もう20年くらい前になりますが、仕事でNYに住んでいたことがあります。
その時に元妻が秋山さんが主宰していたネットワーク・パーティーに一度だけお邪魔したことがありました。
その頃からよくキューブさんのサイトにお邪魔していて、今も愛読しています。妻とは仕事が忙し過ぎて何年も前に別れてしまい、
浮気なんてしなくても、仕事で忙しいだけで離婚になってしまうことを悟ってからは、仕事が落ち着くまで再婚はしないと決めました。
そうしたら気付いた時にはもう50歳を過ぎてしまいました。
友人と経営してきた会社は順調に伸びて安定しているのと、自分の人生にいろいろ考えるところがあり、
本腰を入れて人生のパートナーを探そうと思うようになりました。今までも仕事関係で知り合った女性や友人に紹介された女性とは付き合いがあったのですが、
こちらに結婚の意志が無かったこともあって、少し付き合ってはダメになる連続でした。
やはり生涯のパートナーと呼べる女性を見つけるには、腹をくくって結婚の意志をはっきりさせるべきだなと考えたので、知人に再婚活宣言をしたら 別に若い女性をリクエストした憶えなど無いのですが、
かなり若くて、キレイな女性達を何人も紹介されるようになりました。
自分が20代後半の女性だったら 50歳を過ぎたバツイチ男なんてデートも嫌だと思うんですが、収入は結構ある方なので、それが魅力になっていることは さすがに言われなくても分かります。
相手の女性が若いので レストランなどでこちらが払うのは当たり前ですが、相手の女性も当たり前だと思うようで
中には初対面のディナーを払っても「ご馳走さま」さえ言わない女性もいます。最初は言ってくれても徐々に言わなくなりますし、何度か食事をした女性と「たまには良いかな」と思って
そんなに安い訳ではない居酒屋に連れて行ったことがありましたが、紹介者には「だんだんデート代をケチるようになってきた」と言っていたらしいです。
僕はB級グルメとかも好きなので、安いお店に誘う時は事前に女性の好みを訊くようにしてみたところ 「そんなお店じゃなくて、もっと自分のお金じゃ行けないところに連れて行ってほしい」と言われ、
「これが世に言うATMか」と痛感しています。
高いレストランに女性を誘った時も、ワインが好きなので高いワインをオーダーして、ワインについて軽く説明しても、
興味深く聞くふりさえしてくれないというのは興覚めです。10分間ウンチクを語ったならそんな態度でも当然ですし、ワインに興味が無いのは人それぞれだと思いますが、
全く興味を示さず、こちらがじっくりワインを味わいたい時に 関係ない話をされると協調性や社会性が無いのかと疑ってしまいます。
少し前に友人にこのことを話したところ 「事実上ATMなのは仕方ないのだから、慣れるしかない。今時の女性は、お礼くらい言って欲しいなんて言おうものなら、この程度で恩着せがましいと言ってくる」という意見と、
「そんな図々しい女性はどんどんつけ上がるから、旅行に行っても、高額品をプレゼントしても、文句は言ってもお礼を言わなくなる」という意見に分かれてしまいました。
実はデート相手の1人と週末の小旅行に行って、かなり高額なホテルに泊まる豪遊をしたことがあります。自分も楽しめたので文句は無いですが、お土産代を含む全額をこちらが払って、
お礼の代わりに言われたのが 「次はあそこに行って、あのホテルに泊まってみたい」でした。言うまでもなく、すごく高額なリゾートでした。それ以来、その女性には会っていませんが紹介者から「何が悪かったのか」と訊かれたので 事情を話したら、
紹介者が「お礼くらいはちゃんと言わないと」と忠告したらしいのですが、相手の女性は「いちいちお礼を言うと、逆に気を遣わせてしまって 距離感が近くならない」、「下手に出て感謝することで、
相手に自分を所有しているような意識を抱いて欲しくない」と答えたそうです。
それを聞いてビックリしましたが、この話を聞いた時に同席していた女性が、「何となくそれ、分かるような気がする」と言っていたのにさらに驚きました。
あと、結婚する意志があると宣言したとは言え、出会って早々に結婚を持ち出してくる女性にも正直言ってビックリしていますし、引いてしまいます。
お互いのことを何も知らないうちから、「専業主婦にならせてくれる男性でないと、結婚する意味がないから」とか言われて、頭の中が混乱しています。
若い女性を紹介してくれた知人や友人には「あまり若いと話題に乏しいし、甘えの意識が強いからせめて30代にして欲しい」と言ったのですが、
「30歳過ぎで残っている女性の方が変にプライドが高くて、知恵がついていて扱い難い」とか、「婚活疲れした卑屈な女性が多い」などと言われてしまいました。
気づくと結婚の意志があることを明確にした途端に、紹介される女性の人間性が低下したような気がして、逆に結婚したいという気持ちが薄れてきました。
自分の方がもはや結婚なんて考えるべきではないという事なのでしょうか。
以前秋山さんが、ニューヨークは幾つになってもシングル・ライフが楽しめるとコラムに書いていたのを覚えていますが、実は少し前から海外移住も真剣に視野に入れていて、
ここで変なしがらみを作るべきではないのかなとも思い始めています。
シングルとしてNYライフを楽しんでいらっしゃる秋山さんから、何かアドバイスや意見などあったら聞かせて貰えると嬉しいです。
- H -
久々に男性からのご相談で嬉しいです。元奥様がネットワーク・パーティーにいらして下さったことを覚えていて下さってありがとうございます。
私にとっても当時のことはとても楽しい思い出です。
さてご相談の件ですが、現在のHさんの問題はご自分で
「結婚の意志があることを明確にした途端に、紹介される女性の人間性が低下した」と分析されていらっしゃる通りだと思います。
再婚活宣言前のHさんは「離婚歴のある高額年収の50代男性」で、離婚後の独身生活を謳歌している財力のあるクールな男性像でしたが、
再婚活宣言後は「再婚相手を探している高額年収の50代男性」、老後の面倒を見てくれる若い女性を探していような打算的イメージに格下げされてしまったように感じられます。
すなわちHさんの再婚活宣言は完全に裏目に出ていると言えます。
「自分が20代後半の女性だったら 50歳を過ぎたバツイチ男なんてデートも嫌だと思うんですが」とHさんも書いて下さいましたが、
実際に20代後半の女性達が 50代のHさんへの紹介を快諾するのは「自分のお財布では出来ない贅沢をさせてくれるはず」という期待感からで、
「未来の結婚相手になり得る人物」と最初から考えている訳ではないはずです。
もちろん女性の愛情は育ちますので、実際に一緒に時間を過ごしてからは Hさんの魅力に惹かれる女性は居ると思います。
文面を拝読したところ、 こう申し上げると語弊がありますが Hさんは若い女性がATM扱いする男性としては かなり格が上な印象を持ちました。
女性というものは 相手に経済的に依存したい願望が強ければ強いほど、
「男性は自分より稼いで当たり前」、「年齢がアップすれば、それに応じて年収が高いのも当たり前」と思い込んでいますし、
Hさんとの年齢差を考えて「レストランでの食事を払ってもらうのは当然のこと」と考えています。
デート相手が同年代の男性であれば「たまには自分が払うべき?」、「毎回半分払うべき?」と迷う女性でも、Hさんとの食事の場合は「お礼って毎回言うべき?」とか
「どの程度まで高いレストランをリクエストしても大丈夫?」という考えを巡らせているはずです。
いずれにしてもHさんは再婚活宣言をしてしまったことから 日本の歪んだ婚活カルチャーに巻き込まれてしまい、そのせいで本来の目的を見失ってしまわれたように見受けられます。
Hさんが求めていたのは生涯を一緒に過ごすパートナーで、特に結婚を望んでいた訳ではありません。
生涯ベースのコミットメントを望む気持ちから「結婚の意志を示すべきなのでは」という思いが生まれたことから 本末転倒になってしまったのです。
日本の婚活カルチャーでは「幸せな結婚」や「幸せな人生」よりも、まずは「結婚する」ことが最優先課題です。そして結婚すれば幸せや人並の人生がパッケージになってついて来るように錯覚している人は少なくありません。
だからこそ外観や収入、学歴に自信が無い人や年齢的なタイムリミットを控えた女性達が ”自分の条件をある程度満たす落とし所”で妥協することが奨励、もしくは重要視され、
「結婚してもらえるように振舞いながら とにかく結婚まで持ち込む。それが出来なければ一生負け組」という意識で取り組んでいるように見えてしまいます。
そうかと思えば非現実的な理想像の条件を並べ立てるだけで、肝心な人間的資質や自分との相性などに全く目を向けない人も多いようですが、
海外に長く暮らす女性の立場からすると、日本の医療レベルは高いはずなのに「30歳を過ぎたら高齢出産」とか、独身女性が35歳で年増扱いという状況は ”後進国並み”という印象が否めません。
Hさんは交友関係が広いようにお見受けしますし、これまでは普通に食事に出掛ける程度の女性には困っていらっしゃらなかったようですが、
以前なら 知的で多忙なキャリア・ウーマンを紹介してくれていたお友達とて、「結婚相手を探し始めた」と言われば、
婚活市場でもてはやされる若い女性を紹介してくれるようになるのは当然の成り行きです。
その結果 「年上男性を暫しお財布代わりにするのも良いかも」と考える若い美貌の持ち主や、結婚の2文字で頭の中がパンパンになっている女性と出逢う機会が増えたのだとお察しします。
男性は子供を作る気があっても 無くても、結婚相手のように長くコミットする女性については若さを求める傾向は顕著です。
若い女性の方が知恵が浅く、楽観的で、自分の言いなりになる、扱い易い等と勝手に思い込んでいる男性は少なくありませんし、
個人の好みがあるとは言え、男性の外観の基準では若さが美しさに勝るケースが殆どです。
若作りや気持ちの若返りは出来ても 本当の若さは決して取り戻すことが出来ないものですが、
結婚という観点に基づくと女性の方が年齢的なシェルフライフ(陳列棚に並べて貰える時期)が男性より遥かに短いのはバイオロジカル・デスティニーです。
ですが一度結婚という観点を削除すると、一般的に女性の方が外観の若さや健康を維持し、長寿の傾向が顕著です。
それとは別にシングルを続けていると、世の中からはイソップ物語の「蟻とキリギリス」に登場するキリギリスのように思われることが少なくありません。
結婚生活や子育ての難しさを経験せずに、住みたい場所に住んで、食べたい物を食べて、好きなだけ仕事や趣味に時間を使うのがシングル・ライフと思っている人の目からは、
「人生の美味しい所取りをしているうちに、知らず知らずのうちに歳を取ってしまい、後から孤独な人生が待っている」と思えるようです。
実際にそういう生き方をしているシングル族は少なくありませんが、
私の意見ではシングルの方が人に迷惑を掛けずに 健康面、経済面、精神面で自立して生きて行くことが求められている分、
蟻のメンタリティで日頃から健康管理、投資、自分のサポートシステムの構築に至るまでにコツコツと真剣に取り組まなければなりません。
でもそれさえきちんとしていれば、シングル・ライフの方が不確定要素が少なく、時間とお金という人生において貴重なものを自由裁量で使えるのは紛れもない事実です。
約20年前には結婚されていたHさんが、その後何年間シングルとして仕事に打ち込んでいらしたかは定かではありませんが、
世の中にはシングルで生きる方が合っている人も居れば、シングル・ライフに慣れてしまった結果 それが変えられない人も多いのです。
また日本では年齢を重ねたシングルというと孤独な印象がありますが、欧米では年齢を重ねたシングルにデート相手やパートナーが居るのはごく普通で、
逆に上手く関係を続けるために結婚のような煩わしい関係を持たないケースも多いのです。
その反面、結婚というのは紙切れ1枚でグリーンカード取得や家族としての健康保険、税金申告など様々なメリットが得られる非常に便利なシステムでもあります。
ですから年齢に関わらず結婚を社会システムとして利用するカップルは欧米では決して少なくありません。
Hさんのように資産をお持ちの男性が近い将来の海外移住を考えていらっしゃる場合、結婚というカードを残しておいた方が移住先で有利に働くケースがあるのは Hさんご自身もお察しの通りです。
何処で暮らすにしても ある程度年齢を重ねてからのパートナーシップは 生活のペースや趣味、食の好み等が合う相手で、一緒に居るメリットがストレスフリーにシェア出来る相手、
信頼し合いながら 互いに健康に長生きが出来る相手を選ぶべきですし、その関係もトラディショナルな結婚に捉われる必要はありません。NYには同じビルの別フロアにそれぞれ暮らすような夫婦もいるのです。
私自身、一番大切なことは 人生が図ったようには進む訳ではないことを頭に入れて ”リスク”、”リワード”、”安定” のバランスを考えながら、悔いが残らない人生を、毎日を幸せに過ごしながら送ることだと思っています。
婚姻ステータスやパートナーの有無というのは、そのプロセスでのコンディションであって達成すべき目標や目的ではありません。
もし結婚を望む理由が 「1人で生きて行く自信が無い」、「自分の面倒を見てくれる人が欲しい」、「子供が欲しい」という自分中心の都合である場合は、
結婚が必ずしも解決策に繋がるとは限りません。
むしろ結婚を抜きにして、不安や願望にダイレクト・アプローチをした方が余計なエネルギーや時間を無駄にしないで済むケースは多いのです。
もう何年も前になりますが、私の友人が日頃の不摂生が祟って体調をくずし、病院に検診に出掛けたところ、そのまま入院になってしまったことがあります。
その際に妻に着替えや必要なものを病院に持ってきてもらい、いろいろ面倒を見て貰って「結婚していて良かった~」と言っていましたが、
それは甘えている側の言い分であって、妻が内心どう思っているか、この先もそれを喜んで続けてくれるかは全く別の話です。
本当に「結婚していて良かった~」と思うほど妻を愛しているのなら、そんな迷惑を掛けないように日頃からきちんと体調管理をするべきで、
結婚を何等かの保険や生活保証のように捉えるのは大きな間違いです。
また漠然とした結婚信仰を掲げて 年齢やルックス、条件にこだわって相手を選ぼうというのは、人生に対しても、結婚に対してもあまりに稚拙なアプローチです。
時代がどんどん変化し、そのスピードが速まる中で、結婚にこだわる風潮はどんどん希薄になってきています。
その意味で、日本社会は結婚やパートナーシップの概念をもっとモダンかつ合理的に転換させる必要があると私は考えています。
Yoko Akiyama
執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |
当社に頂戴した商品のレビュー、コーナーへのご感想、Q&ADVへのご相談を含む 全てのEメールは、 匿名にて当社のコンテンツ(コラムや 当社が関わる雑誌記事等の出版物)として使用される場合がございます。 掲載をご希望でない場合は、メールにその旨ご記入をお願いいたします。 Q&ADVのご相談については掲載を前提に頂いたものと自動的に判断されます。 掲載されない形でのご相談はプライベート・セッションへのお申込みをお勧めいたします。 一度掲載されたコンテンツは、当社の編集作業を経た当社がコピーライトを所有するコンテンツと見なされますので、 その使用に関するクレームへの対応はご遠慮させて頂きます。
Copyright © Yoko Akiyama & Cube New York Inc. 2022.