いつもCUBEさんの更新をとても楽しみにしています。
このコーナーの人生相談には相応しくないのは承知でお尋ねしたいのですが、近年若い女性が旅行を兼ねてアメリカで出稼ぎ娼婦をしているようです。
こういう女性たちはNYでは一体どう思われているのでしょうか。そもそもどうやって商売をしているのでしょうか。
私は普通の女性がこんなことをしてまでお金を稼ぎたいと思うこと自体が恐ろしいのですし、オープンにそのことをSNSで語ってしまうことも恐ろしいと思いますが、
そういう出稼ぎ娼婦のせいでNYに暮らす日本人女性や、日本人の女性旅行者が
娼婦と勘違いされてトラブルに巻き込まれることなどはないのでしょうか。
私はパンデミックが一段落したら 真っ先にNYに旅行したいと思っていましたが、ホテルに滞在している時などに出稼ぎ娼婦と間違えられたと思うと
少々心配です。
日本ではそうした実際の情報が全くないので、何か教えて頂けると助かります。
変な質問で申し訳ありません。
私がNYに憧れる理由はCUBEさんから得る情報ですので、これからも頑張って下さい。
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私自身は日本人出稼ぎ娼婦の存在は、昨年秋に知り合いの女性が1人旅でNYにやってくるまで全く知りませんでした。
NYに住む日本人の友達で、私よりずっと日本の事情やニュースに詳しい人達もその存在を知りませんでしたので、
殆どのニューヨーカーは日本人出稼ぎ娼婦については何も知らないと思います。
ですが空港ではしっかり水際対策が行われていて、知り合いの女性の友達2人がNYにそれぞれ一人旅をしようとして入国を拒否され、強制送還になった話を聞きました。
そのため知り合いの女性は「仕事絡みの出張」という名目で、NYの同業者とミーティングのアポイントメントを取ったEメールを印刷して持参し、入国審査の際にそれを見せてOKになったと話していました。
実は私自身も2021年3月に日本の一時帰国から戻った際のJFK空港で、イミグレーションでは全く問題無しのパスだったのですが、
トランクをピックアップして出口に向かっていた時に 連邦軍のユニフォームを着たオフィサーに「この旅行の目的は?」と、通常ならイミグレーションを通過した後には決して訊かれない質問をされました。
私が「I just came back from Japan, I'm a New Yorker.」と答えると、そのオフィサーが10メートルほど先に立っていた2人のオフィサーに向かって「She's OK」と伝え、
その後は せっかく用意していたウィルスの陰性証明や宣誓書等を誰もチェックしてくれないフリーパス状態でしたが、
どうやら私はロングヘアで マスクで顔が半分覆われていたこともあり、水際対策チェックの対象になっていたことを後から知りました。
要するに普通にNYで暮らしている人は日本人出稼ぎ娼婦の存在を知らなくても、Law Enforcement(警察を含む法執行機関)は旅行者として入国した日本人女性による売春という
犯罪の実態を認識している訳で、それが意味するのは 既にある程度の逮捕者や何等かの被害届が出ているという事です。
しかも既に法的機関が水際対策に動いている訳ですから、報道はされなくてもその数は少なくないのだと思います。
私も最初は「出稼ぎ娼婦が一体どうやってJohn(売春のお客)を探すのだろう」と不思議に思っていましたが、
どうやら元締め役が居るようで、ホテル等への出張か、出張娼婦の宿舎を兼ねたブロテル(売春宿)内での仕事をアレンジしているようで、
元締めには日本人も居るようです。
日本人が元締めの場合は日本人客が多いようで、そうでない場合はNYで”アジ専”と呼ばれる アジア人女性を専門に好むアメリカ人男性。
相場は時給で合法のエスコート・サービスの半額以下ですので、男性側にとってはバーゲン。
にもかかわらず飛行機代を支払ってまで出稼ぎに来ることを考えると、日本のデフレはかなり深刻だと思ってしまった次第です。
出稼ぎ娼婦の影響で 一人旅をしようという女性にとっては、現在アメリカ入国のハードルがかなり高くなっているのは紛れもない事実です。
そもそもアジア人女性は これまで最も一人で海外旅行をしないカテゴリーでしたし、日本だけでなく、韓国や中国からも同様の出稼ぎ女性が入国しているようなので、
その数も不審に思われるほど増えていたのかもしれません。
一人旅の女性は無事に入国さえ出来れば、その後は例え一人でレストランやホテルのラウンジに居ても、よほど娼婦と思われるような不適切な服装をしていない限りは、
そうした女性だと勘違いされたり、失礼な扱いをされる心配はありません。ですがNYでもLAでも大都会ほど
旅行者や家出をしてきたティーンエイジャーなど街にルーツが無い女性は そういう女性を狙う側には一目で分かりますし、特に日本人女性はボディ・ランゲージが無防備です。
ですからボーイフレンドや結婚相手を探すような気持ちでやってきた場合には、途中まで親切にしてくれていた人に最後の最後で利用されたり、恐い経験をさせられるようなことが起こっても
全く不思議ではないのも事実です。
正直なところ私は海外に出稼ぎ娼婦でやってくる女性というのは 「いつ死んでも文句が言えないほど楽観的で世間知らず」だと思っています。
アメリカではデート相手のドリンクに薬をもってレイプに及ぶデート・レイプが決して少なくありませんが、学生でもビジネスマンでも簡単に手に入れられるのがデート・レイプ・ドラッグです。
そんな社会ですので、人身売買組織の手に掛かったらレイプどころでは済みません。
たった一杯のドリンクで目が覚めた時には捕われの身になってしまう女性も居れば、目が覚めた場所がアメリカではないケースさえあるのです。
元締めがアレンジした相手となら安全と思うのも大間違いです。 それまで普通にビジネスライクな関係を続けてきた元締めでも、例えばレバレッジ・トレーディングに失敗するなどして巨額の負債を抱えてしまったとしたら、
出稼ぎ娼婦の上がりを跳ねて地道に借金を返すよりも、娼婦を2~3人売り飛ばして一気に借金を返済して、投資の元手を取り戻すことを考えても不思議ではありません。
元締めはそもそもセックス・トラフィッキングを含むフェデラル・クライムを犯している重犯罪者なのです。
宿舎替わりになっている売春宿にしても、若い女性が入れ代わり立ち代わり滞在し、そこに何人もの不特定多数の男性が出入りをしていれば、近隣の人々にはそこがブロテル(売春宿)であることが直ぐに分かります。
それが警察に通報されずに存在しているのは その営業にギャングが絡んでいる訳で、実際にギャング団のサポート無しに元締めが売春をビジネスにするのは不可能と言われます。そう考えれば出稼ぎ娼婦が
元締めを信用するということが如何にリスキーかが理解できるかと思います。
今の日本では”パパ活”などで大金を受け取る若い女性が多いようなので、売春というものが犯罪であるという意識がないまま「旅の恥はかき捨て」的な感覚で
「外国でやっているならバレない」、「捕まっても国外追放になるだけ」という軽い気持ちでやっているのかもしれません。
ですが売春、買春は立派に犯罪ですし、捕まれば処罰されます。以前のアメリカは客側の男性にはさほど罪が問われないケースが殆どでしたが2010年代に入ってからそれが大きく変わりました。
グリーン・カードを持つ男性が買春で逮捕され、それが犯罪歴として記録に残ってしまったためにグリーン・カードの更新が出来ず、高額な弁護料と長い時間が掛かり、それが原因で妻に離婚されたという
エピソードもあるほどです。
娼婦側に対する処罰については伝統的に厳しいのがアメリカで、初犯でも罰金と2~5ヵ月前後の服役は珍しくありません。外国人であれば直ぐに強制送還されるだけと思っていたら大間違いで、
アメリカ人娼婦同様に裁判を受けなければなりませんし、強制送還は刑期を終えてから行われるものです。
それを逃れるためには無料であてがわれる民選弁護士では無理ですので 高額な弁護料が掛かりますし、どんな敏腕弁護士でも減刑は可能であっても
逮捕歴、犯罪歴を抹消することはできませんので、その後はVISAの申請さえできません。
また外国からの出稼ぎ娼婦が逮捕されれば 売春という容疑だけでなく、セックス・トラフィッキング、労働法違反、脱税など、複数の罪に問われます。
もし貧困国からやって来て、家族に仕送りをするために止む無くセックス・ワーカーになっているケースであれば、そうした女性を救済する団体がありますが、
日本のような国から小遣い稼ぎにやってきた女性に対しては、かえってスケープゴート的に罪を重くするのがアメリカの司法制度です。
それとは別にアメリカはキリスト教の思想が強い社会ですので、「売春婦のように既に神の教えに背いた人間を罰することに罪悪感を抱く必要は無い」的なメンタリティがあって、
NYのロングアイランドの連続殺人犯のターゲットは全てインターネットを通じて雇った娼婦でした。そのことからも分かる通り、
女性に対する殺人や暴力をもくろむ人間がまずターゲットにするのが娼婦なのです。
どの国でも売春をする女性は家族や友人が少なく、行方不明になっても捜索願を出す人が居ませんので そのことも誘拐、殺人、人身売買のターゲットになり易い要因です。
女性を買う男性側について言えば、デート相手が居ないという理由でお金を支払っているケースもありますが、デート相手に対しては出来ない異常行為をするために
お金を払うケースは少なくありません。
その一方でアジア人女性を好むアメリカ人男性の多くは アメリカ人女性の強さを恐れていたり、何等かの理由で劣等感を持っている場合が殆どです。
彼らがアジア人女性を好む理由は人種的に自分の下に格付けているので、劣等感を抱かずに堂々と振舞えるためです。
でもそんな男性が たとえ誤解であっても自分より下だと思っているアジア人女性に馬鹿にされたと感じてキレた場合には、
昨年春にジョージア州のアジアン・マッサージ・パーラーを3軒連続で襲って アジア人女性6人を含む合計8人を射殺した21歳の若者のように
極めてヴァイオレントな行為に出ます。
昨今ではソシオパスも多いので、普通に振舞っていても 突然「キレたい」という願望が沸き上がると、言葉尻を捉えて
食って掛かるなどして、自分で怒りのトリガーをもたらして暴力行為に及びます。売春婦というのは社会的に見下される立場であるのに加えて、
行っている行為自体が犯罪ですので、男性側は「普通の女性に対して行えば逮捕されるようなことを売春婦にしても 警察沙汰にならない」という意識を持っています。
ですから ありとあらゆる暴力や犯罪のターゲットになり易いのです。
世の中というのは「今まで大丈夫だったから、これからも大丈夫」、「皆やっているから大丈夫」と高をくくっている思い上がりが ある日突然 いとも簡単に、しかも最も残酷な形で捻り潰されるところです。
出稼ぎ娼婦をして強制送還された過去がある女性が玉の輿に乗って結婚し、「私の人生はもう大丈夫」と思ったところで、
夫が仕事でアメリカに移住することになれば 一緒に移住するためのVISAの取得が出来ず、その時に夫に全てがバレてしまいます。
本当に好きな男性が現れて「もうこれが最後」と決心した場合には、その最後のお客に殺害されるような事態が起こるのが世の中なのです。
加えて売春のようなことをして楽に大金を稼いだことがある女性というのは、どんなに若くて綺麗でも 笑った時の目に独得の怖さがあるなど、
どこかにその片鱗を出すもので、人のオーラに敏感な人ほど確実にそれを嗅ぎ分けます。
いずれにしても日本のような先進国からの出稼ぎ娼婦の存在は、アメリカ社会におけるアジア人女性に対する差別や蔑視を確実に悪化させるだけでなく、
日本の恥でもあります。
パパ活や出稼ぎ売春婦というものが世界のスタンダードで恥ずべきもの、蔑むべきものであることをしっかり認識して、女性の収入源の1つのように扱うべきではないと思います。
Yoko Akiyama
執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |
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