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ご相談という訳ではないのですが、秋山さんのお考えを是非伺いたくてメールをしています。
もう何年も前ですが、勤めていた職場で同僚男性と婚約していたことがあります。でも彼がこともあろうに同じ職場の女性と浮気をしたことが発覚したことから、
婚約を破棄して会社も辞めることになりました。
元婚約者はそこそこの大学出で身長が高く、取引先の御曹司で、女子社員が何人もアタックしている感じだったのですが、中でもみっともないくらいに人目をはばからずに
彼に夢中な様子を見せていたのが浮気相手でした。婚約者はいつも浮気相手の悪口を言っていて、
彼女が高卒で裕福とは言えない家庭の出身で、お箸もきちんと持てないこと等を馬鹿にしていて、「その分際で自分と釣り合うと思っているなんて…」などと言っていました。
以下から思えば彼も高慢で酷い言い分ですが、私は彼女の態度に頭に来ていたこともあって それを聞いて安心していました。
ですがある時、彼女の私に対する態度が大きくなってきて、彼が出来心的な浮気を彼女としていたことを知らされました。
その時は涙を見せるのさえ悔しかったので、わざときちんとメークをして職場に行き、明るく振舞い、私のご機嫌を取ろうとする彼のことを無視し続けて、両親に事情を話して別れることにしました。
そして結婚式の予定が無くなった分、当時ちょっと流行っていた数ヵ月のアメリカ留学する決意をして、それを理由に退社しました。今でもこの時の婚約破棄と留学は
自分の人生で最善の決断だったと思っています。 私が職場で毅然とした態度を取らざるを得なかったのは、浮気相手の女性が、
私よりもずっと見た目に劣るだけでなく、配慮の無い図々しい女性で、彼の浮気によって私があの女性より下にランク付けされるのがどうしても許せなかったためでした。
ですが内心は毎日、腸が煮えくり返るような怒りと憎しみで一杯だったのを今もはっきり覚えています。
私が退社した後、元婚約者は私に浮気がバレて フラレたことが社内で広まってしまい 「どうしてあの婚約者が居ながら、アレと浮気をしたのか?」と、
飲み会の席など、事あるごとに訊かれたそうですが、私はそれを聞いて まるで私の方が見た目は良くても性格が悪いと言われているような複雑な気持ちになったのを覚えています。
そのことを久しぶりに思い出すことになったのが、少し前に友達に悩みを相談された時でした。
その友達は結婚して2年半くらいのバリバリのキャリア・ウーマンの子供無しで、夫はおっとりタイプに見えたのですが、
あるきっかけで夫が自分との共通の女友達と浮気をしていることに気付いたそうです。その女友達のことは時々話題に出て、
偶然どこかでバッタリ会った話を聞かされていたようなのですが、相手の外観が 面食いの夫好みとはかけ離れていたし、特に若い訳でもないので まさか浮気をしているとは思っていなかったそうです。
しかも夫と浮気相手は、彼女のことを貶して、馬鹿にするやり取りをラインのメッセージでしていたようで、
自分よりも遥かに見た目が劣る女性と浮気をされて、更にその女性よりも下に見られていることに益々傷付いたと言っていました。
その話を聞いて 私も自分の悔しかった思い出が蘇ってしまいましたが、男性は恋愛相手でも結婚相手でも、女性を選ぶ時はルックスや若さを最優先させるくせして、
何故浮気となるとルックスの悪い女性とでも平気で関係出来るのかがその席で話題になりました。
同席したもう1人の友達は、「浮気相手っていうのは、時々食べたくなるお茶漬けのような存在」と説明して慰めていたのですが、
相談した友達は「うちのお祖父ちゃんは糖尿病でご飯を1杯に制限されるまで、毎晩2杯目のご飯をお茶漬けで食べていた」と言って苦笑いしていました。
気を遣わない相手と浮気したいっていうことなのかもしれませんが、夫婦間だったらそんなに気を遣っていることもないと思いますし、
妻に「日頃からキレイにしていて欲しい」と言う夫は多い訳ですから、外観が劣る女性との浮気は、あてつけや嫌味以外の何物でもないように思います。
秋山さんは男性がどういう神経とか心理で見た目が悪い人と浮気をすると思いますか。
秋山さんなりの分析やお考えをお聞かせいただけたらと思いました。宜しくお願いします。
これからも応援し続けますので、頑張って下さい。
- E -
浮気相手が妻や真剣に交際する相手よりルックスが劣るというのは 世の中ではありがちのことで、
アメリカのラジオ局Z99によれば ”88% of men's mistresses are less attractive than the spouse.(愛人の88%は妻よりも見た目が劣る)”
とのこと。 この88%という数値が 果たしてどんな調査によって得られたデータであるかは知る由もありませんが、もしそれが本当であれば かなりの割合ということになります。
恋愛や結婚に関して本来ルックスを最優先させる男性が、浮気となるとそのルックスのハードルを下げる理由としては、
「所詮は浮気であるから、相手の資質を深く問わない」という説もあれば、「浮気相手に対しては 別の物を求めている」という説、
そうかと思えば「浮気は心が乾いている時にたまたま相手が現れたからするもの」として、男性の精神状態と相手に遭遇するタイミングが浮気のドライヴィング・フォースと分析する見方もあるようです。
「浮気相手に資質を問わない」という点については、 数年前に読んだ記事に書かれていたのが NYでは男女がワンナイト・スタンド、すなわち一晩だけの関係を持つ場合、女性は「身なりも良いし、お金もあるみたいだし、ルックスも悪くないし…」と
相手選びのハードルをあえて高くするのに対して、逆に男性は「一晩程度なら」とハードルを下げる傾向にあるということ。
この男女の相違は そのまま男女の恋愛&セックス観の違いに如実に表れていると思ったので 私はこの記事を良く覚えているのですが、
多くの浮気がワンナイト・スタンド、もしくはそれに等しい状況から始まることを思えば、男性が浮気に際してハードルを下げるのは全く不思議ではないと思います。
「浮気相手にルックス以外の物を求めている」という説も 私は事実だと思っています。
浮気をする男性の多くは、恋愛時代には自分を持ち上げて、励まして、自分のわがままを聞いて、自分のことが大好きだった妻やパートナーが、
結婚生活や長い交際期間を経て、もはやそれらをしてくれなくなった一方で、事あるごとに「もっとこうして欲しい」、「どうしてこれが出来ないの?」という問題点や改善点のリストを押し付けて来ることを疎ましく思っていたり、
男性としての自尊心を傷つけられる思いを味わうようになっています。
そして自分への興味がどんどん希薄になっていく妻やパートナーが、笑顔を見せなくなり、いつも疲れていることに不満や寂しさを覚えるのは自然なことですし、
倦怠期や平穏な生活の中で変化やエキサイトメントを潜在的にも求めるようになるのは 男性に限らず、女性にもありがちな傾向です。
さらに年齢を重ねるプロセスで、自分に未だ異性を惹き付ける魅力があることを感じたい願望も強くなっていきます。
そんな男性達が浮気相手に求めているのは 自分に注がれる関心、自分の知性や強さ、包容力、財力に対する賞賛や敬意、感謝等で、
自分の言うことを感心しながら聞いてくれて、下らない冗談にも笑ってくれて、いろいろな事を誉めてくれて、妻やパートナーには怒られる欠点やだらしなさを「可愛い」、「放っておけない」と言ってもらうこと、
要するに自己肯定感を高めてもらうことです。
加えて背徳のスリル、秘密を持つエキサイトメント、新しい相手との新鮮な関係を楽しむうちに、若返った気分や男性としての自信がみなぎってくる人もいます。
要するに自分の精神的欲求を様々な形で満たしてくれるのが浮気相手と言えます。
もちろん財力のある男性であれば、その精神的欲求を満たしてくれる相手が 若く魅力的な女性であることは全く珍しくありません。
メガリッチがそんな愛人と再婚をすれば、周囲は「長年連れ添った妻には望めない 若さと美しさを求めて再婚した」と判断しがちですが、
実際には男性側が求めているのは 若い女性を未だに惹き付けることが出来る自分像とそれを周囲に示すことで、
気持ちを若返らせながら 再び恋愛時代の新鮮な関係を楽しむことです。
ですがアメリカの有名な医療機関、クリーブランド・クリニックの調べによれば、年下女性と浮気をしている男性は心臓発作による突然死が多いとのことなので、
気持ちが若返ったところで所詮は身体がついて行かないのが厳しい現実です。
Eさんはご相談メールに「夫婦間だったらそんなに気を遣っていることもないと思いますし」と書いて下さったのですが、
妻やパートナーと気を遣う関係にある男性は決して少なくありません。「怒らせると怖い」と男性が感じているだけで、それは気を遣う関係ですので
息抜きが出来る相手と浮気をする原因となる可能性があります。
また妻の方が高収入、高学歴、会社の役職が上、妻の実家の方が裕福など、夫が妻に対して日頃から何等かの劣等感を抱いている場合には、
浮気によって妻を欺く優越感で精神的に満たされるケースは全く珍しくありません。
中には浮気をしている罪悪感や優越感によって、妻のわがまま、理不尽さや身勝手を我慢しながら 良好な夫婦関係を保っている男性も居ます。
いずれのケースも夫婦生活をメイン・ジョブに例えるならば、浮気はいわばサイド・ジョブのような存在ですが、
人間には相性というものがありますので、メイン・ジョブの妻よりも サイド・ジョブの浮気相手の方が性に合っている場合、もしくは
サイド・ジョブから得るものが多い生活を続けるうちに価値観がシフトしてしまった場合には、
メイン・ジョブを捨ててサイド・ジョブに切り替えることも珍しくありません。
基本的に浮気をするのは 物事を深く考えない短絡的な性格、もしくは自己管理が出来ない割に 自己保身を優先させる身勝手な人が殆どですので
その行動は極めてプレディクタブルで、
浮気に発展するプロセス、浮気の最中、浮気がバレた後の行動や言い分はマニュアルが存在しているのかと思えるほど同じようなものになります。
人間は「人それぞれ」ではありますが、浮気に関しては当事者が変わろうと、状況や収入レベルが変わろうと、判で押したように同じような展開になるものなのです。
Eさんも お友達も、婚約者や夫がご自分の知る相手と浮気をしたとのことでしたが、私が浮気の中でも最低かつ最悪の裏切りと位置付けるのが
お互いの知人、特に浮気される側に近しい相手と浮気をするケースです。その理由は1度の浮気が 浮気をされる側の2つの信頼関係を壊すこともありますが、
往々にして その背景にある心根が捻じ曲がっているためです。浮気をされる側を ある程度知る人物との不貞関係を持つ場合、
そのエキサイトメントや共感を高める最大要因になっているのは、自分達が裏切っている人間(=浮気をされる側)に対する歪んだ優越感です。
Eさんのお友達のご主人と浮気相手にしても「彼女のことを貶して、馬鹿にするやり取りをラインのメッセージでしていたようで」とありましたが、
2人の関係の基軸になっているのは 恋愛感情でも、お互いの生活や状況に対するシンパシーでもなく、お友達に対して日頃から共に抱いてきた劣等感やジェラシーです。
こうした関係の場合、夫にとっては 妻であるEさんのお友達を貶し、その比較対象で浮気相手が如何に素晴らしいかを語ることが 愛情表現となり、
同様に浮気相手にとっては Eさんのお友達を貶しながら「貴方は彼女には勿体ない」、「私だったらこうしてあげるのに」などと夫を持ち上げるのが愛情表現となり、
お互いに「裏切っている人間を蔑むことにより 自己肯定感を高め合う」というモラルの底辺を演じることになります。
ですから このタイプの浮気がバレた時の「愛情なんて無かった」というのは正直な言い分ではありますが、浮気相手が独身である場合は
伴侶から相手を奪い取る競争心を本気と取り違えているケースがあるのもまた事実です。
結局のところ浮気というのは人間の裏切り行為であり、愚行でしかありません。
愚かさを分析したところで賢くなることはありませんし、その愚かさや背徳行為を まともな人間の物差しで理解・判断しようとすること自体に無理があるのです。
「何故、どうして」という疑問は建設的な問題に持ち込むからこそ意義があるものであり、身勝手で浅はかな人間心理の解析に持ち込むべきではないのです。
その上で、夫の浮気相手のルックスが妻やパートナーより劣ることの割り切り方としては、「その段階の夫ではその程度の相手が精一杯」という考え方もありますが、
「夫の心根が浮気相手のルックスにそのまま反映される」と判断するのが自然のように思います。
Yoko Akiyama
執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |
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