July Week 3, 2024
Picture Shows Real Soul?
美人でも写真写りが最悪の義姉、写真には本性が写るのでしょうか?


このコーナーを早10年以上読んでいます。いつもありがとうございます。
昨年30代後半の兄がようやく結婚しました。その兄嫁のことなのですが、私には良く人柄が分からない感じで、母も「気を遣っているのかもしれないけれど、何となく本性が分からないっていう雰囲気よね」と言います。 兄の 兄嫁に対する第一印象は「美人で、何とも言えない色気がある」だったそうですが、いざ結婚してみると短気で、時折ヒステリックに怒るらしく、新婚生活が少しギクシャクしているようです。 兄嫁は美人なので男性ウケは良いようで、父も最初に会った時に「これは美人だ」と思ったそうで、私と母が感じるような違和感は持っていません。
私達家族の中で意見が一致しているのは、兄嫁の写真写りが非常に悪いことで、さすがに結婚式の写真のように、カメラをしっかり意識して、プロが撮影や修正をしたものはキレイに撮れています。 ですが結婚式や二次会の最中にお友達や私が撮影したスナップだと、兄嫁は目が真っ赤に写ることが多く、しかもちょっと怖い顔や、キツイ目つきに写っていることが多いのです。 今はデジタル・フォト時代なので目の赤さは修正可能ですが、何か企んでいるようなズルそうな笑顔とか、 商業的な作り笑い等、上手く表現できないのですが、とにかく好感が持てない顔で写っている写真が多いのです。 実物が美人なだけに「写真に本人の魅力が出ない」と兄の友達や親戚にも言われています。ですから、私達家族の主観で兄嫁の写真写りが悪いと言っている訳ではありません。

少し前にスピリチャル系でオーラを読む先生に、兄嫁であることを内緒にして写真を見て頂いたところ、「この人は邪悪なオーラを出しているから、気を付けなさい。距離を置きなさい」と 言われてしまいました。その先生によれば 「写真は時に、人間の目に見えない物を捉える」のだそうで、例えばがんを発症している人の写真には、病のオーラや病が覆いかぶさっているような暗さが写るらしく、 死期が迫っている人には、お迎えに来ている霊の存在が写ることがあると教えて頂きました。
それを意識するようになってからは、兄嫁のことが益々不気味に思えて来てしまい、母と私は兄が結婚相手を間違えたという意見で一致しています。 兄は 兄嫁が怖い顔で写った写真を見て 「うちの奥さん、怒ると本当にこういう顔になるんだよね」と、今は呑気に言っていますが、 やっと結婚した相手で、周囲が美人だと誉めるせいもあって、離婚は考えていないようですし、兄も父も 私と母が感じる不信感は「思い過ごし」と言って、全く取り合ってくれません。

私と母は、兄嫁と距離を置きたいと考えていますが、兄嫁の両親が鬼籍に入っていることもあり、何かとこちらを頼りたがっているのを感じます。 兄も今後子供が出来た場合に、いろいろなことで私達家族に頼りたいようなことをはっきり言ってきます。 兄が結婚すると決まった時にはすごく喜んだ母と私ですが、今では複雑な思いで、兄のことを心配しています。
母と私は神に誓って嫁いびりのような、先方に嫌われることはしていませんし、どちらかというと私達の方が兄嫁に遠慮してきました。先生の指摘を訊いてからは、益々腫物に障るように兄嫁に接しています。 「兄嫁の何がそんなに嫌なのか?」と訊かれると、具体例も無く、説明に困ってしまうのですが、払拭できないモヤモヤした不安や不吉さがあって、一緒に居て心が落ち着かないとしか言いようがありません。 母が親戚にそのことを相談した時も、「理由もなく兄嫁が苦手なせいで 写りの悪い写真が兄嫁の本当の姿だと思い込もうとしているだけなのでは?」と言われてしまいましたが、 そういう訳ではないのです。好きになろうとしていて、嫌いな理由もないのに、好きになれないことが不安に思えてしまうのです。
秋山さんは 写真に本性や、魂の実態が現れることについてどう思われますか。 単なる私達の思い過ごしなのでしょうか。
個人的なご意見で全く構わないので、何かアドバイスや、ご存知のことを教えて頂けたら嬉しいです。
これからも応援していますので、頑張って下さい。

- E -


ふと考えると…


私がEさんのメールを拝読して、最初に頭に浮かんだのは、 私にとって生涯で一番酷い裏切りした元知り合いが、非常に写真写りが悪い人物だったことでした。 その人はEさんの兄嫁さん同様、周囲から美人だとチヤホヤされる人で、雰囲気も独得で華やかでした。 でも私の第一印象は「蛇みたいな怖い人」というもので、その後友達付き合いをするようになってからは、第一印象よりも周囲が指摘する美貌や華やかさに目が行くようになりました。 ですが彼女の写真を見ると、蛇のような第一印象を思い出すことはしばしばでした。結局その人物が蛇の本性を私が最も傷付く形で剥き出しにしてきたことは 私にとっては忘れられない苦い経験で、 「魅力ある存在を装いながら、こんな邪悪な人間が世の中には存在する」ということを思い知らされました。
以来私は第一印象や直感、虫の知らせが自分を守るために備わっていることを強く確信して、 理由や根拠無しに感じる人の好き嫌いは「自分のディフェンス・システム」だと捉えるようになりました。
実際に私の人生を振り返ると、自分を将来的に苦しめたり、酷い思いをさせた人は、例外なく第一印象が悪く、その一部は動物や昆虫のイメージが頭に浮かびました。 今振り返ると、その人達の写りの悪い写真は 第一印象で感じた動物や昆虫に似ていたようにも思いますが、それは第一印象が潜在意識に焼き付いていたせいかもしれません。
私がこれまで話した友人、知人の意見を総合すると、自分に対して将来的に酷い事をした相手に対しては、「初対面の時や知り合って間もない時期に、何等かの悪印象を持った」というケースは少なくありません。 後から記憶の帳尻を合わせているだけなのかもしれませんが、そうした虫の知らせや 心の引っ掛かりは 決して軽視するべきものではないのです。 人間は結婚相手や未来のビジネス・パートナー等、その後の人生に何等かの展開をもたらす相手については、第一印象が鮮明なケースが多いですが、 災難や不幸、悩みをもたらす人についても、「何等かのシグナルを感じているはず」というのが私の考えです。

したがって、Eさんとお母さまが 兄嫁さんと上手くやって行きたいというお気持ちを抱きながらも、どうしても好きになれない、信用できないという状況は 良く理解できます。 また私が何度もコラムに持ち出している現在の風の時代は、そんな根拠の無い意識や目に見えない力が人間に与える影響が更に高まる時です。 そして今後は理論的に説明出来なかったホリスティック、スピリチャルな世界が、学問として科学やテクノロジーと融合していく時代でもあるのです。 それとは別に写真というものには心霊が写し出されることもありますし、オーラ診断も写真で行うケースが多く、肉眼では捉えられないものが写ることは珍しくありません。
ですからEさんが感じていらっしゃる不安、兄嫁さんの写真写りの悪さ、スピリチャルの先生からのアドバイスを結び付けて、ご自身の嫌な予感の正当性を裏付けたいお気持ちは理解できるのですが、 そうした根拠に乏しいフィーリング・レベルの問題は 同じ考えをシェアする人のみに通じる理論です。それを理解しない、取り合わない人を説得するのは不可能です。 Eさんの言い分は、お兄様、お父様には 「嫁嫌いを正当化するための姑と小姑の屁理屈」として聞こえているものと思います。

恐らくEさんとお母さまは、兄嫁さんに感じる不安な部分をお兄様とお話しされたように思いますが、 そうした言いがかりのような根拠で自分の妻への不信感を突き付けられれば、お兄様はご自身で抱き始めた結婚生活への不安や疑問を掻き消してまで、結婚生活を続ける我慢や努力をしてしまうはずです。 メールを拝読した印象では、お兄様は結婚後もご実家との距離が近いように見受けられますが、お兄様に今一度結婚生活をしっかり考えて頂きたいのであれば、 ご実家が 兄嫁さんの態度でストレスを貯めたお兄様の息抜きや避難の場所になるべきではありません。 婚期が遅い男性は、問題を先送りにする性格である場合が多いので、お兄様に行動を起こさせるには、逃げ場を無くして、行動せざるを得ない状況に追い込むのが得策です。 ですから今後は兄嫁についてとやかく言うのは控えて、「結婚した以上、お兄様夫婦はご実家とは別世帯であること、夫婦にとってはお互いの存在が最優先であること、 ご実家は将来生まれる子供のためのサポート施設ではないこと」をしっかりお兄様に認識して頂くべきだと思います。

写真写りのからくり

世の中には、卓越して写真写りやビデオ映りが良い人がいますが、俳優やアイドル等のセレブリティが必ずしもそうとは限りません。 写真より実物の方が遥かに魅力的なセレブリティは沢山います。 それでもメディア・トレーニングや経験、場数を踏んでいるので、有名人の大半は自分のビジュアル・イメージをコントロールする能力が備わっているものです。
本当の意味での 「写真写りの良さ」とは、 有名人でも一般人でも、写真や映像の方が実物よりも遥かに素晴らしい状態のことで、 フランスの大女優、カトリーヌ・ドヌーブの若い頃はまさにそれだったと言われます。 多くのフォトグラファーやカメラマンは、若き日の彼女の実物に出会うと、顔の大きさや、のっぺりしたインパクトにガッカリしたと言われます。 ですが本人は自分のフォトジェニックさを熟知していたので 「私の顔はファインダーを覗いてからジャッジして欲しい」という姿勢を貫いたそうで、 実際にレンズを通じて彼女の姿を捉えた瞬間からカメラマンの態度や考えが180度変わるとのことでした。

私自身も、雑誌のエディターをしていた1990年代に 「フォトジェニック」が何たるかを思い知らされた経験があって、 それはストリート・ファッションのブティックの取材をマンハッタンのウエスト・ヴィレッジでしていた時のこと。当時カルバン・クライン・ジーンズのモデルに抜擢されて、ようやく顔が知られるようになった ケイト・モスが その店にフラリと入店してきました。店の店員もフォトグラファーも直ぐに気が付いて、その時はまだ撮影のセットアップをしているだけだったので、 バタバタしていることを謝罪しながら「気にならなければ、そのまま商品を見ていって欲しい」と言うと、彼女はその後5分~7分程度を掛けて商品をチェックしていました。 私は「背が低いし、普通の子だなぁ」と思って見ていましたが、撮影用のライトが当たる場所にケイトが立った途端、肌が光を放つ半透明に見えて、いきなり発光体のように輝きだしたのは 今も忘れられない衝撃でした。 編集部に戻って、そのことを興奮して説明していた時に「フォトジェニック」という言葉が「Photo=光」+「Genic=生み出される」、すなわち「光によって生み出される」という意味だとスタッフに教えられ、 心から納得したのを覚えています。
その後もファッション・ショーでケイト・モスを数回見ましたが、やはり背が低いので、長身でボリュームのあるブロンドヘアをなびかせてランウェイを歩くクラウディア・シファーのようなスーパーモデルに比べると 存在感が今一つという印象でした。ですがそれを撮影しているフォトグラファーによればケイトは、「肉眼で見ると今一つだけれど、カメラで捉えようとすると最高の被写体」だそうで、 実際にフォトグラファーの間では、「ケイト・モスのランウェイ・ショットは失敗が少ない」と言われていたようです。

写真は3面体を二次元で捉えているので、角度によって顔立ちが平らに見えたり、歪んだりする傾向があり、写真写りの良い顔立ちというのは、その歪みや粗が逆にメリットとして働く顔とも言われます。 また写真は、顔が表情を作る際のモーションの断片を捉えるので、一瞬の瞬きなど、肉眼では見過ごしている表情、顔の部位の動きを写し出します。
そのため人柄から表情まで、表向きの自分を取り繕っている人物は、ふと油断した時や、何等かのリアクションの際に覗かせた本来の姿を カメラに捉えられてしまうことはありがちで、写真には そんな決定的瞬間を偶然捉えてしまう不思議さがあります。 ですから写真写りの悪さが人間性を表すというのは当たらずとも遠からずですが、写真写りの良さについては、テクニックや顔立ちであって、完全に人柄とは無関係です。
私の友人は、もう何年も前に日本の芸能人が大勢集まるパーティーに出掛けたそうですが、ある女性タレントが出席者に囲まれながら写真撮影に応じていたので、それに便乗して一緒に写真を撮影したとのこと。 その女性タレントは機嫌が悪かったのか、本来の性格が悪いのか、無礼ではないものの、非常にツンケンして感じが悪く、友人は失望したとのことでした。 でも一緒に写した写真では非常に美しく、性格も良さそうに微笑んでいたそうで、「嫌いになった反面、あの機嫌の悪さでも 写真写りだけは完璧にコントロール出来るしたたかさに脱帽した」と言っていて、 「ああいう人間性じゃないと芸能人なんて務まらないんだろう」とも話していました。 英語では「百聞は一見にしかず」と同等のことわざに「A picture is worth a thousand words」というものがありますが、 その女性タレントのエピソードでは、写真は彼女の本来の人間性を写すことは無かった代わりに、 彼女がどんな精神状態でも被写体としてベストの自分をカメラに捉えさせるプロであるという一面はしっかり証明していたことになるかと思います。

最後に全くの余談ではありますが、自分が楽しそうに、幸せそうに写っている写真、たとえ自分の写りが悪くても家族や大切な人と一緒の写真は 大切に保存したり、部屋に飾るなどして、時折眺めていると、セラピーに匹敵する精神面のポジティブ効果が得られることが立証されています。 人間は良いことを記憶に刻み付け、嫌だったことは徐々に忘れ、過去の記憶を徐々に書き換えて行く傾向にありますが、楽しい思い出の写真、自分が若く幸せそうな写真は その記憶のポジティブな書き換えの手助けをするとのこと。 その結果自分の人生を振り返った幸福度、満足度が高まることが指摘されています。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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