Aug Week 1, 2024
Really Hard to Say NO
アメリカ旅行で家に滞在したがる親戚&友人、円安なので断り難くて…


いつも素敵で有益なウェブサイトをありがとうございます。
私は約6年前からアメリカ在住です。住んでいる場所が旅行者に好まれるエリアなので、特にパンデミック前は夫と私の家族、親戚、友人が頻繁に泊まりに来ていて、 その頃は私も日本を離れて日が浅く、こちらに知り合いも少ないのでゲストを迎え入れていて、お人好しにゲスト用リネン等も買い揃えていました。 しかし程無く私達夫婦にとって見ず知らずの友人を泊めてあげて欲しいなんて図々しいリクエストをしてくる人が出て来まして、私達夫婦もゲストに振り回されて、そのせいで夫婦仲が悪くなったこともありました。
こちらが断るのが苦手なこともあるのですが、「旅行中に家に滞在したい」という下心がある友達ほど、久々に連絡をくれた時の会話が弾んでしまう傾向にあり、その直後に頼まれると断るのが難しいのです。 毎回「またやられた」という思いを何度もしてきました。 日本に比べて家の間取りが広いこともマイナス要因で、渋々受け入れる旅行者が増えてしまいました。

ですが、パンデミックに入った途端に旅行者が来なくなりましたし、その後も「また行きたい」と言われても、感染症が流行った後だと 「誰かを滞在させて、何か起こった時に責任が取れない。こちらの救急医療は高額だし…」と言うと相手も納得するので暫くは問題無しに旅行者を断ることが出来ました。 ところが今年の春先くらいから、日本の親せきや友人達から「また旅行に行きたいから、泊めて欲しい」という連絡がいくつも来るようになりました。
「パンデミックをきっかけに、旅行者は滞在させないことにした」と言うと、一部は諦めてくれるのですが、 「どうしてもダメ?」と食い下がって来る人達は、「円安だから、ホテル代が掛からないところにしか海外旅行には行けない」というように、二言目には「円安で苦しい」と言って来ます。 近隣のホテルを勧めても「ホテルは危ないし、高い」、「ホテルに泊まれる余裕があったら、最初から頼まない」と言われてしまい、 中には「車の運転をしてくれる人が欲しいから」と私を足替わりにする気満々の人も居ます。
実は数か月前に、諸事情があったのと円安に同情したこともあり、大学生の従妹と友達を滞在させたことがあったのですが、 そうしたら親戚から「どうして私達はダメなの?」と責められ、それを友達に愚痴ったせいで、話を聞いた別の友達から「もう泊まりに行ってもOKだって聞いた」と連絡が来てしまい、 またあの悪夢が戻って来るのではと怯えています。
特に強引に迫って来るのは2~3人ですが、その人達をどうしたら納得させられるのか、夫婦で頭を痛めています。 私達が日本に一時帰国する時は、泊まりに来た知り合いや親戚のところでお世話になることは全くありません。

私の住むエリアから車で20分程度のところには、有名な観光アトラクションがあるので、ご近所のアメリカ人家庭も 「ロング・ウィークエンドになると親戚が泊まりに来る」と話しています。私の英語が怪しいので確かではありませんが、うちほど迷惑がってはいないように見受けられます。 アメリカ人なら車の運転が出来て、英語も話せますから、さほど手が掛からないのかもしれません。
うちに泊まる人には一切お金などは請求していなくて、あくまで好意として迎えていて、見返りなどは期待していません。 それでも適当に空港で間に合わせで買ったようなお菓子の箱を仰々しく渡されたり、 「荷物が一杯だったから、後で日本からのお土産を送る」と言って手ぶらでやって来て、後から何も送って来ないようなことは珍しく無くて、 滞在中も 教えれば洗濯機くらいは自分で回しますが、それ以外は料理も掃除も私任せです。 車の運転もさせられますが、ガソリン代を払ってくれる事などまずありません。冷蔵庫の中のものを勝手に食べても知らん顔で、 ゲストが1カ月に2組滞在した月は、夏だったので冷房代が掛かったこともあって 電気代が2倍になって目を見張りましたが、それらもうちの負担です。 帰った後のシーツの洗濯や部屋の掃除もこちらの仕事です。 以前忘れ物を日本に送付するように頼まれたことがあり、確か送料が70ドルくらいしたのですが、その送料も踏み倒されました。 別の人は3泊だけというので、妥協して引き受けたら、泊まる段階になって「帰りの飛行機が取れなくて、滞在が1週間に伸びた」という白々しい言い訳で勝手に延長されたこともありました。

読み返したら結構な愚痴になってしまいましたが、こういう強引で図々しい旅行者を断る良い方法は無いでしょうか。
少し前に このことをアメリカに住む日本人の友達に相談したら、「そんなに気弱で よくアメリカ生活が務まるわね」と言われましたが、ふと考えると アメリカ人にされた頼まれごとは、割にすんなり断れるのです。それにアメリカ人の方がサバサバしていて、しつこく頼まれたりもしません。 ですが相手が日本人だと、何故か強く断れなくて、相手が察してくれる場合は大丈夫なのですが、強引な場合はいつも利用されてしまいます。 普通、日本人だと外人に弱いものだと思うのですが、私の場合は反対のようです。
仲が良い友人の中には泊めてあげたい人も居るのですが、今は全部断る方が簡単だと思っています。 相手が日本人でも、アメリカ人でも角を立てずに断るような良い方法や論法はありますでしょうか。 特に日本人は「無視してスルー」が出来ない相手が多いので、何かありましたら是非教えて下さい。
よろしくお願いします。

  ー C ー


ハイエナのターゲットになる人


Cさんと同様のご相談は、パンデミック前に「NY出張と称して泊まりに来る友人に困っている」という方からも寄せられていましたが、 せっかくパンデミックで断り易い言い訳が出来たところで、円安という旅行者に同情を示すべき状況になって お断りが難しいのかとお察しします。
以前滞在された親戚やお友達のせいで、Cさんとご主人が迷惑を掛けられたご様子、そしてCさんがその時のネガティブ感情を 払拭出来ずにいるご様子を感じ取りましたが、滞在された方達は安上がりに楽しい海外旅行が出来た程度にお考えだと思いますし、 中には「渡米直後で寂しがっていた時に 遊びに行ってあげた」と、逆に恩着せがましく捉えているケースもあるかもしれません。
世の中には「誰かが家にいてくれた方が楽しい」と、ゲストを好む人も居れば、私のようにゲスト滞在は全て断るポリシーで、自分もよほどの事が無い限りは友人宅に滞在しないタイプも居る訳ですが、 前者は他人が家に居てもマイペースな生活が続けられる人、後者は気を遣うのでそれが不可能な人です。 誰かが家に滞在する場合、どちらが良いホストになるかと言えば圧倒的に後者で、相手に気を遣うだけでなく、我慢と奉仕を自分に強いながらゲストの滞在期間を穏便に乗り切ろうとするので、 図々しい人ほど快適な滞在が約束されます。 さらには滞在中にゲストが悩みを打ち明けたり、自分のことを羨むように誉められたりすれば、ウンザリすることがあっても、気を取り直してゲストのために尽くしてしまいます。
私の知人でゲストを家に滞在させない主義の人は、過去のゲスト滞在でストレスを貯めたり、何等かの被害を被って、 全員お断りするポリシーにした人が大半ですが、逆にゲストを厭わない人は「自分が嫌だったことは滞在ルールを定めて、それを守らせることで回避する」、 「一度滞在させて失敗だった人はブラックリストに名前を載せて、二度と滞在させない」など、嫌な思いをしてもゲストを受け入れる姿勢は崩さない傾向にあるようです。

文面からお察しすると、Cさんは「周囲から物事が頼み易い」と見られるお人柄のようですし、ご主人も同様かと思います。 強く言えない、言わないので、人間関係で波風を立てることが少ないと思いますし、そうならないように配慮して、我慢を選ぶタイプに見受けられます。 そしてご夫婦揃って我慢の限度に達するまで 「まぁ今回は仕方がない」、「もう今更断れない」と騙し騙しゲストを受け入れた結果、夫婦仲が悪くなってしまったのがパンデミック前だったかとお察しします。 そんなお2人の事なかれ主義的な許容範囲は、嫌なことを他人に押し付けて、美味しい所取りをするようなハイエナ・タイプに利用されがち、というかそのマグネットになっているはずです。
ハイエナ・タイプはとにかく嗅覚に優れています。 私のように好き嫌いがはっきりしていて、嫌な事は嫌というタイプに対しては、遠くから批判することはあっても頼み事をしに近寄って来ることはありません。 逆にCさんとご主人のようなタイプには、たとえ”No”を突き付けられても それを”Yes”に変えられる勝算を見出すので、望みを叶えるまで攻撃の手を緩めることはありません。 人間社会も野生動物の世界と一緒で、攻撃し易い人=弱者はターゲットになってしまうのです。

それとは別に、通販業者の端くれである私から言わせて頂くと、日本までの送料が70ドル掛かる物はかなりの重量、もしくは体積ですので、うっかり忘れるような物ではないように思います。 恐らく忘れたのではなくて、荷物に入らない、もしくは重量オーバーになるので、追加料金を支払うよりも わざと忘れたふりをしてCさんに送付して頂こうと考えていらしたのかもしれません。 そして送料も「次に一時帰国したら返す」という言い訳と共に、最初から踏み倒すつもりだったのでは?という疑いさえ抱いてしまいます。厚かましい人というのは、何処までも厚かましいのです。
いずれにしても、断っているのに無理強いをする人や、礼儀をわきまえない人、不義理で恩を返さない人、相手の立場を考えない人、このうちどれか1つでも当てはまっている人は、 気付いていないだけで その全てに該当する人物ですので、”友人”扱いすること自体が間違いです。 言い訳も必要ありませんし、連絡を取ったり、連絡に返事をするのも控えるべきです。 したがって追い払うための適切な論法など必要ありませんし、そもそもコンタクトを取ること自体が相手に自分を利用するチャンスを与えるということなのです。 相手はCさんよりも遥かに上手で、狡猾です。頑張っても最初から勝てないと分かっている相手とは、関わった時点で負けが確定することを肝に銘じて下さい。 逆に「関わらない=闘わない」状況では負けることは無いのです。

人生のドリル

人生というのはドリルみたいなものです。 間違いから学んで、それを克服して、同じ間違いをしない術を身に着けるまでは、何度も何度も学び直しを強いられます。 ビデオ・ゲームのタスクのように、学んで、達成しなければ次の段階に進めないのが人生です。
余計な言い訳をしたり、保身に走ることなく 素直にYesと言えるか、はっきりNoと言えるか、その返答に自信を持って前に進めるかは 多くの人々が繰り返し与えられるドリルです。 時に年齢を重ねた人が人生を振り返って「自分の人生はXXXXの連続だった」と語ることがありますが、それはある意味では 「学んで乗り越えようとして来なかった」ということでもあります。 苦労や我慢の連続ならば、苦労や我慢をせずに済む状況を模索するべきですし、信頼した人の裏切りが続いた場合は、人を信じる前に自分の見る目を疑ってかかるべきなのです。
日本社会では長きに渡って、周囲に合わせて自己主張を控え、我慢をして耐えることが美徳とされてきましたが、 それによって人間として生きる上で最も大切な2つのタスクがないがしろにされてきたように私は考えています。 人はある程度の主張をしなければ本当の人間性も、何を考えているかも、何がしたいのか、何が好きで嫌いなのかも分かりません。 自分を主張して周囲との間に 自分なりの協調を見出す方が、表面だけ合わせて、裏でネガティブ感情を抱え込むより遥かに幸せで、真っ当な生き方です。 また耐えられなくなった時に爆発することが無い分、必要な関係が長続きするのです。
一方の「我慢をして耐える」ということは、見方を変えれば問題への取り組みを怠けて、状況を放置し、改善を放棄する姿勢です。 病気の症状を我慢すれば、病気が進行するのと同様、我慢は悪化を招くことはあっても、改善に繋がることは無いのです。
Cさんとご主人にとって、日本からの旅行者滞在の問題はそんな人生を生きていくうちのドリルの1つのように思えます。 この問題の解決策を見出したところで、周囲のリアクションを恐れずにしっかり自己主張が出来る人間になるまでは、 同じような問題が姿や状況を替えて何度も何度も降り掛かって来るはずです。 逆に自分の主張さえ出来れば、同じ状況がストレスフリーで乗り越えられるだけでなく、嗅覚に優れたハイエナは別の獲物を求めて去っていくはずです。

ところでCさんは「アメリカ人にされた頼まれごとは、割にすんなり断れるのです」とご相談文に買いて下さいましたが、私が察するところ Cさんが未だ英語が流暢でないご様子が幸いしているように思います。 英語に苦手意識がある日本人は、まどろっこしい文法になったり、簡単なことを丁寧に言い過ぎる傾向にあります。 アメリカ人はそういった相手に自分の頼み事を説明するのは逆に面倒だと判断しますし、説明を勘違いされるリスク等も考慮するので、 Cさんに対してはアメリカ人からの無理強いや頼み事がそもそも少ないように思われますし、Cさんも日本語の「お断りします」は言い難くても、英語の「No」は簡単に言えるものとお察しします。 アメリカ社会ではアジア系やヒスパニック系が面倒に巻き込まれそうになると、「No speak English」とわざと文法を崩して英語が話せないふりをして 厄介事を回避するのは常套手段です。 私自身、アメリカ人による説明が分かり難い時には、わざと日本訛りを強くして聞き返すことがありますが、そうすると簡潔にゆっくりと説明し直してくれるので便利です。
更に言えば 英語が流暢でない場合、ネイティブ・スピーカーにとって心地好い会話のペースが成り立たないので、相手にとって頼み事がし難くなるのも事実です。 嘘、頼み事、説得は多くの人間にとって、通常の会話よりも脳に掛かるストレスが大きいのです。 そんなストレスを抱えながら、日頃と違うペースで話すことを強いられたり、頻繁に言葉の意味を尋ねられるなどして、会話の腰を折られると かなり優秀なセールス・パーソンでも戦闘能力が激減するものなのです。
ですからどうしても関わらなければならない人からの頼まれごとにお断りをする場合には、その場の空気がどんよりするくらいに会話のペースを崩してみるのも1つの手です。 会話というものは自分のペースで進めている側が主導権を持ちます。失礼にならない程度に寡黙になることで簡単に実践が可能なので、是非一度トライしてみてください。

Yoko Akiyama



このセクションへのご質問は、ここをクリックしてお寄せください

プライベート・セッションはこちらからお申し込みください

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
Shopping
home
jewelry beauty ヘルス Fショップ 購入代行

Q&ADV プライベート・セッション

★ 書籍出版のお知らせ ★





当社に頂戴した商品のレビュー、コーナーへのご感想、Q&ADVへのご相談を含む 全てのEメールは、 匿名にて当社のコンテンツ(コラムや 当社が関わる雑誌記事等の出版物)として使用される場合がございます。 掲載をご希望でない場合は、メールにその旨ご記入をお願いいたします。 Q&ADVのご相談については掲載を前提に頂いたものと自動的に判断されます。 掲載されない形でのご相談はプライベート・セッションへのお申込みをお勧めいたします。 一度掲載されたコンテンツは、当社の編集作業を経た当社がコピーライトを所有するコンテンツと見なされますので、 その使用に関するクレームへの対応はご遠慮させて頂きます。
Copyright © Yoko Akiyama & Cube New York Inc. 2024.

PAGE TOP