Dec Week 3, 2024
Era of Air, Denial of the Material World?
”風の時代” や ”精神世界” は、 単なる経済的不遇の心の拠り所?


毎回このコーナーを読ませて頂いています。私は読者としては新しい方だと思いますが、アドバイスは全て遡って読ませて頂きました。
私がこのコーナーを読み始めたのは秋山さんが風の時代について詳しくコラムに書いていらした2022年の終わりか2023年の初頭だったと思います。 ネット上で風の時代についていろいろな説明がありますが、秋山さんが説明されている風の時代の展望が一番分かり易く、納得できるので、 イメージし易いと思いました。
日本のネット上では、風の時代が本格化して精神世界に入ると、金融システムやお金価値観がガラッと変わって、 物質主情主義が過去の物になると言われています。 知りあいで、仕事を辞めたり、契約社員打ち切りになった人が スピリチャルにハマっていると言いながら YouTubeビデオで言われた通りのお祈りをしたり、ビデオに指示された通りにコメント欄に書き込みをして 達成感や期待を抱いていますが、ネット関係の仕事をしている私から見れば、どう考えても運営者が収益を得るために利用されてようにしか見えません。 そんなことを続けてもお金に困っている様子を見ると、逆に本当の神様のお怒りを買っているように思えますし、 ネット上はデマやプロパガンダが多いので、精神世界到来の予告は 所得が伸びない人達に「あともう少しの辛抱」と希望を持たせて、ダマシダマシ増税等で搾取を増やすための陰謀説のようにも見えてしまいます。
先日、職場仲間とも 「精神世界の到来を信じる人ほど、南海トラフみたいな大災害が起こった時に ”自分だけは生き残れる” みたいな自信を持っているよね」という考察(?)で盛り上がってしまったのですが、 そういうスピリチャル系の人達を見ていると、風の時代、精神世界って、実は経済的な苦しさを紛らす心の拠り所でしかなくて、資本主義経済の 貧富の差が開く世界が続くだけかもしれないと思えてきています。
秋山さんも以前のコラムに「風の時代の精神の強さは、土の時代の財力と同じくらい大切」と書いていらしたのですが、 出来れば精神世界のお金や財産について掘り下げて教えていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。

  ー Y ー


財産価値や資産家の意味合いが変わったとしても…


Yさんが書いて下さったように、風の時代から精神世界が始まるというビジョンは多くの人々が持って居るようです。
土の時代が物質至上主義であった反動で、精神世界が始まるという説明が一般的ですが、 だからといって資本主義が消える訳でも、お金を稼がなくても生きていける世界になる訳でもありません。
歴史を紐解いても、お金に価値が無く、お金を持たず、使わず、稼がずに生きられた時代など存在しません。お金が生み出される前の時代にも、お金と同等の物が存在してきたのです。 中には風の時代を共産主義と結びつける人も居ますが、貧富の差を減らし、経済的平等を目指そうとする共産主義は 能力や生産性が高い人々から意欲を奪い、社会制度への依存を高めることはソビエト連邦の崩壊によって立証されています。ソ連崩壊を機に 中国共産党でさえ資本主義に走ったことを思えば、精神世界でお金や財産に対する価値観が変わったとしても、生きるための経済活動や資産は不可欠です。 歴史的に資産を持たない人々の方が楽をした時代はほぼ皆無ですので、お金や物質的価値観の変化は貧困層に優位をもたらすものではありません。

風の時代は分散化とテクノロジーの更なる進化、流動性の時代ですので、金融システムにおいては 土の時代の中央集権の象徴であった中央銀行制度が終わりを迎えると私は考えています。 そして分散型金融システムであるクリプトカレンシーが世界通貨として使用されると予測しますし、ビットコインは世界各国のリザーブ・カレンシー(保有通貨)になると思っています。 デジタル・フォームの資産が当たり前になってくれば、従来の資産、すなわち維持や保管に費用がかかり、持ち運びや移動が難しく、盗まれたり、壊れたりというリスクを伴う 資産に人々が価値を見出さなくなるので、土の時代にもてはやされた財産の価値が衰える一方で、 不動産等の現実世界の資産をデジタル・トークン化して登記、取引する動きは既にクリプトカレンシーの世界で始まっています。
富裕層や資産家に対する人々の考えも変わります。 今の世の中では誰もが目指すのが裕福になることです。 風の時代も裕福さがアドバンテージであり続けますが、現在のように誰もが盲目的にメガリッチを目指すのではなく、 小学校の頃にピアノのコンクールで優勝したクラスメイトや、中学時代に英語のスピーチ・コンテストで優勝した友達のように、 「凄いと思うし、功績を認めるけれど、自分は特にそうなりたい訳ではなく、そうなる努力よりも別のことをしたい」という存在になるのが、 物質至上主義から脱した段階だと考えます。
また風の時代は、土の時代のように貯め込んで、積み重ねる時代ではなく、拡散、分散する時代ですので、 資産家がお金を有効に使わなければならない状況になり、その使い道で人々にジャッジされる時代になるのかもしれません。 現在でも、世界中に高級住宅を購入し、世界最大のスーパーヨットを購入するなど、自分のことにしかお金を遣わないジェフ・ベゾスよりも、 彼と離婚し、毎年ビリオン単位の金額を適正と判断される複数のチャリティ団体に寄付をする彼の元妻、マッケンジー・スコットの方が 社会的に評価と支持を得ています。 資産の使い方で社会からジャッジされるようになれば、資産家はステータスというより、ウェルス・マネージメント部門の管理職のような位置づけになりますので、 働かずして好きにお金を遣えるイメージではなくなるのかもしれません。また富豪をターゲットにした犯罪が増えることも見込まれます。

精神世界は物質世界よりも厳しい世界です

風の時代の精神世界は、お金の問題で追い詰められたり、焦ったりする必要が無くなり、瞑想や祈りで心の安らぎを得ながら、人間性を高めて生きていける 世界と考える人々は多いようですが、前述のように経済的問題を抱える人にとっては それが消えて無くなる訳ではありませんし、 誰もが心豊かに生きられる「蝶よ、花よ」の世の中でもありません。
武道を極める人々にとって 最も厳しいのが精神の鍛練であるのと同様、 精神性を問われる時代は、極めた段階で悟りや覚醒がもたらされるとは言え、 そこに行きつくまでは人間として鍛え直される時代です。 これまで財産というライフラインで守られてきた人々が、お金や物に頼らず、幸福や達成感を味わったり、自分の存在を示すというのはそう簡単なことではありません。 物質至上主義の世界では、お金やギフトを渡すことで愛情や友情、時に権力を示し、受け取る側から感謝や敬意、愛情、優遇を得ることが出来ましたが、 精神世界では 笑顔で「お誕生日おめでとう」と伝えることや、一緒に時間を過ごすことが最高のギフトになります。 それを「簡単」、「一銭もかからない」と判断するのは物質至上主義に洗脳された考えで、一緒にいるだけで相手を幸せに出来る存在になるというのは 愛情、友情、思いやり、そして時間の積み重ねを要する難しいタスクで、「物だけ渡して祝う方がよほど楽だった」と思えるのが精神世界です。 だからといって人のために一銭も払う必要が無い世界、何も贈らなくても良い世界になる訳でもありません。

その一方、これまで自分の人生が上手く行かない原因が全てお金のせいだと思いこんできた人は、 自分の人間性や能力の至らなさ、考えの甘さ、そして周囲が自分より努力していたこと等、厳しい現実を突き付けられることになります。 人間性が良ければ周囲から助けが得られ、能力さえあれば良い仕事に雇われたり、新事業のための資金提供も受けられる世の中になると、 何でもお金やコネが無いせいに出来た時代の方が自分のプライドが保てたことを実感して、打ちのめされます。
また風の時代は様々な情報がスピーディーに拡散されるので、土の時代よりも多様な情報源が登場する状況は既に始まっていますが、 それだけに長年隠蔽されていたことが明らかになる時代でもあります。 現在も元クラスメートの証言等から学生時代の虐めが明らかになり、社会的制裁を受けるケース等が見られますが、 風の時代にはテクノロジーの進化により、匿名だからと安心して行っていたネット上の誹謗中傷や極端な思想、暴力的もしくは怒りに満ちた言動等が、デジタルフット・プリントの 分析で、調査機関ではない個人レベルでも出所が調べられるようになる暗示があります。 そうした形で起こらない場合でも、多くの人々がパンドラの箱を開くような経験をしますので、友人の裏切りを知って傷つく人、人が信じられなくなる人、誹謗中傷を含む過去の悪事がバレることを恐れる人々が 精神の安定を失って苦しむことになります。
人間関係や価値観を覆すような出来事や事件が個人レベル、社会レベルで起こり、「何を信じたら、誰を信じたら良いか分からない」、「自分が信じて来たものが全て間違っていた」という状況を通じて、 過去を清算し、世の中全般が精神レベルで淘汰されてから実現するのが風の時代の精神世界です。 そのプロセスで精神をまともに保てるのはネット上で言われるような ”選ばれた人間”ではなく、 自分を鍛えてきた人々、ウソ偽りなく、信念を持って強く生きて来た人々で、そうした人々が切磋琢磨し、支え合う状況が実現した時こそが、スピリチャル系の人々が主張する 「人類が高次元にステップアップする世界」だと私は理解しています。 私が以前のコラムで「風の時代では精神の強さが、土の時代の資産と同等の強みになる」と書いたのはそういう意味だと解して頂けたらと思います。
とは言っても、これはあくまで星や時代の暗示から考察した私のビジョンに過ぎません。世の中の占い師やYouTuberが語っているのも彼らのビジョンに過ぎません。 確実に言えるのは、新しい時代に移行するには一度過去を清算しなければならないということで、清算のプロセスが無ければ古い時代の延長でしかありません。 人類がこれまでどんなに努力しても もたらせなかった変化が、星と時代の後押しを受けて遂に実現するところに来ているのが現在、具体的に言えばこれからの約20年です。

今回が2024年最後のこのコーナーになりますが、2025年は誰が国のトップに立とうとも、自分の生きて来た人生に胸を張れる人は、 確実に以前よりも報われる年になるはずです。健康にくれぐれも留意されながら、希望を持って頑張って頂きたいです。
Have a Happy 2025!

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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