Oct. Week 2, 2024
Who did this to me?
私を陥れたのが誰か分からず、苦しんでいます


いつもサイトを楽しく拝見しています。
今日ご相談させて頂きたいのは、私の前の職場でのことです。身バレしたくないので簡単にご説明します。
ある時、上司宛に匿名で手紙が届き、そこには私に関する事実無根の悪い噂が書かれていました。 それを上司が「事実関係の調査」と称して噂を拡散したことで、私は心療内科に通うほどの精神的なダメージを受けて退職しました。 もちろん辞める時には弁護士を立てて、会社にそれなりの謝罪金は支払ってもらいましたが、私の心の傷は治らないままで、 「何故こんな酷いことをされなければならないのだろう」、「誰がやったのだろう」というモヤモヤした気持ちで苦しみ続けています。

事件当時は会社の同僚や、学生時代からの友人に相談して、彼女らなりの推理をしてくれましたが、疑心暗示な気持ちだけが強くなって、 誰も信じられなくなるのが嫌で相談を止めました。でも時間が経過しても「自分の何がいけなかったのか」と私が被害者なのに、 自分を責める気持が定期的に沸き上がって来て、とても苦しい思いをしています。
こういう気持ちにどうやったら終止符を打つことが出来るでしょうか。 何かアドバイスをして頂けると非常に助かります。よろしくお願いします。

  ー S ー


私の ”陥れられた経験”


Sさんのように 正体が分からない人間に、理由が分からないまま陥れられるというのは、非常に精神面でのクロージャーを得るのが難しい状況であるとお察しします。 私もこれまでの生涯に2回ほど経験がありますが、私の場合は、どちらも陥れた犯人をほぼ確定することが出来ました。
一度目は私の高校時代で、音楽雑誌の読者投稿の売買セクションに、当時で40万円もした高額ギターを2万円で売るという広告が私の名前で出されてしまいました。 当時は昭和の黒電話の時代で、父が医療関係者であるため受話器を外しておく訳にも行かず、夜中も 明け方もなり続ける電話の音で家族全員がノイローゼになりそうでした。 最初は何が起こったのか全く分からず、電話を掛けて来た人に事情を尋ねるところから始まり、やがて雑誌の編集部に問い合わせて 問題の投稿の手紙を送ってもらいましたが、明らかに筆跡をごまかしているような文字で書かれていたのを覚えています。
私の場合、ラッキーだったのは占い師をしていた母の霊感が強く、母がその手紙を枕元に置いて眠ったところ、翌日興奮して犯人が分かったと言ってきました。 それは子供の頃、頻繁に遊びに行っていた伯母宅で働いていたお手伝いさんで、事件当時は某音楽会社に勤めていた女性でした。 彼女には私と同じ年齢の娘さんが居て、私がその娘さんのことを伯母宅近所の子供達に「お手伝いさんの娘さん」と何度か紹介したことで、母娘共にプライドが傷ついたようでした。 ですが当時の私はまだ幼稚園に通っていた5~6歳児で、伯母に「お手伝いさんの娘さんと言わないように」と注意されるまで、そう紹介することで お手伝いさん母娘の気分を害することなど想像さえできませんでした。
私は当時もう1つ地雷を踏んでいて、お手伝いの女性が洋裁をする関係で、母が時折、私の服の仕立てを彼女に依頼していました。 そして私が成長して着られなくなった服を、私より小柄だった彼女の娘さんにあげていたのですが、娘さんがそれを着ていた時に「それ、私のお下がりでしょう」と言ってしまったことがありました。 これも母に注意されてからは二度と言いませんでしたし、物心がつけば失礼だったことは理解できますが、 たとえ幼稚園児の発言でも同じ年齢の娘を持つ母親としては、非常に腹立たしく感じられたのだと思います。

最初にこの女性が犯人だと母に言われた時には、私は「まさか!」というリアクションで、その時点で女性と娘さんにはもう何年も会っておらず、その存在さえ忘れていました。 ですが母はこの出来事の予知夢を見ていて、その数週間前に私がギターの形をしたスカートを履いて夢に登場した話を聞かされていました。 母はあまりに鮮明な夢だったので、「ギターの形をしたスカートが流行ることを私に伝えるべきなのか」と思ったそうですが、私は私で 母が朝一番にいきなり変な事を言ったので、 そのことは良く覚えていました。 予知夢によって 女性が子供時代の私の服を仕立てていたこと、そしてギターという全く関連性の無い2つの要素が結びついてからは、 私自身も 女性が腹を立てる発言をしてきたことを思い出し、犯人がその女性だと考えるようになりました。
母が手紙を枕元に置いて眠った夜に見た夢は、その女性が通勤電車を途中下車して、駅前のポストに手紙を投函する姿で、その駅は女性が住む場所と職場を結ぶ電車の沿線でした。 恐らく女性は消印から自分に疑いが掛からないようにわざわざ途中下車をして投函したものと思います。
そんな憶測が確信に変わったのは、程なく女性が大した用も無いのに 久しぶりに自宅に電話を掛けて来た時でした。 偶然私が電話を取って女性と話しましたが、その声色や話し方が、まるで放火魔が火事現場を見物に来たような雰囲気でした。 そして電話が掛かって来た日とその時間帯も、事件の犯人であることを証明するようなタイミングでした。
私はこの事件を通じて、自分に悪意が無くても人から恨みを買うこと、それを根に持つ人はどんなに時間を掛けてでも復讐してくることを学びました。

この件については「自分の言動が悪かった」と考えた時期もありましたが、後にこれは生き方の問題だと考えるようになりました。 人間なので間違えや、過ちを犯すことはありますが、そこから学んで自分が信じる正義を貫いて、高潔に生きてさえいれば、恥じることも、責められる必要も無く、幸せな人生が送れると私は信じています。 逆に人前で意見を言わず、表面だけ取り繕って周囲に合わせながら、裏では匿名で人を陥れたり、自分の劣等感を払拭するための復讐や攻撃をする人は、 その行いによって自分の不幸な生活、および劣悪な人間性を自ら認めて、それにドップリ浸かって生きる惨めな人生を選択しているのです。
不幸な人ほど、自分が上に上がれない分、人を落とすことばかり考えるものですが、 行動は言霊よりも大きな影響を人間に与えます。 証拠や証人などいなくても、悪い行いをすれば それによって纏うオーラや周囲に発するバイブがそれを反映して変わってくるので、顔形もそれに応じて歪んできます。 特に35歳を過ぎて老化が進んでくると、それが如実に現れて来ます。心の貧しさは経済の貧しさよりも顔や身体に現れるのです。 40歳を過ぎたら、どんなに優秀な医師の美容整形を受けたところで、決して善良で幸せな人間の顔になることなどできません。

苦しみの根源と、幸福の始まり

私を2度目に陥れた人は前述の女性よりも遥かに上手でした。 非常に狡猾で、悪魔的なチャームの持主でしたが、嫉妬心や競争心が介在しない部分では人間的に脆く、孤独な人でした。
彼女が何をしてくれたかと言えば、CUBE New Yorkで不法労働者が働き、脱税をしているという法的機関への密告でした。 それで会社に監査が入ることになり、しかもそのタイミングは11月というかき入れ時。 そんな時に書類の準備をするは 考えただけストレスフルで、目の前が真っ暗になりましたが、 お役所を敵に回すと厄介なので、事前に何度か担当者に電話をして指示を仰ぎながら、書類を完璧に揃えるように努めました。 そうするうちに監査官と徐々に仲良くなってしまい、彼がオフィスにやって来た時にはお互いに極めてフレンドリーで、監査自体も過去1年に私が切った小切手をチェックしただけでクリアになりました。
監査官はユダヤ教だったので、余った時間はユダヤの教えについてのレクチャーになりましたが、これはかなり面白い話でした。 彼は午後から給与だけで億円単位を支払っている大企業に出向くことになっていたので、CUBE New Yorkのような小さな会社は その日のウォームアップだったようです。
でも小さな会社に わざわざ監査官がやって来ることを含めて、いろいろ腑に落ちないことがあったので、「この監査は、誰かの密告がきっかけだったのですか?」と尋ねたところ、 「いや、それは別の部署だからね。単なるランダム・チェックだよ」という答え。しかしその目はしっかり私を見据えて「密告だった」と言っていて、目は口ほどに物を言うのを痛感したのがこの時。 私も目で「分かりました」という意志表示をしながら、口先だけで「そうなんですか」と返すと、監査官は視線を和らげて「まぁ注意するにこしたことは無いよね」と言ってその会話を終わらせたのでした。

こうして監査が密告だったと悟った私は、誰に密告されたのかを気にしていましたが、ある時、当時仲良くしていた女性が尻尾を出しました。 彼女は会社経営をする男性と付かず離れずの交際をしていたのですが、その男性がブロンド美女の不法移民を雇い、 仕事の後に一緒に食事に行くなど、私生活でも親しくなったのを知って激怒し、「労働局に密告してやる」と息巻いていたのです。 それを聞いた私が「監査資料を揃えるのってすごく大変だから、一時的な怒りに任せてそんな事をしたら 男性にすごく迷惑が掛る」と止めたところ、 一瞬、女性とその周りの空気が凍り付いたようにストップし、白々しく声のトーンを作りながら「そういえば大変だったって言ってたよね」と言った不自然さや、目の泳ぎ方で私は彼女が犯人だと確信しました。 幾ら嫉妬していたとは言え「労働局に密告」というアクションがサラリと出て来たところも、日頃からそういうことを考えて、実際に行った経験があるからのように思えました。
後にこの女性についてはそれ以上の裏切りが発覚したので、密告の犯人であっても無くても関係なくなりました。
世の中には、どんなに酷い目にあったとしても 相手を許すことで自分が精神的に成長し、歩み寄ることで相手の心もポジティブに変えることの大切さを説く人が存在しますが、 私はそういう人達は人間の本当の恐ろしさを知らない、あるいは人間の姿形をした別物が人間に混じって存在することを理解していないのだと思っています。 私はそういう生き物とは「関わらない美学」を貫く立場です。

Sさんはご自身を陥れたのが誰だか分からず、そのせいで原因も分からずに苦しんでいらっしゃる訳ですが、私の考えでは相手が分かっていても、分からなくても、 その苦しみや悔しさにフォーカスしている限りは心の傷みは同じです。 Sさんの苦しみは、陥れた相手によるものではなく、その心の傷を何度もえぐっては自分を傷つけてるSさん自身が原因です。犯人が誰であろうと全く関係はありません。
苦しみから解き放たれるには、人生の楽しさにフォーカスすることです。幸せの追求など後回しにして、まずはその時々の楽しさを優先させることからスタートして、とにかく笑う機会を増やして下さい。 それが日常化すると、過去の傷みや苦しみに自ら戻って行こうとする気持ちが払拭されるはずです。

監査の時に話を戻すと、当初私はビジネスの掻き入れ時に監査が入ることに「営業妨害だ」と被害妄想的な怒りを感じていました。 ですが入ると決まった限りは、出来るだけペインレスな経験にしようと頭を切り替えました。 そこで前述のように担当者に電話をして、事前にできる準備をしっかり整えることにしたのですが、 当時はワールド・シリーズの真最中。彼との会話から野球ファンであることを察知した私が、前夜の試合のことを話すと、 そこからコミュニケーションが180度変わりました。そして質問電話の度に監査官とワールド・シリーズやフットボールについて話すようになりました。
監査官がオフィスにやって来た時にも、まずはNFLの話題から始まりましたが、その時に私が淹れたほうじ茶を彼が非常に気に入り、 「これは何処で買えるのか?」と尋ねてきたので、「お茶自体は、日本の食材店で買える安いもので、秘密は淹れ方」だと説明しました。 実は私は高校、大学時代に美味しいお茶を入れることに没頭した時期があって、就職してからも私がお茶を入れると複数の社員が味の違いに気付くくらいに、同じお茶葉を使っても遥かに美味しいお茶を淹れることが出来ました。
すると監査官が淹れ方のコツを尋ねたので「魂を込めること」と答えると、何故かその答えを非常に気に入ってくれて、それがきっかけで 監査そっちのけでユダヤ教の話になったというのが当日の経緯でした。 なので準備は少々面倒でしたが、監査自体は全く苦にならないどころか、むしろ興味深い経験で、振り返ると監査官とのコミュニケーションを楽しみ始めた時から、 監査というものが さほど厄介な災難ではなくなっていました。 この時に私は「人生、何事も楽しんだ方が勝ち」という貴重なレッスンを学んだと思っています。
どんなに正論を語っていても被害者意識や不幸を纏った暗い雰囲気だったら、他人の不幸が好きな人間以外は寄って来ませんし、問題が解決することもありません。 私自身、面倒で厄介な作業を 楽しそうにワイワイやっているうちに、人が集まって来て手伝ってくれた経験を何度かしていますが、 風の時代に入った今は特に楽しそうな雰囲気や幸せそうなオーラ等、空気を介したアトラクションが大切な時代に入っています。 苦労や経験を積み上げて、それをウリにするのは土の時代で終わっているのです。 風の時代には、「何時までも同じことに捉われる思考」が土の時代以上のマイナス要素をもたらします。
こういう状況だと「幸福になって、毎日笑顔で過ごすことが自分を陥れた人間に対する最大のリベンジ」と励ます傾向にありますが、 私は下らない人間との悪い出来事は、嫌な事を乗り超える時に自分を奮い立たせるために利用することはあっても、 幸せになろうとする気持ちや行動の基軸にするべきではないと思っています。
時代は変わっているのですから、新しい人間関係や新しい経験、新しい目標にフォーカスして、とにかく毎日を少しでも楽しく過ごすように心掛けて下さい。 私にご相談下さる方は 運が明ける直前の方が多いので、トンネルの出口が見えてきていると感じながら、是非頑張って頂きたいです。心から応援しています。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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