく普通の個人が様々な場所を旅行したり、様々なライフスタイルを送る姿を見続けて来たこと。 それによって徐々に価値観や人生に対する考えが変わって来た結果と言えるのだった。



若い世代が好むドリンクの健康リスク


今週報じられたのが、ドクター・ペッパーがペプシを抜いて、アメリカでコカ・コーラに次ぐNo.2の売り上げのソフト・ドリンクになったニュース。 ドクター・ペッパーというと 比較的新しいイメージがあるものの、実際にはその誕生は1885年。コカ・コーラ、ペプシより前で、 今では23種類のフレーバーを揃えたブランドに拡大しているのだった。
かつては「南部で根強い人気のコーラ」というイメージで、2005年にはスプライトと並んで売り上げ第6位だったドクター・ペッパーが、近年急速に人気を高めた理由は、 インターネットを中心に行ったマーケティング戦略が功を奏したのに加えて、 若い世代がTikTokで盛んに取り上げたため。
上のジェネレーションに比べてユニークなフレーバーを好むジェネレーションZ、その後に控えるジェネレーションα(アルファ)にとって、コカ・コーラとペプシはどちらも同じ味。 ドクター・ペッパーだけが独得のチェリー・フレーバーや爽快な後味が感じられるという声が多く、しかもコーラよりカフェインの量が多い事も人気の要因になっているのだった。
ドクター・ペッパー同様に、2000年以降のアメリカで急速に市場を拡大してきたのが、レッド・ブル、モンスター、リレントレス等に代表される カフェイン含有量の多いエナジー・ドリンク。アメリカでは人口の90%が毎日何等かのカフェイン・ドリンクを飲んでおり、 そのうち18歳〜29歳の32%が毎日飲んでいるのがエナジー・ドリンク。上のビジュアルの情報のサイズは不明であるものの、レッドブル340mlに含まれるカフェインの量は102mgで、 ドクター・ペッパーの2倍以上。それよりカフェインが多いモンスターは340mlの缶で123mg。これを若い世代が眠気や疲れを感じた時、パーティーで盛り上がる時などに何本も消費するようになった結果、 急増したのが50歳以下の直腸がん、結腸がんの件数。2000年以降、50歳以下の直腸がん、結腸がんの件数は70%アップ。
がんの直接的な原因と憶測されてのは、糖分、カフェインに加えて過剰に含まれているトーリン。トーリンはハーバード大学のロンジビティ・エキスパート、デヴィッド・シンクレア博士が毎日摂取を奨励するサプリメントで、 少量を摂取すれば、極めて安全で、神経細胞内のカルシウム量の調節や炎症の抑制など、多岐に渡るポジティブな役割を果たすアミノ酸。 ところがこれを著しく過剰摂取すると、一時的にエナジー・レベルがアップしたと錯覚を覚えると同時に、嘔吐、胃のむかつき、めまい、疲労、下痢、便秘を引き起こし、 がん細胞と闘うリンパ球の一種、T細胞の働きをブロックすることから、がんが拡大する要因になることが認められているのだった。
がんのリスクだけでなく、カフェイン、糖分が過剰に含まれたエナジー・ドリンクは、不眠症、気分不快、歯の問題、肥満と深く関連しており、 一部の州では 18歳未満に対してエナジー・ドリンク摂取に規制を設ける動きが出ているものの、 カフェインの量で言えばドクター・ペッパー2本分に過ぎないので規制に動けないのが実情。
さらに現在のアメリカでは、飲酒年齢に程遠いティーンエイジャーの間で、俗に”モクテル”と呼ばれるノンアルコール・カクテルの人気が急上昇中。 これらもアルコールが入っていないだけに規制は出来ないと言われるものの、成長期の若者の消費が考慮されていないプロダクトであるだけに、 ソフトドリンク感覚で過剰摂取することにより、様々な健康問題をもたらすことが危惧されているのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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